お茶の水分水路覚え書き
(『分水路打通作戦【お茶の水分水路編】…11』のつづき)
●例によって、お茶の水分水路について、いくつか気になったところをまとめてみました。過去の記事と重複する部分もありますが、ご参考まで。

ホンモノのGoogleマップ(別窓)で神田川・お茶の水分水路略図を表示
●まずはGoogleマップに、お茶の水分水路のおおよその経路を落としてみました。ハメコミ表示にすると、なぜかどうしてもずれてしまうので、上の地図は単なるJpg画像です。リンク先をクリックしてご覧ください。
図面から写したわけではないので、水路幅や経路については推測の部分があり、正確ではありません、念のため。また、都心ということもあり、どうしても他の表示に埋もれがちですので、地名を非表示とし、拡大して細部をご覧になることをお勧めします(アラが目につくでしょうが)。
●しかし、改めて上空から眺めてみると、ちょうど本郷台の西端から東端までを掘り抜いた、まさに「現代の仙台堀」と呼んでも言い過ぎでない、大分水路であることが見て取れますね。
二度の屈曲があり、河道の拡幅も難しいこの区間に、地下に平行して河道を設け、上流の急激な増水に対応できる流下能力を持たせるために、お茶の水分水路が掘られたのでしょう。
先輩格である水道橋分水路と、あまりに扱いに差があることから、記事中では憎まれ口を叩いたりしましたが、やはりこれだけ建て込んだ、しかも丘陵の地下を掘り抜いたのですから、都市河川の治水事業としては、世紀の大工事と言って差し支えない、石碑をもって顕彰されるにふさわしい規模のものだったと思います。
●通航時に気になったことをいくつか。
●記事中でも紹介したように、下流開鑿区間の吐口付近と、シールド区間の下流部3分の1ほどが、天井高の非常に低い区間で、進入時の潮位に注意することが必要です。
おなじみ海上保安庁海洋情報部の潮汐推算曲線で、通航日、芝浦の今年3月14日の潮位を見てみると、通航時の12:00~13:00の間の潮位は80~107cm。少し圧迫感はあったものの、21ft・オープンの我が艇は充分な余裕をもってかわすことができたので、同クラスのハードトップ艇であっても、100cm前後からそれ以下の潮位であれば、まず問題はないでしょう。
●水深は水道橋1・2号分水路同様、通航時で4m前後と充分で、ところどころに浅い部分のある、神田川本流よりむしろ気楽なほど。ただし、シールド区間は円断面ですから、端に寄り過ぎないようにするのは言うまでもありません。
また、これも何度か触れましたが、進入は下流側から、遡上するかたちにするのをお勧めします。トラブルで一旦停止することになっても体勢が立て直しやすく、特に開口部から脱出する際にも、バウが先に振られ、狭い径間に狙いがつけやすいので、何かと都合が良いものです。
ちなみに、番組収録時に乗せていただいた船宿さんのカタマランは、長さ約10m、幅は3m弱といったところ。これほどの大型艇を、ほとんど壁に触れさせることなく通過させた、船頭さんの腕には驚くばかりでした。お勧めはしませんが、この寸法が通航艇の最大値と言っていいように思えます。
●数少ない開口部以外は、全く明かりのないところですから、照明が命であるのは「神田川分水路まつり…1」ほかでも触れたとおりです。もちろん複数の光源を準備するべきですが、今回感じたのは、天井高のある発進縦坑を堪能するには、あと一つ二つ、強力なライトが欲しいということ。
いかなフラッシュがあるとは言え、薄暗い中ではコンデジ君も測距をしかねるのか、今回はピンボケやブレも多く泣かされました。もっとも、バッテリーの容量は限りがあるので、常に複数を点灯させておくのは不安があります。もう一つ、手元スイッチのついた、スポット用をあつらえるしかなさそうですね。
●一つ積み残しがありました。写真は、昌平橋の上流側人道橋と、車道橋の間、北岸を見たところ。古いままの石垣護岸に、雨水吐らしいパイプが二本見えますが、いずれも板で塞がれていますね。
これ、位置的に見て、「分水路打通作戦【お茶の水分水路編】…1」で見た、下水合流部の旧吐口ではないでしょうか。「分水路打通作戦【水道橋1号分水路編】…2」の「暗渠化小石川河口」同様、分水路の建設によって、分断されてしまった暗渠も少なくないに違いありません。
そういえば、このあたりはかつて、石神井川の末端が南北に流れていた、旧河道の跡…。20年ほど前まで、昌平橋上流北岸には樋門があり、「暗渠化石神井川(?)」かしら、と妄想していたのですが、それもいつの間にか消えてしまいました。やはりこれも、分水路の竣工によるものだったのでしょうか。
(22年3月14日撮影)
【追記】上記のGoogleマップ「神田川・お茶の水分水路略図」は、大幅に加筆・修正しタイトルも「神田川・水道橋分水路・お茶の水分水路略図」としました。詳しくは「水道橋分水路・お茶の水分水路のまとめ」をご覧ください。
(この項おわり)

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●例によって、お茶の水分水路について、いくつか気になったところをまとめてみました。過去の記事と重複する部分もありますが、ご参考まで。

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●まずはGoogleマップに、お茶の水分水路のおおよその経路を落としてみました。ハメコミ表示にすると、なぜかどうしてもずれてしまうので、上の地図は単なるJpg画像です。リンク先をクリックしてご覧ください。
図面から写したわけではないので、水路幅や経路については推測の部分があり、正確ではありません、念のため。また、都心ということもあり、どうしても他の表示に埋もれがちですので、地名を非表示とし、拡大して細部をご覧になることをお勧めします(アラが目につくでしょうが)。
●しかし、改めて上空から眺めてみると、ちょうど本郷台の西端から東端までを掘り抜いた、まさに「現代の仙台堀」と呼んでも言い過ぎでない、大分水路であることが見て取れますね。
二度の屈曲があり、河道の拡幅も難しいこの区間に、地下に平行して河道を設け、上流の急激な増水に対応できる流下能力を持たせるために、お茶の水分水路が掘られたのでしょう。
先輩格である水道橋分水路と、あまりに扱いに差があることから、記事中では憎まれ口を叩いたりしましたが、やはりこれだけ建て込んだ、しかも丘陵の地下を掘り抜いたのですから、都市河川の治水事業としては、世紀の大工事と言って差し支えない、石碑をもって顕彰されるにふさわしい規模のものだったと思います。
●通航時に気になったことをいくつか。
●記事中でも紹介したように、下流開鑿区間の吐口付近と、シールド区間の下流部3分の1ほどが、天井高の非常に低い区間で、進入時の潮位に注意することが必要です。
おなじみ海上保安庁海洋情報部の潮汐推算曲線で、通航日、芝浦の今年3月14日の潮位を見てみると、通航時の12:00~13:00の間の潮位は80~107cm。少し圧迫感はあったものの、21ft・オープンの我が艇は充分な余裕をもってかわすことができたので、同クラスのハードトップ艇であっても、100cm前後からそれ以下の潮位であれば、まず問題はないでしょう。
●水深は水道橋1・2号分水路同様、通航時で4m前後と充分で、ところどころに浅い部分のある、神田川本流よりむしろ気楽なほど。ただし、シールド区間は円断面ですから、端に寄り過ぎないようにするのは言うまでもありません。
また、これも何度か触れましたが、進入は下流側から、遡上するかたちにするのをお勧めします。トラブルで一旦停止することになっても体勢が立て直しやすく、特に開口部から脱出する際にも、バウが先に振られ、狭い径間に狙いがつけやすいので、何かと都合が良いものです。
ちなみに、番組収録時に乗せていただいた船宿さんのカタマランは、長さ約10m、幅は3m弱といったところ。これほどの大型艇を、ほとんど壁に触れさせることなく通過させた、船頭さんの腕には驚くばかりでした。お勧めはしませんが、この寸法が通航艇の最大値と言っていいように思えます。
●数少ない開口部以外は、全く明かりのないところですから、照明が命であるのは「神田川分水路まつり…1」ほかでも触れたとおりです。もちろん複数の光源を準備するべきですが、今回感じたのは、天井高のある発進縦坑を堪能するには、あと一つ二つ、強力なライトが欲しいということ。
いかなフラッシュがあるとは言え、薄暗い中ではコンデジ君も測距をしかねるのか、今回はピンボケやブレも多く泣かされました。もっとも、バッテリーの容量は限りがあるので、常に複数を点灯させておくのは不安があります。もう一つ、手元スイッチのついた、スポット用をあつらえるしかなさそうですね。

これ、位置的に見て、「分水路打通作戦【お茶の水分水路編】…1」で見た、下水合流部の旧吐口ではないでしょうか。「分水路打通作戦【水道橋1号分水路編】…2」の「暗渠化小石川河口」同様、分水路の建設によって、分断されてしまった暗渠も少なくないに違いありません。
そういえば、このあたりはかつて、石神井川の末端が南北に流れていた、旧河道の跡…。20年ほど前まで、昌平橋上流北岸には樋門があり、「暗渠化石神井川(?)」かしら、と妄想していたのですが、それもいつの間にか消えてしまいました。やはりこれも、分水路の竣工によるものだったのでしょうか。
(22年3月14日撮影)
【追記】上記のGoogleマップ「神田川・お茶の水分水路略図」は、大幅に加筆・修正しタイトルも「神田川・水道橋分水路・お茶の水分水路略図」としました。詳しくは「水道橋分水路・お茶の水分水路のまとめ」をご覧ください。
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