雨の猊鼻渓…2
(『雨の猊鼻渓…1』のつづき)

●検温・消毒を済ませて待合室から乗り場に出てみると、すでに先客が乗っていて、船頭さんも艫にスタンバイしていました。雨天の朝に我々以外にもお客さんがあるとは、さすが日本百景に選ばれた景勝地、あなどれません。
●ビニールの屋根をたたく雨音を聞きつつ、船頭さんの竿さばきで桟橋を解纜。舟はいったん下流側を向いてから、堰と大船渡線の鉄橋を眺めつつ、ぐるりと船首をめぐらして上流へ。
写真左手、法面に樋門の開口部と扉体の巻上機が見えますね。あそこが用水の取水口なのでしょう。

●遡上を始めて間もなく、さっそく右手に「鏡明岩 kyomei-Gan」と看板を掲げた岩が出現。なるほど名のとおり、鏡を思わせる平らかさ。ローマ字の横に番号がふってあるのも、水郷の十二橋などを思わせて微笑ましい感じです。
猊鼻渓に見られる岩たちは、「古生代の堆積岩類の一部である石炭紀~二畳紀の石灰岩」(『地質ニュース 606号 みちのく石便り(その4)岩手の石と岩』63頁より)だそう。なるほど、このあたりは石灰石が産物の一つで、鉱山があちこちにあり、大船渡線も石灰石の積み出しで賑わった時代があったのですよね。
●舟は進むにつれ、左手の岸にぐっと寄せてきました。水面を見ると、河床が透けて見えるほどの浅場。竿を突いているので、深いところを避けて舟行きするということでしょう。
船頭さんは、竿を突きながら枯れたいい声で説明をしてくれているのですが、ビニール屋根と水面をたたく雨音で、よく聞こえないのが何とも‥‥ううう。自分の日ごろの行いをうらむこと、しきりであります。

●気を取り直して、自分の座っている足元を観察。ちなみに、救命具を兼ねた座布団を、簀の子の上に置いて座っています。
左右に走る角材は和船の部材名称でいうトネギで、船底材であるシキの左右方向の結合と補強を担っているもの。これに両舷側のアバラが立ち上がって、棚板との角度を保っているわけですね。アバラは覆うようにあつらえた鋼材で、しっかりとボルト止めされているのがわかります。
●左奥、アカ汲み(排水具)がさりげなく置いてあるのに目を引かれました。塩ビや金属製の市販品もありますが、これは木とアクリル板か何かであつらえた手製のようです。
右側、傘立てで隠れてしまい見づらいですが、ネームプレートが貼られているのも気になります。「新雪」でしょうか、板に文字を彫ったうえで塗料を入れた丁寧なつくりで、舟へのほのぼのとした愛情が感じられたものでした。
(令和3年4月17日撮影)
(『雨の猊鼻渓…3』につづく)

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●検温・消毒を済ませて待合室から乗り場に出てみると、すでに先客が乗っていて、船頭さんも艫にスタンバイしていました。雨天の朝に我々以外にもお客さんがあるとは、さすが日本百景に選ばれた景勝地、あなどれません。

写真左手、法面に樋門の開口部と扉体の巻上機が見えますね。あそこが用水の取水口なのでしょう。

●遡上を始めて間もなく、さっそく右手に「鏡明岩 kyomei-Gan」と看板を掲げた岩が出現。なるほど名のとおり、鏡を思わせる平らかさ。ローマ字の横に番号がふってあるのも、水郷の十二橋などを思わせて微笑ましい感じです。
猊鼻渓に見られる岩たちは、「古生代の堆積岩類の一部である石炭紀~二畳紀の石灰岩」(『地質ニュース 606号 みちのく石便り(その4)岩手の石と岩』63頁より)だそう。なるほど、このあたりは石灰石が産物の一つで、鉱山があちこちにあり、大船渡線も石灰石の積み出しで賑わった時代があったのですよね。

船頭さんは、竿を突きながら枯れたいい声で説明をしてくれているのですが、ビニール屋根と水面をたたく雨音で、よく聞こえないのが何とも‥‥ううう。自分の日ごろの行いをうらむこと、しきりであります。

●気を取り直して、自分の座っている足元を観察。ちなみに、救命具を兼ねた座布団を、簀の子の上に置いて座っています。
左右に走る角材は和船の部材名称でいうトネギで、船底材であるシキの左右方向の結合と補強を担っているもの。これに両舷側のアバラが立ち上がって、棚板との角度を保っているわけですね。アバラは覆うようにあつらえた鋼材で、しっかりとボルト止めされているのがわかります。
●左奥、アカ汲み(排水具)がさりげなく置いてあるのに目を引かれました。塩ビや金属製の市販品もありますが、これは木とアクリル板か何かであつらえた手製のようです。
右側、傘立てで隠れてしまい見づらいですが、ネームプレートが貼られているのも気になります。「新雪」でしょうか、板に文字を彫ったうえで塗料を入れた丁寧なつくりで、舟へのほのぼのとした愛情が感じられたものでした。
(令和3年4月17日撮影)
(『雨の猊鼻渓…3』につづく)

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