新井郷川閘門…1
(『新井郷川排水機場の「船通し」…4』のつづき)
●新井郷川排水機場から1km弱北上した、丁字流に到着(Mapion地図)。写真はほぼ北を見たところで、水際には葦が生い茂り、繋留船が点々ともやう、市街地ながらのどかな水路風景です。向こうにこんもりと盛り上がる森は、砂丘の名残りの地形でしょうか。
たびたび参考にさせていただいている、新潟市ガイドの「新井郷川」「新井郷川分水路」によると、現在の新井郷川本流は福島潟を源流とし、北区高森付近で阿賀野川に合流する延長9.3kmの流路で、北区新井郷の兄弟堀から分流し日本海に至る区間は、新井郷川分水路なのだそう。新井郷川排水機場も、この丁字流も、分水路の方に属するわけです。
●かつては、これから紹介する派川新井郷川分水路が、新井郷川本流の最下流部だったのですが、昭和9年に写真の丁字流から日本海まで分水路が開鑿され、後に旧本流の一部も、分水路に統合されたかたちになりました。
明治11年には早くも川蒸気が就航、首邑であった葛塚から新井郷川を下り、阿賀野川・通船川を経て新潟に至る路線は、「葛塚蒸気」と呼ばれて親しまれていたとのこと。この川が新潟近郊の重要な物流路として、機能していたことがうかがえます。

●1枚目の写真とほぼ同じ位置から、西側に目線を移すと…いやもう、魅力的すぎる水門風景が!
16日からのタイトルでもご覧に入れましたが、緑したたる木々をバックにひっそりとたたずむ、鋼製堰柱の小さな閘門! 遠目にもディテール豊かなのが感じられ、どこから見ていいのやら、目移りするほどです。
●派川新井郷川分水路の入口を守るこの水門、正面に抜き文字で掲げてあるとおり、新井郷川閘門といいます。
現在は残念ながら、閘門としての機能は失われているので、「旧」新井郷川閘門、とでも呼ぶべきでなのでしょうが、現在の正式名称がわからず、また素晴らしい抜き文字の銘板(?)もそのままなので、あえて閘門と呼ばせていただきましょう。
●スキンプレート側がこれほど濃厚な扉体も、めったにないのではないでしょうか。縦横に走る鋲列はいうまでもありませんが、二つある注排水用スライドゲート周りの発散する香気ときたら! 扉体は鋳物でしょうか、泥に染まった姿が、まるで板チョコのようでもあります。
スライドゲートから上に伸びるスピンドルの上には、かつて操作用のハンドルがついていたのでしょう。スキンプレートの上4分の1、リベットのない部分は、後年の継ぎ足しでしょうか。…あ、戸溝の左右からチラリとのぞくアレは? これは後で観察してみましょう。

●近づいて、南側から。背の高い柵に囲まれ、周囲を後付けのボックスや電柱が、所狭しと詰まっているので、昔のままの雰囲気というわけにはいきませんが、この角度もなかなか。戦後の水門に無い魅力が、存分に楽しめそうです。今回も汗みずくでうろつきまくるぞ!
【撮影地点のMapion地図】
(23年8月10日撮影)
(『新井郷川閘門…2』につづく)

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たびたび参考にさせていただいている、新潟市ガイドの「新井郷川」「新井郷川分水路」によると、現在の新井郷川本流は福島潟を源流とし、北区高森付近で阿賀野川に合流する延長9.3kmの流路で、北区新井郷の兄弟堀から分流し日本海に至る区間は、新井郷川分水路なのだそう。新井郷川排水機場も、この丁字流も、分水路の方に属するわけです。
●かつては、これから紹介する派川新井郷川分水路が、新井郷川本流の最下流部だったのですが、昭和9年に写真の丁字流から日本海まで分水路が開鑿され、後に旧本流の一部も、分水路に統合されたかたちになりました。
明治11年には早くも川蒸気が就航、首邑であった葛塚から新井郷川を下り、阿賀野川・通船川を経て新潟に至る路線は、「葛塚蒸気」と呼ばれて親しまれていたとのこと。この川が新潟近郊の重要な物流路として、機能していたことがうかがえます。

●1枚目の写真とほぼ同じ位置から、西側に目線を移すと…いやもう、魅力的すぎる水門風景が!
16日からのタイトルでもご覧に入れましたが、緑したたる木々をバックにひっそりとたたずむ、鋼製堰柱の小さな閘門! 遠目にもディテール豊かなのが感じられ、どこから見ていいのやら、目移りするほどです。

現在は残念ながら、閘門としての機能は失われているので、「旧」新井郷川閘門、とでも呼ぶべきでなのでしょうが、現在の正式名称がわからず、また素晴らしい抜き文字の銘板(?)もそのままなので、あえて閘門と呼ばせていただきましょう。

スライドゲートから上に伸びるスピンドルの上には、かつて操作用のハンドルがついていたのでしょう。スキンプレートの上4分の1、リベットのない部分は、後年の継ぎ足しでしょうか。…あ、戸溝の左右からチラリとのぞくアレは? これは後で観察してみましょう。

●近づいて、南側から。背の高い柵に囲まれ、周囲を後付けのボックスや電柱が、所狭しと詰まっているので、昔のままの雰囲気というわけにはいきませんが、この角度もなかなか。戦後の水門に無い魅力が、存分に楽しめそうです。今回も汗みずくでうろつきまくるぞ!
【撮影地点のMapion地図】
(23年8月10日撮影)
(『新井郷川閘門…2』につづく)

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