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神田川・分水路の通航について

ご存じ、神田川の可航分水路である、お茶の水分水路・水道橋1・2号分水路(以下『分水路』と略)。
今まで何度も艇で出たり入ったりしておきながら、通航することの可否については、恥ずかしながら真剣に考えたことがなかったのです。

今回、あることがきっかけで、初めてこの件と向き合ってみて、さまざまなことがわかりました。以下長くなりますが、そのまとめです。

「続きを読む」をクリックしてご覧ください
去る7月30日に、タクロウさんという方より、コメント欄に以下のような2件の書き込みをいただきました。ちなみにタクロウさんより当ブログに書き込みをいただくのは、これが初めてです。


暗渠の分水路に入る時には許可が必要
神田川には分水路がある。洪水を防ぐためにトンネルを作ったんだ。船で暗渠となってるトンネルに入るには許可が必要だ。下水が流れてる暗いマンホールに入る時には許可が要るんだ。照明器具を多く使わないと真っ暗で見えないんだ。途中で照明が切れたらおしまいだ。

『分水路打通作戦【水道橋1号分水路編】…1』のコメント欄

暗い水路に入るには許しが必要
神田川の分水路は暗渠となってるのでエンジンで動く船には照明器具をつけておかないと事故の恐れがある。分水路のトンネルに入るには許可がないとダメなんだ。

『分水路打通作戦【お茶の水分水路編】…11』のコメント欄


失礼ながら、文体が独特なのでどう解釈してよいのか、最初はちょっと戸惑いましたが、記事を読まれて当ブログに書き込まれたのですから、私に宛ててのメッセージと受け取って、まず差し支えないと思いました。

公開コメントですので、このブログを読まれている他の方に宛てた部分も、もちろんあるでしょう。

どちらの書き込みにも、「分水路に入るには許可が必要である」という意味のことを、タイトルを含めて5回も繰り返されていること、また照明設備のない分水路を航行する危険性にも言及されていることから見ると、「許可なしに分水路を通航してはいけない、危険な行為をしてはいけない」という、記事に対してのご意見だと解釈しました。
あるいは、船頭の身を案じてくださっているのかもしれず、だとすれば、これほどありがたいことはありません。

「許可」を得なければいけない相手について言及はないものの、常識的に考えて、管理者である都建設局と見てよいと思われますが、何分主語がないので、タクロウさんご本人という線も捨てきれません(笑)。

冗談はともかく、さて、コメントをいただいてから、ハタと思い当たるものがありました。
船頭儀、神田川の分水路を通航するときに、管理者に許可を得ることが必要なのか、また分水路を一般の艇が通航することが、法律の面から見てどうなのかといったことは、これまで真剣に考えたことがありませんでした。大変お恥ずかしいかぎりであります。

分水路は河川の一部であり、河川の通航は少数の例外を除いて自由であるからして、よって分水路を勝手に通っても差し障りはないであろう…という程度の認識だったのです。

よい機会ですので、通航の可否や法律的な面を勉強してみたいと思い立ち、以前、取材時にお世話になった都建設局河川部のご担当に、そのあたりをお尋ねしてみることにしました。
先日、さっそく文書にてお答えいただいたので、以下に要約してお伝えしたいと思います。(ご担当様、ご対応いただきありがとうございました)

神田川の分水路の通航には、管理者の許可は必要か?

分水路を管理者の許可なく通航してよいのか、また許可なく通航することは違法なのかという点については、以下の回答がありました。

河川における通航は、散歩等と同様にいわゆる一般使用(自由使用)の一種とされており、河川管理者の許可等は特段要しない。
また、河川管理者は、一級河川の河川区域のうち河川が損傷し、河川工事若しくは河川管理施設の操作に支障が生じ、若しくは他の河川の使用に著しい支障が生じないようにするため、水域又は閘門を指定して、舟又はいかだの通航方法を指定することができるが(河川法施行令第16条の2第3項)、一級河川荒川水系神田川の分水路にはかかる制限をしていない。
したがって、お尋ねの通航は違法ではない。


【参考】河川法総務省e-Gav

河川の通航は基本的に自由にできるということ、河川法に通航を制限するためのきまりはあるが、神田川の分水路には現在その制限がかかっていない、よって河川の一部である分水路の通航には、特に管理者の許可は必要なく、また法律面からみても、違法でないという見解が示されました。

タクロウさんが書き込まれた、「分水路への進入・通航には(管理者の?)許可が必要」という主張(?)は、これであやまりであるということがわかったわけです。

では、分水路は天下晴れて、誰もが勝手に通ってもよいのか?

管理者である都建設局が、以上のような見解を示されたので、もしかしたら不法侵入のかどでお縄(笑)になるかも、と小鳥のようにおびえていた船頭も、すっかり気が楽になりました。
では、神田川の分水路は、動力船航路としてもはやお墨付きとなり、何はばかることなくお気軽に通航してよいのか、ということになると、ことはそう単純ではありません。

分水路の航行が違法でなければ、それはどのあたりが根拠となるのでしょう、また注意事項などはありますか?…とお尋ねしてみると、「明文の規定は特段見当たらないが、河川は公共用物であるから、河川敷地については一般公衆の多様な利用に供されることが予定されていると言うことができる(河川法第1条、第2条第1項)。」とのことでした。

河川はおおやけの便に供されるものなので、さまざまな利用法が考えられ、例えば私が個人的な楽しみで分水路を通っても、想定の範囲内ということでしょう。

しかしながら、」と続けて、「分水路は、通航を目的に設置した施設ではなく、専ら河川の流水を安全に流下させるために設置した施設である(同法第3条第2項)。」よって、「河川管理者としては、お示しの分水路の通航を積極には首肯することができない。」とあります。

以前、ご案内役をさせていただいた分水路ツアー(『文京区主催・神田川分水路ツアーのご案内役をさせていただきました』参照)で、文京区のご担当から建設局サイドのお話をうかがったときも、同様のお話がありました。

分水路は洪水被害を防ぐための施設であり、船舶が通航するために造られたものではなく、当然ながら、そのための設備も一切ありません。
河川の一部として、たてまえ上は通航を認めざるをえなくても、中で事故でも起こされたり、また施設を壊されたりして、本来の機能を損なったら、などと考えると、「積極には首肯することができない」…いけないとは言わないが、あまり入ってほしくない、というのが本当のところでしょう。

分水路通航時は、入念な準備と細心の注意を

管理者としては、必要と認められれば分水路の呑口と吐口を、それこそ鉄格子で塞いでしまっても一向に構わないわけで、それをしないでくださっているのは、私のような物好きからすれば、ありがたいというほかありません。

口はばったいいい方ですが、自由な通航が保障されてこそ、川走り趣味も成立しえるのですから、この点は本当に感謝しています。

反面、違法ではないとはいえ、本来の用途ではない使い方をする側としては、通航前の準備は入念に行い、また通航時も細心の注意をはらって航行することは、いうまでもありますまい(管理者の心意気に、少しでも報いるという意味でも!)。
回答書の文末にも、注意事項として「分水路を通航する場合には、天候及び上記のような施設の性格等に十分注意を払う必要がある。」と結んでいます。

以前の繰り返しになりますが、自分用のチェックリストとして、確認事項をまとめてみました。

まず事前の準備と確認事項として、
・天井高が低い場所があるので、通航時の潮時と、自艇の全高をよく確認すること。
・分水路内でのエンジントラブルを避けるため、出航前の機関点検、暖気運転は特に入念に行うこと。
・水位に問題がなくても、大雨の直後は浮流物が多く、エンジントラブルのもとになるので避けること。
・電源のトラブルに備えて、照明は必ず複数個、違う電気系統のものを用意すること。
 (例:舶載バッテリーを電源とするものと、乾電池を電源とするもの各2個)


分水路通航中の注意事項としては、
・狭水路内で操縦が制限されることから、なるべく遡上するコースを選ぶこと。
(下航時は舵利きが悪くなり、加えて低速のため運動力が極端に落ち、いったん姿勢を崩すと回復が困難)
・季節によっては蚊が大量に発生していることもあるので、防虫剤を塗るなどすること。


…などでしょうか。ともあれ、分水路内で事故を起こしたり、あやまって施設を壊したりすれば、ただちに通航禁止となることも考えられますので、これからも十分に気をつけた上で楽しみたいと思っています。

建設局の方が丁寧にお答えくださったお陰で、さまざまな疑問が氷解し、また勉強になりました。
これも、タクロウさんの書き込みがきっかけで、ものぐさな私も疑問点をまとめて質問してみようという気になったのですから、タクロウさんにもお礼を申し上げなければなりますまい。


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タグ : お茶の水分水路 水道橋分水路 分水路 神田川

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