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臨港消防署の異変

(『水門先生と江東運河地帯…8』のつづき)

12041.jpg亀島川を出て、ふたたび隅田川を下り、臨港消防署の前まで来てみると…あれ? 何か様子がおかしい!

最初に気づいたのは、特徴ある艇庫に、一隻も消防艇がいないことでした。いや、それどころか、手前の水面にあった桟橋群が、全て外されて跡形もない…。よく見ると、庁舎の中も何かがらんとして、灯りがともっておらず、人気が感じられません。

以前、伊根の舟屋になぞらえて、「超弩級舟屋」などと書いたことがありましたが、川面に張り出して造られ、3連の艇庫を持つその独特な構造は、都内の水辺でも異彩を放っており、少なくとも私にとっては、この上なく魅力的な建物だったのです。

この様子だと、もはや取り壊しも間近と見なければなるまい…。いや、これは最初で最後のチャンスかも! 頭に血が上った私は、佐藤氏ら同乗者の同意も取り付けず、いきなり宣言「あそこに入ってみます!」。
(…ゴメンナサイ、ほんの1分ほどで出ましたので…。)

12042.jpg流速があることを考えて、少し上流側に上がってから、進入開始。
エンジンを絞ると、やはりスターンが振られ、達着はなかなか難しそう。う~ん、消防艇の乗り組みの方にとっては、決して使い勝手の良い艇庫とは言えなかったかも、と勝手に想像。

特に、庁舎の建造時より、消防艇も大型化していますから、いかな現代では珍しい、屋根つきの「船蔵」とはいえ、出入りには神経をすり減らしたことでしょう。まあ、何事も慣れてしまえば、意外と大丈夫だったのかしら…。

12043.jpg一番左の艇庫に、鼻先を突っ込みました。
柱の裏にある階段は、なぜか中央に向けて、V字を描いて降りている不思議な構造。かつては手前の頭上にも、板でも渡した通路があったのかしら?

柱の表面には、2本づつ赤錆びたレールが這わせてある…。昔は水門のような、扉か何かがついていたとも思わせるパーツでしたが、もちろん根拠はありません。

12044.jpg天井には、クレーンのたぐいが備えられているものと期待したのですが、ご覧の通りあっさり。

壁にも、表示類などは特に見られず、がらんとした印象でした。撤収した際に取り外したのでしょうか。




12045.jpg上流側の壁面。さすがに星霜を感じさせる風化の具合でしたが、ゴムフェンダーなども一切取り付けてなく、アイがぽつりぽつりと下がっているのみで、こちらもあっさりです。

あちこち見回していたら、うかつにも流速に回されて、右舷が壁に触れそうになり、F氏に壁を押してもらって、からくも脱出。興味深く拝見はしたものの、やはり艇のいない「超弩級舟屋」は、さびしい限りでした…。
撮影地点のMapion地図

帰宅後、検索してみると、もうすでに各所で話題になっている…。ううむ、勉強不足でした。

まず、臨港消防署のオフィシャルサイトをのぞくと、「臨港消防署庁舎移転のお知らせ」で、大きく告知されているのを発見。移転は8月3日からで、仮庁舎は朝潮運河とのこと。しかし、なぜ移転するのかについては、特に説明がありませんでした。

「庁舎の老朽化により」くらい、書いてあってもよさそうなのにな…と思っていたら、ブログ「勝どき倉庫(仮)」に、なるほどと思った記事がありました。
【新聞】臨港消防署移転改築基本設計を綜で開始」によると、春海運河に建設中の、豊洲大橋から延びる道路、環状2号線の計画域に、臨港署が重なるための移転なのだそう。ということは、何年も前から、すでに計画されていたことなのですね。

(21年8月9日撮影)

(『ジェットフォイル入港!』につづく)

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タグ : 臨港消防署消防艇隅田川

コメント

No title

うちのUFO住警器~♪ にゃ驚きました。>臨港消防署オフィシャルサイト

Re: No title

>jsatoさん
ゆるキャラならぬ、ゆる歌ですね。お役所のなさることには、相変わらず目が離せません(笑)。

初めまして

臨海大橋初回架橋の頃からずっと興味深く拝見させて頂いてます。
臨港署移転したんですね。近くで働いていますが、
最近隅田川沿いを散歩していなかったので全然気付きませんでした。
これからも更新楽しみにしています。
私は今から来月の臨海大橋が気になって仕方ありません。

Re: 初めまして

>すぎちゃんさん
ありがとうございます、臨海大橋の架橋、楽しみですね。
あの巨大トラスが、クレーンバージによって持ち上げられる、一大スペクタクルをぜひ見てみたいものです。
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