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鳥羽港を見下ろす宿で

(『二見浦夫婦岩にて』のつづき)

312076.jpg今回のお宿は奮発して、鳥羽駅にほど近い「戸田家」さんにしました。鳥羽港の北端近く、佐田浜の船溜を前にした場所にあり、いかにも眺めがよさそうな立地。

到着してみると、ロビーから見える景色からしてすでに、桟橋にもやう遊覧船の船影が間近に迫る港情緒横溢の好環境。こりゃいいやと、ニヤつきながら部屋に上がってみたら‥‥。

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‥‥おおお!

眼下には船溜と佐田浜のマリンターミナル、その向こうには右手の坂手島と菅島、左手には答志島が重畳たる緑の山並を見せており、二つの島の間に伸びる"瀬戸"の延長線上はるかには、伊良湖水道上に浮かぶ神島らしき影も望めます。

お天気がいま一つだったのは残念でしたが、まことに絶景というほかなく、しばし唸りながら見入ったものでした。ご当地は九鬼海賊衆の本拠地だった、鳥羽城址があることでも知られていますが、今にも軍船の大船団が、艪声をとどろかせて島影から出てきそうな雰囲気じゃないですか!

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真正面、マリンターミナルの手前にもやう、巡視船艇にさっそく目線が吸い寄せられました。鳥羽海上保安部の巡視艇「とばぎり」と、向こうは「しののめ」でしょうか。

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ちょっとピンが甘くてごめんなさい。埠頭手前の桟橋に舷を接してもやうフネブネ、鳥羽湾めぐりの遊覧船や島々への渡船でしょうか、こちらも魅力的です。「サンキュー」、いい名前ですねえ。

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この部屋に当たって、嬉しかったことがもう一つありました。床の間に掲げられていた円額縁の絵が、スズメだったこと。絵には詳しくないので作家さんには失礼ながら、薄墨で描かれた二羽のスズメがただただ可愛らしくて、愛雀家を自称する身としては目尻が下がったものでした。

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早朝から動いていたこともあり、少し横になろうかな‥‥と思っていたところ、窓の外に見える出船入船が気になって、ひと眠りするどころではありません。思わぬ盲点でありました!

白いウェーキを引いて、伊良湖岬へ向かう伊勢湾フェリーの「伊勢丸」。これに乗って、渥美半島経由で鳥羽入りすることも考えたのですが、時間の関係から断念しました。

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おお、あの塗り分けのガット船は‥‥インフレナンバーが特徴(?)の「鳳生丸」船隊! ズームでたぐると、辛うじて船名が判読できました。「第弐百三十八鳳生丸」です。

最近では令和5年7月に、辰巳埠頭で「第弐百三十六鳳生丸」に会っています。水路行の道々ではないといえ、「鳳生丸」船隊を目にするのはこれで4隻目。コンプリートを目指せるかも!

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伊勢湾フェリー、今度は「鳥羽丸」が入港してきました。緑濃い山並を間近に背負って走る船影、しみじみいいですねえ‥‥。

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赤い船体の入港船が、かなり遠くから目立っていたので、近づいてくるまでずっと目で追ってしまいました。ああ、休む暇がない‥‥嬉しい悲鳴であります。

塗色から消防艇かな、と思っていたら、放水銃はあるもののちょっと違うような。船名は「ほうりゅう」。検索してみたら、「伊勢湾のエスコートボート」(Advectionfog)がヒット。上野マリタイム・ジャパンの運航するエスコートボートで111総t、25㏏とこの種の船としてはなかなかの韋駄天です。

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夕闇が迫るころ、先ほど出港していった伊勢湾フェリーの「伊勢丸」が、暮れなずむ海上を帰ってきました。灯火が目に沁みるよう。

あ、もう食事の時間だ‥‥。港口を見下ろす宿ならではの入出港風景に、昼寝する間もなかったというお粗末でした。

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夕食会場が最上階の回転レストラン(!)だったのもよかったのですが、フネ好き、さらに和船好きとしては見逃せない展示物を発見!

吹き抜けに飾られているこれ‥‥塗りの派手さからすると、鯨舟じゃないですか? ハフハフと駆け寄ったのはいうまでもなく。ご当地鳥羽は、古くから沿岸捕鯨が盛んだったところ。鯨舟が展示されていても不自然ではありません。

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刀身のように長く伸びた水押、その上にある波除けのタイプは馬乗立、小舟ながら脇艪のログイが片舷3か所づつの六丁艪‥‥。鯨を追うため、行き足の軽快さに特化した造りなのがわかりました。

捕鯨はもちろんこれ一艘ではなし得ず、さまざまな役割を持った舟たちが数十艘の大船団を組んで、鯨を追い、銛を打ち、網をかけて追い込む命がけの漁‥‥。色彩豊かな舟々が入り乱れ、血飛沫をあげる鯨と格闘するさまを想像したものでした。

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説明板も高札風で凝っていますね。船種は勢子舟、船名は「嬉春丸」、平成6年竣工。ログイの形が略式だったので、実際に水上を漕いで走るようにはできておらず、あくまで展示物なのでしょう。

それでも和船、鯨舟がこうして顕彰されていることは嬉しく、部屋からの眺めと合わせて、フネ好きとしてハイレベルのおもてなしをされた気持ちになったものでした。いい宿ですわ戸田家さん‥‥。

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暖かい部屋で早々に眠りにつき、翌2日、夜明け前に気持ちよく目覚めました。カーテンを開けると、水面が払暁の空を映し、島々のシルエットが黒々と横たわる前に港の灯りがちりばめられ、これまた感動的な絶景。蒼穹を薙いだような雲のかたち、明けゆく空が凄絶といってよい美しさ。いや、来てよかったです‥‥。

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ああ、きれいだなあ‥‥。明るさを増してゆく空は、青空のパーセンテージが高く、好天への希望が持てそう。

この後は一大イベントが控えているので、朝食会場に一番で飛び込み、名残惜しいですが、慌ただしくチェックアウトしなければなりません。フネブネがいながらにして楽しめ、もちろん居心地もよく、本当にいい宿でした。お世話になりました!


(令和6年2月1日・2日撮影)

(『深谷水道を通って…1』につづく)

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タグ : 鳥羽港戸田家