北上運河閘門めぐり…7
(『北上運河閘門めぐり…6』のつづき)
●閘門付属の設備を見てみましょう。すでに廃されて久しい大曲閘門と違い、重要文化財指定を受けているだけあって、周囲は美しく整備されており、機械類のディテールまで心おきなく観賞できます。
写真は、南側扉体の開閉装置全体像。大曲閘門の項でも触れましたが、ロッド上に渡されたワイヤーを、箱状の手巻きウインチで巻き取ることで、ロッドを引きよせたり、あるいは押し戻したりして扉体を開閉する仕組みで、扉体の開閉にともなってロッドの角度も変わるため、ウィンチを収めた箱もそれに従い、回転する構造になっています。
説明板によるとこのウインチ、「絞車」とされていました。扉体一枚につき一組の開閉装置が必要なので、もちろん対岸にも同じものがあります。

●「絞車」のケーシングのアップ。この手の機械は大好きなので、雨で濡れそぼるのも構わず、撫で回して愛でてしまいました。表面には「北川」の文字が見えます。メーカーの名前なのか、それとも「北上川」の略符号でしょうか。
下に見えるプーリーは、ブレーキドラムですね。左のレバーを倒すと、ドラムに回された鋼のブレーキバンドが引き絞られてウインチの回転を止め、扉体が動かないようにしておくためのものでしょう。上の左側にある四角い軸に、クランクを差し込んでウインチを回します。
●各所に錆が浮いて、軸受けに油気もないため、一見すると「静態保存」のような雰囲気ではありますが、最低限の整備はされているようですね。
おなじみ「日本の川と災害」さんの「旧北上川 石井閘門(国指定重要文化財)」には、閘門を運転してボートを通航させた際の写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。掲載写真を拝見しても、運転にいかに人手が必要で、大変な作業になるかがわかります。これでは、一般船艇の気軽な通行などはとても望むべくもなく、恐らく年に数回程度、イベント的に運転されるだけでも、ありがたいと思わなければなりますまい。
●謎だったのが、閘室の真ん中あたりに立っていたこれ。
地下に向かってラックが伸びており、4つ足の上に乗った箱はギヤボックスらしいので、どう見ても、この下にスライドゲートがあるとしか思えません。閘室への注排水は、扉体に設けられたバルブで行う仕組みですから、バイパス管の注排水設備は必要がないと思うのですが、さて、何でしょう?
●側壁の石造護岸を見て。こちらにも、例のお椀型のアイが設けられていますね。
壁面とツライチにして、舷側が傷つくのを防ぐという意味では、なかなかよいアイデアに思えます。ただし、ここにもやいを取ったり、手でつかまったりするのは使い勝手は悪そうで、一長一短といったところでしょうか。
●北上運河を、南側の管理橋上から眺めて。閘門の前は水路幅を広げてあり、通航待ちのための船溜といった風情。両岸の法面には階段が設けられ、右手前にはカヤックかカッターのためでしょうか、スロープも設けられていたりして、船溜全体が親水施設となっています。
水面には鴨が泳ぐ、静かな住宅地に囲まれた閘門前の運河風景! お天気が良ければ、閘門を眺めながらお弁当を広げたくなるような、よい雰囲気の水辺でした。
(21年12月3日撮影)
(『北上運河閘門めぐり…8』につづく)

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写真は、南側扉体の開閉装置全体像。大曲閘門の項でも触れましたが、ロッド上に渡されたワイヤーを、箱状の手巻きウインチで巻き取ることで、ロッドを引きよせたり、あるいは押し戻したりして扉体を開閉する仕組みで、扉体の開閉にともなってロッドの角度も変わるため、ウィンチを収めた箱もそれに従い、回転する構造になっています。
説明板によるとこのウインチ、「絞車」とされていました。扉体一枚につき一組の開閉装置が必要なので、もちろん対岸にも同じものがあります。

●「絞車」のケーシングのアップ。この手の機械は大好きなので、雨で濡れそぼるのも構わず、撫で回して愛でてしまいました。表面には「北川」の文字が見えます。メーカーの名前なのか、それとも「北上川」の略符号でしょうか。
下に見えるプーリーは、ブレーキドラムですね。左のレバーを倒すと、ドラムに回された鋼のブレーキバンドが引き絞られてウインチの回転を止め、扉体が動かないようにしておくためのものでしょう。上の左側にある四角い軸に、クランクを差し込んでウインチを回します。
●各所に錆が浮いて、軸受けに油気もないため、一見すると「静態保存」のような雰囲気ではありますが、最低限の整備はされているようですね。
おなじみ「日本の川と災害」さんの「旧北上川 石井閘門(国指定重要文化財)」には、閘門を運転してボートを通航させた際の写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。掲載写真を拝見しても、運転にいかに人手が必要で、大変な作業になるかがわかります。これでは、一般船艇の気軽な通行などはとても望むべくもなく、恐らく年に数回程度、イベント的に運転されるだけでも、ありがたいと思わなければなりますまい。

地下に向かってラックが伸びており、4つ足の上に乗った箱はギヤボックスらしいので、どう見ても、この下にスライドゲートがあるとしか思えません。閘室への注排水は、扉体に設けられたバルブで行う仕組みですから、バイパス管の注排水設備は必要がないと思うのですが、さて、何でしょう?

壁面とツライチにして、舷側が傷つくのを防ぐという意味では、なかなかよいアイデアに思えます。ただし、ここにもやいを取ったり、手でつかまったりするのは使い勝手は悪そうで、一長一短といったところでしょうか。

水面には鴨が泳ぐ、静かな住宅地に囲まれた閘門前の運河風景! お天気が良ければ、閘門を眺めながらお弁当を広げたくなるような、よい雰囲気の水辺でした。
(21年12月3日撮影)
(『北上運河閘門めぐり…8』につづく)

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コメント
No title
Re: No title
>すぎちゃんさん
メーカーはまだ盛業中なのですね。こういった情報はとても嬉しいです、ありがとうございました!
メーカーはまだ盛業中なのですね。こういった情報はとても嬉しいです、ありがとうございました!
No title
あ、すみません。確証は無いんです。
ただウチンチ等も製造しているのでもしかしたらと思いまして(汗
参考程度にしてください。
ただウチンチ等も製造しているのでもしかしたらと思いまして(汗
参考程度にしてください。
Re: No title
>すぎちゃんさん
了解しました、いえいえ、ご教示いただいてありがとうございます。
北川さんのサイトを拝見しているだけでも楽しいです。
手巻きウインチとか小型ホイストって、機会の原点のようで夢がありますよね。
了解しました、いえいえ、ご教示いただいてありがとうございます。
北川さんのサイトを拝見しているだけでも楽しいです。
手巻きウインチとか小型ホイストって、機会の原点のようで夢がありますよね。
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クレーンも製造している会社なんですが。
http://www.kiw.co.jp/
橋梁関係結構強いんです。