蹴上インクライン…1

(『三十石舟の宿・月見館…2』のつづき)

15121.jpgまたまた川っぺり電車・京阪線に乗って観月橋を離れ、洛中の宿へ。あれ、運転室の仕切に、成田山のお守りが。

これは京阪独特の習慣なのか、それとも、他の電鉄でもやっているのか…。いずれにせよ、客室側にお札を掲げるのは、珍しく思いました。単に、私が気づいていないだけかもしれませんが…。


15122.jpg翌12日、目覚めると外は土砂降りの雨! これにはガックリ来て、もう帰ってしまおうかと思ったくらいだったのですが、幸いにして宿を出るころには小降りになり、空が明るくなってきました。

濡れた路面を踏んで、2日目最初の水運趣味スポットへ。これも三栖閘門と並んで名高い、琵琶湖疏水最大の舟運遺跡、蹴上インクライン。白川通りから南禅寺船溜を見たところ。雨が止んだばかりの木立はしっとりと、緑鮮やかな景色を見せてくれました。
撮影地点のMapion地図

15123.jpg最初は、そのつもりではなかったのですが、こうしてインクラインの軌道敷を見ていると、ムラムラとこう、気分が盛り上がってきて…。

今ひとつのお目当てだった、琵琶湖疏水記念館が改装休館中ということもあり、そのカタキを打つような心持で、ずんずんと線路の間に敷かれた石畳を、歩き出していました。

15124.jpg
葉に露をやどす桜並木を見上げつつ進むと、坂の中腹辺りで、舟を乗せていた台車が見えてきました。周りに草が繁っているので、廃道上のポニートラス橋といった雰囲気です。

この台車が2本の線路に1台づつ、エンドレスワイヤーに結ばれてつるべ式に坂を上下し、舟を運んでいたのですね。台車の床下には、ワイヤーのゆるみを調整するための、ラチェット付きドラムも設けられていたそうです。

15125.jpg台車の床下の…まあ、これも台車と呼ぶしかないのですが…アップ。有名な物件なので、各所で紹介されてはいるものの、台車部分の写真はあまりなかったので、ディテールをよく見てみたかったのです。

鉄道車輌の台車と異なるのは、水平方向には回転せず、バネなどの緩衝装置は備えていないこと。また、車輪も左右を軸で結ばれておらず、一枚づつ独立した、しかもプーリーのような溝付き車輪なのですね。

舟航用のインクラインと、我々の乗るケーブルカーの一番の違いは、線路が登る一方でなく、坂の頂上からほんの少し降りて、船溜の水面下に潜らなければならない部分でしょう。台車もサミットを支障なく越えられるよう、中央に支点を設けて、車輪を上下にイコライジングできるようになっている…などなど、細かい部分は初めて見ただけに、あれこれと興味が尽きませんでした。


(21年9月12日撮影)

【21年10月12日追記】コメント欄にて、がーちゃんさんより成田山のお札の件について、ご指摘いただきました。詳細はコメント欄のリンク先をお読みいただきたいのですが、京阪電鉄が、香里園の成田山不動尊に土地を提供して以来のご縁のようですね。ありがとうございました!

(『蹴上インクライン…2』につづく)

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タグ : 蹴上インクライン 琵琶湖疏水

コメント

No title

こんにちは
お札については下記URLの成田山不動尊のFAQに「京阪電車や京阪バスに乗ると成田山不動尊のお札を見かけますが、どうしてですか?」という項目がありましたので貼っておきます。
http://www.osaka-naritasan.or.jp/about/faq.html

子供のころ、このインクラインの話を口伝で聞いた時になぜか水の上に浮いたまま船が移動するようなイメージを受けたのを思い出しました。

Re: No title

>がーちゃんさん
おおお、信心深い電鉄会社なのですね、膨大な量のお札も、毎年取り替えるのですか。ご指摘ありがとうございました!

>水の上に浮いたまま船が移動するような
わかります、次項でも触れようと思うのですが、蹴上インクラインって、図版できちんと説明されないと、構造が意外と理解しづらいんですよね。

勉強になります

はじめまして
ぱっと見、鉄道と同じように見えるのですが、台車は、全く別物なのですね。
草が枯れている2月頃に、じっくり観察しようと思います。
旧ブログの時から、見るだけだったのですが、今回ついに書き込みました。

Re: 勉強になります

>bbsawaさん
旧ブログよりお読みくださり、ありがとうございます!
おっしゃるとおり、雑草の少なくなる冬の方が、観賞には適していそうですね。
これからもお気軽にお越しください。
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