捕鯨船に涙する…2

(『捕鯨船に涙する…1』のつづき)

27011.jpg
タイトルとあまり変わらないアングルで申しわけない。いや~、この角度から見ると、本当にタメ息が出るほど格好がよくて、何枚でも貼って眺めていたい気分。ぐっと反り返った舷側の曲線や、船首楼の高さが強調されて、私のヨタ写真でも、捕鯨船の魅力が存分に堪能できます。
船体は長さ/幅比を大きく取った細長いもので、いかにもスピードの出そうな、贅肉をそぎ落とした精悍さを感じさせます。主な漁場はご存知のように南氷洋でしたから、水線部は当然、耐氷構造になっているのでしょう。

捕鯨船の一大特徴である、船橋から砲甲板に至る橋(キャットウォーク)は、ガンナーズ・パッセージとも呼ばれ、その名のとおり、砲手の往来を確保するためのものです。いい響きだなあ、ガンナーズ・パッセージ。

27012.jpg
舷側に近づいて、船橋部分を見上げてみました。なんとこの船、マストと船橋が一つになった、昔の軍艦のような檣楼構造を採っているのですね。マスト上に鈴なりになった装備もあいまって、筋骨隆々とした逞しさが感じられますね。
よく見ると、デッキから立ち上がり、操舵室横の二層を貫く二本脚のトップには、キノコのようなキャップが。荒天時の通風筒も兼ねているのでしょうか。

マストのトップに見える四角い箱は、クロウズ・ネストと呼ばれる見張り台で、いざ漁が始まれば、ここに登って目視で鯨を探すわけです。中には、ここにレピータという簡単な操舵装置を備えて、直接舵を取れる船もあったとのこと。

27013.jpg船橋直後の上部構造には、ご覧のとおり「RESEARCH」と大書きされています。意味は言うまでもありませんが、失礼ながら何か生真面目と言うか、健気な感じがして…、あれっ、目から水が…。

舷側のブルワークに並ぶ穴は、捕獲した鯨の尾をゆわえておくためのロープホールで、曳鯨孔と呼ばれるのだそう。
写真左上には、ニュースでも報じられた長距離音響発生装置、通称LRAD(エルラド)も見えますね。効果は絶大だったようで、敵さん(笑)もこれにはずいぶん困らされたようです。

27014.jpg煙突も、黒い塗装と斜めにざっくり切り取ったデザインのせいか、なかなか精悍。後部マストと一体化した構造で、米国流に呼べば、マックといったところでしょうか。

もうお気づきとは思いますが、第二昭南丸、舷側上のぐるりにネットが張りめぐらされています。かつてはアンカーや、鯨を引っ張るために使われたであろう、船首尾のダビットを利用して、文字どおり防御網を張ったというわけです。

洋上では薬品の入ったビンを投げつけられ、その上接舷切り込み(?)まで仕掛けてくる輩がいるとなれば、これも仕方のないことなのでしょうが、船も窮屈そうで、いかにも哀れな感じが拭い去れません。

27015.jpgしかも、一息つけるはずの国内の港…晴海にもやってすら、「防御網」を解けないあたりに、この船の置かれた緊張状態が垣間見えて、また目から水が…。写真は、船尾に備えられた放水銃ですが、斜めに右舷を向いたままで、戦いぶりがしのばれるようでした。

救いだったのは、手入れがよいせいか、船体がきれいだったことでしょうか。万里の波濤を越え、さらに例の珍船(もったいないことをしました)にぶつけられたりした割には、大きな傷や錆垂れもなく、隙のない、凛とした風情に、頭が下がる思いがしたものです。


(22年3月22日撮影)

(『捕鯨船に涙する…3』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村
関連記事

タグ : 春海運河 捕鯨船

コメント

装備は放水銃だけ?

この艦船には超音波ネズミ防止器の親玉みたいな「The Long Range Acoustic Device」はついていないのですか?
http://bittercup.blog81.fc2.com/blog-entry-668.html

機能美

こんばんは。
門外漢が見ても美しいと思える形状です。
ペリーが開国を求めたのは、捕鯨船のための補給基地確保のためだったはず。先祖が致命的に数を減らした歴史を知ってか知らずか、日本を責めるアメリカ人に怒っている。まずい給食の鯨しか知らないおじさんです。

Re: 装備は放水銃だけ?

>bittercupさん

3枚目の写真左上に見える、円盤状のものがそれです。

Re: 機能美

>bbsawaさん
おっしゃるとおり、一つのことを成し遂げるために研ぎ澄まされた形は、実に美しいものですね。
私もギリギリで鯨の給食を体験した世代ですが、今となってはあの味が懐かしいです。獲れたての鯨肉はとても美味しいもので、毎日食べても飽きないそうですが。
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する