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「水の郷さわら」を訪ねて…2

(『「水の郷さわら」を訪ねて…1』のつづき)

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まずは屋外の展示物から楽しむとしましょう。これから紹介する展示物は、以前ここにあった、「利根川下流史料室・建設機械類展示場」の展示を受け継いだもので、「水の郷さわら」のオープンに合わせ、きれいに化粧直しされたものです。

最初に吸い寄せられたのは、やはり船。曳船「たちばな」です。錨鎖で結ばれたストックアンカーを、台座の外に置くという小粋な展示法。この後ろでは、陽射しに耐えかねたおばさんたちがわずかな日陰を求めて、船体の下で涼をとっていました。

29022.jpg左舷後方から見たところ。独特の水線下の形状や、長く伸びた推進軸が印象的です。1mの喫水は、川船としては少々苦しいような気もしますが、ペラの直径や舵のことを考えると、致し方ないところでしょう。

しかし、実物の曳船の、しかも喫水線下のカタチを、展示物として存分に眺めることができる場所は、非常に貴重なのではないでしょうか。

29023.jpg舵はご覧のとおり、コルト・ノズルラダーで、プロペラを保護するとともに水流を整え、操舵性能を良くする働きをします。

舵直上の船底は、少し凹ませてあって、舵やペラを避けたようなつくりになっているのがわかりますね。これが昔の川蒸気や曳船になると、船底がペラに合わせてトンネル状に掘り込まれ、ペラは半分埋まったような構造になっていました。喫水を少しでも浅くしながら、推進力を確保するための工夫です。

29024.jpg上部構造物を望んで。溶接構造なのか、キャブは前面にRをつけた、角のないのっぺりとした表情で、ちょっと可愛らしい感じもします。

緑色に塗られた煙突は、左舷側にオフセットして取り付けられており、機械室右舷側には、キセル型のベンチレーターが設けられていました。

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船尾を正面から見て。ブルワークに並ぶアイは、恐らくフェンダーを取り付けるためのものでしょう。ロープで編んだものか、それとも今風に、古タイヤを転用したものだったのでしょうか。

説明板の要目を拾うと、長さ12.3m、幅3.4m、喫水1m、排水量13t、速力7.6kt、定員8名、機関・ディーゼル60馬力・850回転/分とありました。

ちなみに、1日違いでここを訪ねた友人のC君によると、「利根川下流史料室・建設機械類展示場」時代は、説明板の文に、各展示物のメーカー名と製造年まできちんと入っていたのに、新しくなった説明板には、全て見事に削除されている、とのことでした。

さっそく、「利根川下流史料室・建設機械類展示場」時代の説明を収録している、おなじみ日本の川と災害の「利根川下流史料室、建設機械類展示場」を拝見してみると…う~ん、C君の言ったとおりですね。
何か理由があってのことでしょうが、ちょっと首をひねりたくなりますね。個人的には、記念物として保存されたものなら、メーカー名や製造年もきちんと記載して、顕彰した方がよろしいかと思うのですが。

(22年5月2日撮影)

(『「水の郷さわら」を訪ねて…3』につづく)

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タグ : 水の郷さわら川の駅曳船水郷

コメント

No title

ああ、見に行かなくては。

Re: No title

ええもうぜひ。利根川の遊覧船や、カヌーもありますよ。
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