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真山神社の丸木舟…4

(『真山神社の丸木舟…3』のつづき)

302096.jpgこちらの展示写真は、手斧での中刳から仕上げ、舟下しの神事まで。窓枠の上には、祝詞の奉詠が全文掲げられていました。凄い‥‥。

刳舟の工作というと、力がかかって割れたりしないよう、燃やして炭化したところを削り取るのかと思い込んでいたのですが、ほぼ生木のまま切り出して刳り、完成後はすぐに使うのだそう。何年もかけて原木の脂抜きをする、板組みの舟とは大いに異なるところです。

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展示された図版の中には、奉納された丸木舟の木割図(の複写かな)もありました! 差し障りがあるので写真のサイズは小さくしておきますが、反りまで含めた天地が最大2尺3寸5分、長さが最大21尺5寸、原木の円周は17尺まわらなければ(舟が)できない‥‥などとメモしてあり、大いに参考になりました。

ちなみに、製作者は船大工のほか、器用な人であれば使用者自身が造ることもあったそう。何分数十年以上は持つという、寿命がえらく長いものなので、新造舟が継続してあるわけもなく、ために建造を経験した人が、つねにいるわけではなかったということでしょう。経験者ではなく、残された現物によって、伝承された側面も少なくないようです。

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丸木舟の建造に足る、円周17尺‥‥5.15mを超える杉となると、樹齢は300年ではきかない大木です。さらにその中から、目が詰んでいて割れやウロのない、舟造りに適したものとなればさらに少なく、材として貴重極まりないものだったでしょう。まして、建材、船材に木材の利用が盛んだった、近代以前においておや。

古木を豊かに蔵する人跡もまれな峻険な山が、水辺の間近に迫っているというこれまた希少な条件でなければ、成立しえなかったのが男鹿の丸木舟なのですね。

302099.jpg展示を拝見した参拝者休憩所では、「男鹿の丸木舟 男鹿と海の生活」と題した三つ折りの配布物を頂戴しました。

男鹿の地勢から説き起こし、丸木舟の特性や使用法、搭載された船具、漁具の解説、そして現役時に採寸された戸賀塩浜の丸木舟を描いた実測図など、小さいながら充実した内容。興味のある向きは展示とともに、ぜひご覧になることをお勧めしたいです。

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すでに長く公開されているものに、"新発見"じみた興奮をするのもおこがましいかぎりですが、たまたま真山神社をお参りしたご縁に恵まれて、楽しく、また目を見開かれたひとときでした。ご親切にご対応いただいたご神職に、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました!

【参考文献】 丸木舟(ものと人間の文化史 98) 出口晶子著 法政大学出版局

(令和5年7月26日撮影)

(『干拓博物館とカタブネ…1』につづく)

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タグ : 真山神社丸木舟