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「水運講座」を受講する

(『野田市郷土博物館を訪ねて』のつづき)

25001.jpg小雨の中を移動して昼食を済ませ、野田市役所へ。
時間があったら、利根運河や江戸川にもちょっと寄ってゆこうと思っていたものの、東京マラソンのおかげで都内を脱出するのに思いのほか時間がかかり、郷土博物館を見学するだけで精一杯でした。

今回の講座は、お知らせをいただいて以前から楽しみにしていたもの。この建物の7階ですね。

25002.jpgエレベーターホールに、案内が立てられていました。おなじみの通運丸を描いた錦絵があしらわれていて、気分が盛り上がります。

この講座、正式には「野田市集中講座」と称して、定期的に行なわれている市民講座のひとつで、今回のお題は「河川舟運・江戸時代から明治へ」。とても人気のある講座で、毎回欠かさず出席されている方もおられるのだとか。早めに入らないと、席がなくなることもあるとのことで、受付開始の12時30分には到着、受付で資料をいただいて、中で待つことにしました。
開始時刻になると、今回も実に100人近い受講者があり、大盛況。早めに来ておいてよかった…。

25003.jpgお目当ての講座は、玉井幹司氏のお話、「野田と近代の河川舟運・~川蒸気船を中心に~」。
玉井氏は、あの関東川蒸気の百科全書「川の上の近代」や、通運丸のペーパークラフトの発行元としても知られる、物流博物館の学芸員さんです。以前、物流博物館を訪ねた際、不躾な質問にも快くお答えいただくなど、大変お世話になった方でもあります。

川蒸気バカとして、このお話を聞き逃したら生涯悔いが残るでしょう! 腹くちくなった午後の眠気もいっぺんに吹き飛び、目を輝かせて聞き入りました。

玉井氏のお話は明快で面白く、散会後に受講者の感想を横で聞いていても大好評で、今回の講座で、川蒸気に関心を持たれた方も増えたように思えました。配布資料も16ページに及び、内国通運の成立から、昭和初期の河川航路衰亡まで、読みやすくレイアウトされたもので、受講料が無料なのが申しわけないほどでした。

自分的に、特に興味深かったのが、通運丸以前に登場した川蒸気船にもスポットを当て、すでに明治一桁、利根川水系に群小船社同士の運賃ダンピング競争まで起こっており、通運丸の登場は満を持したものであったこと、また鉄道開通以後、通説では急速に航路を縮小したように言われているが、どっこい安い運賃と、ゆっくり寝て目的地までゆけることを長所に、昭和初期までしぶとく生き残っていたこと、この2点が強調されていたこと。
単に史実を述べるにとどまらず、川蒸気への深い愛情が感じられる玉井氏ならではの語りぶりに、一ファンとしても胸の熱くなる思いでした。

25004.jpg
講演の中休みには、空もすっかり晴れ上がって、先ほどまでの冷たい雨がウソのよう。市役所の最上階とあって、眺めもよろしく、家並みの向こうに低い丘の連なる、いかにも関東平野らしい眺望が楽しめました。

25005.jpgおまけ。
市役所のエントランスホールにあった、地元の物産を並べたショーケース。

醤油や酒造などは知っていましたが、スナック菓子や清涼飲料など、食品関係の企業が多い土地柄なのですね。良質な水が得やすいからでしょうか。
撮影地点のMapion地図


(22年2月28日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 野田市集中講座川蒸気船

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