第三芭蕉丸の船旅…1

しばらくお休みしていた、昨年12月3日の、塩竃から北上運河に至るまでのお話を再開させていただきます。順番でいうと、「貞山運河の北端を見る」から、「北上運河閘門めぐり…1」の間になります。

19066.jpg貞山運河をあわただしくチラ見して、塩竃港・マリンゲート塩竃へ。ここまで来たからには、松島までは船で移動しなければウソでしょうと、予約をしておいたのです。
松島めぐりの船社はいくつかあるのですが、船隊に私好みのフネが多い、丸文松島汽船を予約しました。

分厚く曇ったあいにくの天気ですが、松島遊覧船は子供のころ一度乗ったきり、昔のこととて記憶も定かでないので、どんな船が迎えてくれるのか、楽しみではあります。

19067.jpg館内に入り、出札口で手続きをしようとしたら、前で所在なげに立っていた背広姿の初老の紳士に、声をかけられました。町工場の社長さんといった風情で、気さくで頼もしそうな感じの男性です。

「お客さん、次の便に乗るの?」
「ええ、そうですが…」
「一つ前の便にしない?」
「?」

聞くと、牡蠣鍋ツアーの団体さんを乗せた船が出るのだが、団体さんが使うのは1階だけで、他の船室はまったく使わないから、そちらに乗ってみてはとのこと。
ここで、ははあと思い当たりました。松島観光船は、一人でもお客さんがあれば、船を一隻出港させなければなりません。恐らく次の便は、お客は我々だけなのでしょう。早い便に乗れるのなら、こちらとしても悪い話ではありません。

ひとつ確認したいことがありました。
「その船、外に出られますか?」
ご存知のとおり、私は船室内に閉じ込められるのが、何より我慢ならないたちです。
「一番上の一等船室なら、周りに出るところがあるよ」
さらに「社長さん」、たたみかけるように、
「そっちに変えてもらえるなら、特別に一等船室を半額にしますよ」
その話、乗った!

19068.jpg
「社長さん」が出札口に指示して、変更の手続きをしてくれました。船はすぐ出るとのことで、いそいそと桟橋へ。もやっていたのは「第三芭蕉丸」。いや、丸文船隊の中でも、一番乗ってみたかった船に当たるとは! 干舷の低い船体に、三層の船室を重ねた古典的観光船スタイルで、私の好みど真ん中。

もし、次の便に乗っていたら、露天デッキのない小型船で、「新東京丸」のときのような欲求不満にさいなまれていたかもと思うと、「社長さん」のあざやかな機転に、大いに感謝したくなりました。
あの様子からすると、ホンモノの社長さんだったのかなあ…。

19069.jpg
船員さんにうながされて、最上甲板に上がり、一等船室の扉を開いて、二度びっくり。白いカバーのかかったソファーなど、目にするのはン十年ぶり。何だか、「社長シリーズ」の森繁久弥が出てきそうな、昭和30年代テイストの内装じゃないですか。
三つ揃えを着て葉巻をふかしたくなるような雰囲気です。
ますます嬉しくなりました!

19070.jpg船室の壁には、甲板の配置や非常口を示した図面が掲げられていました。外観と、一等船室の雰囲気から、かなり古い船だと思っていたら、図面の作成年は昭和61年。船としてはベテランには違いありますまいが、極端に古いと言うわけではありません。

う~ん、これは、「松島観光船、かくあるべし」といった、経営陣の好みが強く反映されたに違いない…と、勝手に妄想。さっきの「社長さん」、ガンコそうだったものなあ…。ともあれ、出港前から嬉しいこと続きで、天気に恵まれない憂鬱も、吹き飛んだような気持ちになりました。
撮影地点のMapion地図

(21年12月3日撮影)

【22年7月12日追記】Yahoo知恵袋で、拙文を読まれて一等船室乗船を決めた方がおられる模様。お役にたててよかった…。

(『第三芭蕉丸の船旅…2』につづく)

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タグ : 松島観光船 丸文松島汽船

コメント

船にも乗った

お久しぶりに書き込みます。
『その話、乗った!』に反応しました。
ソファーも良いし、眺めも良し。一等船室は良いことずくめ。
日頃の行いが良いと、幸運が舞い込んで来るようです。

Re: 船にも乗った

>bbsawaさん
恐縮です。日ごろの行いからかはわかりませんが、お陰さまでとても楽しい船旅でした。
次に乗る機会があっても、必ず丸文汽船の第三芭蕉丸を指定するでしょう!

No title

こんなに詳細に掲載して頂きまして、本当に有り難うございます。
会社を代表しまして、御礼を申し上げます。

丸文松島汽船(株)営業係長 矢部善之

Re: No title

>矢部っちさん
わざわざお越しいただき恐縮です。
こちらこそ、素晴らしい船旅を楽しませていただきありがとうございました。
また第三芭蕉丸に乗りにうかがいます!
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