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真山神社の丸木舟…3

(『真山神社の丸木舟…2』のつづき)

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船首周りのアップ。頼もしいほどの厚みは、暗岩・洗岩が無数にあるご当地の海で、ワカメ、タコ、ナマコなどの採集をするこの種の舟にとって、なくてはならないもの。曲面に従って紋様を変えてゆく木目も面白く、ところどころに施された埋め木とともに、ふんふんと眺めまわすことしばし。

気になったのは、両舷を貫く穴が開けられていること。通常の和船であれば、貫木(かんのき)という、今でいうボラードやクリート的な使い方をする部材が貫通して設けられるところで、川舟であれば瀬張棒、岸から押すための横材が通されるところ。

丸木舟男鹿なび)の写真にあるように、現存している丸木舟にはどれもこの穴があるようですが、貫木を通した写真は残念ながら手元の資料にもなく、実際にどんな使われ方をしたのかはわかりませんでした。

しかし、このリンク先にある「機付き丸木舟」の写真、長年にわたり使われた現役時の様子が記録されて、実にいい一枚ですね! ザクザクに割れた船首(これは奉納の単材刳舟と違い、複材刳舟のようでしたが)をカスガイで補修を重ね、ガンネルを別材で沿わせて補強しと、磯の厳しい環境とともに、"使い倒された"さまが伝わってきて、その堅牢さにも感じ入ったものでした。

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302093.jpgひとしきり盛り上がったところで、ご神職から、後ろの休憩所に丸木舟建造時の展示があるので、ご覧になったらとこれまた嬉しいお勧めが。社務所の側面に回ってみると、なるほど「参拝者休憩所」と書かれた小さな看板が掲げられ、扉は開け放たれています。図録みたいなものもあるかしら‥‥。

入口の右手には、「なまはげ柴灯まつり実施本部」「日本海域文化研究所」という墨痕鮮やかな表札も掲げられ、崇敬者や研究家の拠点となっていることもうかがえます。お邪魔してみましょう。

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おお! 古びて褪色してはいるものの、原木の切り出しから作業前の神事、粗削りと丸木舟の建造風景が、順を追って写真で展示されているじゃないですか! これは素晴らしい。

最末期に現役だった丸木舟たちは、昭和30年代に営林署から数本払い下げられた官木で、いっせいに造られたものだったそう。とすると、存命の船大工による復元建造としては、平成初期がぎりぎりの時期だったことでしょう。

船外機を備え、つい最近まで磯にあった丸木舟たち! その身上である長寿命があってこそ、研究家の目に留まり、こうして後世に伝えることができた、といってもよさそうですね。

302095.jpg展示資料の片隅に「現代に甦る古代舟 男鹿の丸木舟展 ―丸木舟の製作とその漁―」というタイトルが掲げられていました。その奥にはあいさつ文もあり、平成6年4月10日の日付が。

主催は表札にあった日本海域文化研究所、展示は秋田県立男鹿水族館とありました。やはり、経験者が存命だったであろう平成の初めというあたり、関係者の決断と伝承の熱意が伺えて、胸が熱くなる思いがしたものでした。

【参考文献】 丸木舟(ものと人間の文化史 98) 出口晶子著 法政大学出版局

(令和5年7月26日撮影)

(『真山神社の丸木舟…4』につづく)

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タグ : 真山神社丸木舟