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松川遊覧船みたび

(『新川橋閘門跡を訪ねて…2』のつづき)

283028.jpg新川橋閘門の跡を訪ねた翌日7月10日は、富山市の松川遊覧船に乗ることにしました。9日晩は豪雨だった天候も何とか持ち直し、この日は結構な暑さに。

乗り場である松川茶屋は平成29年9月にも立ち寄っていますが、乗船となると27年6月以来の7年ぶりです。中村珠太専務にご挨拶したいこともあり、電車に乗って桜橋電停に向かうことにしました。

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富山駅に降り立つと嬉しくなるのが、高架下が路面電車のターミナルとなっていること。加えて、令和2年3月より富山港線(富山ライトレール)と直通する工事が完成し、高架下をくぐって電車が南北へ抜けるようになったのですから、なおさらです。

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南北直通後に訪れるのは初めてとあって、物見高くなっておりますです。さっそく“抜けた”北側をのぞいてみると‥‥ちょうど岩瀬浜行の電車が発車を待っているところでした。

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直通電車に乗り通して、富岩運河から松川までお散歩してみたいのは山々ながら、時間も限られていることだしと岩瀬浜行を見送るだけでぐっとガマン。

しかし、電車というのは不思議ですね。慣れていない土地でも、ひょいと乗ってそのあたりを探検してみたくなります。バスも機能としては変わらないのに、いま一つ気が進まないのですよね。線路がある安心感は、やはり大きいよいうです。

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1系統の電車に乗って桜橋電停で下車、セミの声もにぎやかな松川べりを歩いて、松川茶屋に到着。お店の前に中村氏がおられたので、さっそくご挨拶。

出発までのひととき、接岸する「神通Ⅱ」を眺めながら、中村氏としばし歓談。コロナ禍で非常に厳しい状況の中、松川遊覧船を盛り立ててゆくご苦労、さまざまな取り組みや将来の夢についてなど、興味深く拝聴。街場の川舟乗りの熱い想い、ますます盛んであることを実感したものでした。

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出発時刻が近づいて「神通Ⅱ」に乗って待っていると、お客さんが続々と集まって来、結構な賑わいに。舵を取る船頭さんの名調子を聞きながら解纜、県庁前の七十二峰橋をくぐってまずは西へ。

濃密な桜並木が作る木陰が川面を覆い、微速とはいえ行き足も加わって、十分な涼が取れ気持ちのよいこと。流路幅のほどよい狭さとあいまって、玉石を固めた護岸がしっとりとした風情を醸し、魅力的な川景色。何度訪ねてもよいものですね。

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景雲橋のある湾入のテラスには、さっそく鷺さんの姿が。たいてい一羽で超然としていることが多いのですが、このときは珍しくカップル(?)で。船の姿を見ると、すぐに飛び去ってしまいましたが。

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舟橋をくぐってから戻り、こちらの派川にバウを突っ込んで、転回するのは以前と同様です。

平成19年(過去ログ『松川を棹舟でゆく…3』参照)に初めて訪れたときから、このRC橋は魅力的に映っていました。「栃木市RC橋めぐり…1」のシリーズで紹介したような小さな古豪橋が、富山市街にもまだたくさんあるに違いない、と思わせる渋い橋です。一度橋めぐりもやってみたいですね。

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沿岸の風物を船頭さんの説明で楽しみながらも、今回は水面に目を奪われることが結構ありました。底が見えるような浅い水深の松川ですが、意外に思えるほど魚影が濃いことに、今さらながら気づいたからです。

写真だと、ご覧のとおり鯉が目立ってしまいますが、たくさんの小魚が銀色の鱗をキラリ、キラリと陽光に反射させ、ついついとすばしこく泳ぎ回るさま、可愛らしいしぐさに目を奪われてしまい、水面ばかりのぞき込む妙な客に。これは後ほど、嬉しい体験につながりました。

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松川茶屋近くまで戻ってくると、県庁の敷地内にガラス張りの高層ビルが、新たに建てられているのに気づかされました。富山県防災・危機管理センターだそう。松川畔もずいぶん印象が変わりましたね。

船頭さんによれば、下層階のガラスが傾いてついているため、我々の乗った船が映って見えるそう。私は左舷に乗っていたので、残念ながら角度が足りませんでしたが、右舷に乗ったお客さんからは歓声が上がっていました。

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塩倉橋の下、繋留されたササブネの上に、ふたたびの鷺さん。この猛暑ときて、陽射しを避けて涼みに来たのでしょうか。羽をゆるめて動かないのんびりとした様子に、お客さんたちも大笑い。

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さて、松川の白眉といえば、昭和10年竣工の鋼アーチ、登録有形文化財でもある桜橋。この日も両岸の桜並木をしたがえて、悠揚迫らぬ風格ある姿を見せてくれました。

全長15.5mという、この長さがアーチの天地寸法とよくフィットしていて、実にまとまりのよい、眺めていて快い造形に思えるのですね。両岸の高さがあれば、江東の川にあってもおかしくないような、私の好みど真ん中の古豪鋼橋であります。

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久しぶりにくぐったこともあり、河道に対してはすになった、ねじれたような構造を仰いで堪能。リベットの並ぶ鋼アーチはいいですなあ。

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桜橋をくぐった左側、テラスの上では鳩さんの一群がツブれて翼を広げたり、寝転んだりと全開でおくつろぎ中。川風が抜け、河水で冷やされた石畳とあって、避暑には好環境のようですね!

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鼬川との合流点では、7年前にはなかった新しいサービスがありました。お魚への餌付けタイムです。鯉に与えるような、緑色をした粒餌の小カップが後席のお客さんから回されてきて、行き足を止めた船上から、河中の魚たちに撒いてやるというもの。

先ほどから気になっていた、小魚たちは集まってくれるかな? 期待を込めて餌を撒いてみると‥‥。

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魚たちは餌を与えてくれることを知っているようで、すでに船の周りはたくさんの小魚が泳ぎ回り、ピシャッ、ピシャッと水音をさせて跳ねるほど。鯉に食べられてしまうかも、と心配したのは杞憂で、鯉はせいぜい4~5匹にとどまりました。

写真は、私の撒いた餌をめがけて跳ねた小魚を、かろうじてスナップしたもの。中村氏によれば、小魚のほとんどはウグイで、まれにカワムツも混じるとのことでした。
遊覧船から、鳥や魚への餌付けをさせるのは各地で体験しましたが、動物が好きなこともあり、何度やっても楽しいですね。しかも、こういった小魚が人馴れしているのは初めてなので、新鮮でした。

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船を降りた後は、松川茶屋から道を挟んではす向かいに見える、富山市役所の展望台へ。中村氏いわく、市役所は休日で閉まっていても、展望台だけは無料で利用できるとのことで、上ってみることに。

幸い展望台は冷房もよく効いていて、快適そのもの。まずは塩倉橋周辺、松川茶屋から富山城址を望んで。もくもくと濃い緑の間にのぞける遊覧船たち、街場の舟航河川の存在感が光るいい眺めですね。

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展望台をめぐりながら、惹かれる構造物を探していると‥‥おお、6連と3連の堂々たるランガー、神通大橋に目が吸い寄せられました。神通川の橋も、もっと見てみたいなあ。富山に何度も訪れているのに、まだほんの少ししか触れていないのがわかり、悔しくもあり楽しみでもあり。

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展望台にあった設備で気に入ったのが、この有料双眼鏡。ツートンの塗色といい、鋳物らしいつるりとしたスタイルといい、どこか昔のSFに出てくる潜水船とか、そのあたりの乗物を思わせる渋い格好よさを感じたのです。

基部には真鍮製の銘板が掲げられていて、「TOPRING B-01」「東洋ゼンマイ株式会社」とあり、型式名、社名とも、これまた好みど真ん中。愛おしくなり、つるつると撫でまわしてしまいました!

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帰りはやはり松川沿いで、今度は河畔のテラスを歩いてみることに。ところどころ、低く垂れた枝を避けるのも面白く、小魚が泳ぐ川面を眺めながらの川さんぽ。久しぶりの松川、前回とはまた違った魅力も堪能できて、楽しく過ごすことができました。

(令和4年7月10日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 松川松川遊覧船水辺の鳥たち