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分水路打通作戦【お茶の水分水路編】…0

26078.jpg以前も紹介しましたが、「神田川・お茶の水分水路」(長崎大学工学部・社会開発工学科・地盤環境研究室)や、「実績紹介」(大成建設株式会社)で、詳しい要目や写真が公開されているにもかかわらず、「『呼ばれていない』水路は通らない」信仰と、単なる気の小ささから、通航を長い間ためらっていた、お茶の水分水路。

神田川の分水路中最強と言っても過言でない、見どころ満載の可航暗渠であるここを、あるきっかけからついに通る…いや、通らざるを得ない日がやって来てしまいました。
そのきっかけとは…、

タモリ倶楽部からのお召しであります。

分水路航行経験者として、お声をかけていただいたのは嬉しかったのですが、すでに紹介した水道橋(2号)分水路だけでなく、お茶の水分水路を通りたい、とのスタッフからのご相談に、正直考え込んでしまいました。

珍しく、ウェブ上に詳しい情報がある水路とは言え、安全を確認していない未踏破区間、しかも、我が木っ端ブネに著名な方々をお迎えするとなれば、責任はきわめて重大です。

まあ、我が艇があまりに小さいこともあり、撮影には船宿さんのカタマラン(双胴艇)を出すこととなって、重責からは解放されホッとしたのですが、さて安心してみると、現金なことに収まらないのは水路バカ魂

お茶の水分水路を、自艇で通らずして放映日を迎えては水路徘徊者の名折れと、収録後日を待たず、まさに横っ飛びに強行突入してきた…というわけです。


ええ…、そんなわけで、先に通っていたお茶の水分水路を後回しにしたのは、放映日前のネタバレが、差し障りがあると考えてのことでした。勿体をつけたようで申しわけありませんでした。(いろんなところで書かれてしまったのでもうバレバレとも)

すでにテレビでご覧のように、出演者の皆さんと一緒の船に乗り、神田川や分水路の解説をせよとのご下命です。木っ端ブネとは言え舵を握っていれば、曲がりなりにも船頭面ができるのですが、お他人様の船の上とくれば、単なるしょぼくれた小男に過ぎません。もう緊張のあまり、気の利いたことも言えず、ひたすら小さくかしこまっておりました。

26080.jpg
水道橋の上から頼んで撮ってもらった、水道橋下流開口部からの脱出シーン。

出演者の皆さんと、スタッフご一行を乗せた船宿のカタマランは、長さ10mはある巨大なもので、分水路の出入りにはほぼギリギリのサイズ。この船を不安なく取り回した船頭さんの腕は、実に惚れ惚れするものでした。

26081.jpg
同じく水道橋の上から、上流に去る撮影隊を見たところ。後ろに続いているのは随伴艇で、もう一組のカメラクルーが乗っています。

奥に見える後楽橋の上では、タモリ倶楽部船団が発見されるや、もう黒山の人だかり。その中のおじいさんから「タモリさん、がんばって~!」と声がかかると、「俺はもうがんばったから、あんたががんばれよ!」とタモリさんが返す一幕も(笑)。

タモリさんは川の歴史や船のことも、実によくご存知で、私ごときが解説者を称してご一緒させていただくのも、おこがましく思えるほど。
道々、神田川開鑿や、曳船のスラスター、果ては八木アンテナ(帰路に気象庁の横を通ったとき、無線鉄塔からなぜか八木アンテナの話になり、お互いが自作経験のあったことに気づいた)に至るまで、コアな話題で盛り上がらせていただき、緊張しながらも楽しい時間を過ごさせていただきました。出演者はじめスタッフの皆様、お世話になり、ありがとうございました。

ちなみにこの日は、少し風はあったものの穏やかな快晴で、気温も20℃を越えるという季節はずれの暖かさでした。タモリさんのご人徳でしょう。



26082.jpg
さて、突入です。
緊迫の闇への入口にしては、上で見守るお父さんと子供がいかにものどか。しかし、この狭くて低いところを、あの巨大なカタマランが通ったなんて…改めて、凄い体験だったなあ。
以前は、自艇ではとても通れまい、カヤックかインフレータブルでなければ無理だろう、と思い込んでいたくらいですから。

神田川・お茶の水分水路」によれば、総延長は1300m。続く水道橋1号分水路の、今回走破区間とあわせると、約2600mの暗闇の始まり。まあ、「打通作戦」なるお題も、少なくとも自分的には、決して大げさではなかったのです。
撮影地点のMapion地図

(最後の写真のみ、22年3月14日撮影)

【ご案内】
水道橋1・2号分水路については、以下の記事で紹介しています。

神田川分水路まつり…1神田川分水路まつり…13
分水路まつり覚え書き
水道橋分水路のマンホールを探す
分水路打通作戦【水道橋1号分水路編】…1分水路打通作戦【水道橋1号分水路編】…9

(『分水路打通作戦【お茶の水分水路編】…1』につづく)

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タグ : お茶の水分水路分水路神田川タモリ倶楽部

コメント

No title

たった今、タモリ倶楽部をみてこのブログにたどり着きました。
非常に興味深いもので、自分も実物を見てみたくなりましたー。

Re: No title

>ゆいちさん
さっそくお越しいただき、ありがとうございました。
分水路を通るツアーが企画されれば、誰でも気軽に楽しめるんですが…船宿さんあたりがやってくれませんかね?

No title

同じくタモリ倶楽部見て来ました。
いや~ 凄いの一言です。
あの梯子を上がっていくと何処に出るのかが気になりました(笑)

Re: No title

>RYOさん
ご覧いただき、ありがとうございました。
縦坑のハシゴの上の様子、近日中にアップしますので、よろしければまたお越しください。

おつかれさまでした!

昨晩はしっかりと(twitterで実況などせずに画面を正視して)拝見いたしました。船頭さまゲストにつっこまれまくりだったので、助けに行きたくなりました(笑)。これから都内水路探険がさかんになりそうです。

Re: おつかれさまでした!

>jsato@floodgatesさん
夜遅くまでお付き合い下さり、ありがとうございました。
ええもう、つっこまれる快感に目覚めそうで怖いです。つっこんでください(笑)。
水も温むこの時季、実にタイムリーな企画だったと思います。船宿さんに「分水路くぐって」という注文が増えるかもしれませんね。

No title

こんにちは。
タモリ倶楽部拝見しました。おつかれさまです。

お茶の水分水路の入り口は水道橋にあることは、以前の記事にて知っていましたが、出口があんなところにあるとは意外でした。

川や暗渠の魅力にますますとりつかれてしまいそうです。

Re: No title

>くまたかさん
ご覧いただき、ありがとうございました。
分水路に限らず、暗渠は不思議な魅力がありますね。先日、工事の痕跡やマンホールを見つけながら、分水路のルートをたどって歩いたときは、中を通るのとまた違った面白さがありました。

僕も見ました!

僕もお気に入りの番組、タモリ倶楽部。
僕も見てましたよ!
コンクリートの何の変哲も無い暗闇空間は、解説が無いと面白くないと思うのですが、絶妙な解説があって、楽しませていただきました。
収録おつかれさまでした。

No title

こんばんは。
タモリ倶楽部御出演おめでとうございます。
遅れ馳せながら、ビデオ録画していたものを昨日拝見しました。
水門の佐藤先生に続いてのメジャーデビュー(?)ですね。

タモリ倶楽部は、興味深いネタを紹介されることが多いので、毎週見ていますが、分水路ネタでつながってくるとは思いませんでした。
世の中、どこで縁がつながっているか、わかりませんねぇ。

Re: 僕も見ました!

>lonechuck999さん
ご覧いただき、ありがとうございました。
貴重な体験をさせていただき、光栄至極ではあったのですが、「絶妙な解説」にはほど遠いアガりぶりで、自分で見ていて頭を抱えました…。

Re: No title

>木場在住の大阪人 さん
ご覧いただき、ありがとうございました。
佐藤老師の足元にも及びませんが、緊張しながらも何とか勤めを果たしてまいりました。
おっしゃるとおり、まことにご縁というものは、どこでどうつながるかわかりません。ありがたいことだったと感謝しています。

質問です

はじめまして。
水路のことで検索してここにつきました。
お茶の水界隈が大好きで、
ぜびこの近辺の水路を見てみたいのですが、
船で行く観光(?)などはあるのでしょうか?
調べたのですが、
情報が出てこないので質問させていただきました。

Re: 質問です

>chikoさん
柳橋の船宿、三浦屋さんの歴史クルーズプラン
http://www.funayado-miuraya.co.jp/rekishi-cruise.html
はいかがでしょう。
ほかにも、ワールドシティタワーズ・チャータークルーズの江戸情緒満喫川めぐり
http://www.marineclub.ne.jp/cruise_course/short2_cruise/01/index.html
があります。
くわしくは各船社にお問い合わせください。

No title

早速のお返事ありがとうございます!
ぜひ検討させていただきます☆

No title

すごく楽しそうで興味深いです。

是非是非同じような船に乗りたいです。

Re: No title

>マユさん
以前、こんなツアー(以下URL参照)もあったのですが‥‥。また開催されるといいですね。
http://suiro.blog27.fc2.com/blog-entry-680.html
小型艇のチャーターに応じてくれる業者さんもおられるようなので、交渉してみるのも手かもしれません。
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