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花畑運河再訪…1

(『令和2年度川走り納め…6』のつづき)
さて本日のお題水路、花畑運河です。日中の潮位が高い季節なので、潮時を待って少し道草をしたというわけ。六ツ木水門前の花見橋、手前に白い人道橋が新設されたのですね。

付近で竿を握る釣り人さんに「すみません、通らせてください!」と声をかけると、皆さんうなずいてすぐに竿を引いてくれました。ご協力に感謝します。このあたり、頻繁に独行艀が通る舟航河川ならでは、という感じがしたものです。

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ここで、今回花畑運河を訪ねることになったきっかけについて、少し長くなりますがお話ししておきたいと思います。

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12月初めのことです。弊ブログの読者の方から、メールを頂戴しました。拝読してみると、花畑運河を大きく変貌させる計画が進んでいるとのこと。

具体的には、六ツ木水門の場所へ新たに径間4.5mの樋門を建造すること、河道幅が現在の半分になること、水深を0.5mかさ上げすることが挙げられており、水運時代の遺産である運河が狭められてゆくことを、残念に思っておられる旨がつづられていました。

河道幅が半減するのは、恐らくテラスのたぐいが水路敷を利用して築造されるのだろう、と見当がつきましたが、水深のかさ上げについては首をひねりました。増水時は水門を閉鎖し、運河は雨水の一時貯留に活用されますが、水深の減少は貯留容量の減少に他ならないからです。

運河全区間に渡るような大きな事業なら、お役所によって何かアップされているだろうとさっそく検索してみると、「花畑川環境整備事業 富士見歩道橋架替え説明会」(PDF・足立区・令和2年9月28日付)がヒット。両岸の整備事業と人道橋の改架について、豊富なイラストで解説した沿岸住民向けの資料です。

読んでみると‥‥現状、堤防間33mの幅員があるのを、河道内両岸沿いに土盛りして遊歩道や桜並木を築造、水路の幅員を法面天端間17mに、その際併せて、河底をA.P.-0.5mに底上げすることが図示されていました。

全区間の竣工時期は明記されていませんが、全長約1.4㎞を4期に分け順次施工とあり、最初に着工する雪見橋~富士見歩道橋の間は、令和3年3月~令和5年度の工期を予定。六ツ木水門の改築は国交省の施工により、幅4.5mのものになると。これは読者の方のメールにあったとおりですね。

六ツ木水門の樋門化について詳しく知りたかったのですが、よい記事がヒットしませんでした。唯一今回の件に関連があったのは、「江戸川河川 六ツ木水門の樋管化を検討」(建通新聞2017/12/19)という短い記事。「国土交通省江戸川河川事務所は、足立区六木3丁目の中川と花畑川の合流部に配置している六ツ木水門について、樋管へと改築した場合の検討に着手する。」とありました。

すでに4年前から、改築計画が始動していたのですね。ちなみに現在の六ツ木水門の径間、7.5mだと河川事務所か何かのPDFで、10年ちょっと前だかに読んだ記憶があるんですが、今は検索に引っかからないようです。

以上の記事で、読者の方がいわれていたことは、おおむね裏が取れた形になったのですが、河底をA.P.-0.5mへ底上げ、という件は特に説明がなかったこともあり、理由がいま一つわかりません。想像するに、河底にある泥土の臭気対策などが目的で、盛土か床固めをするとかなのかしら‥‥。

ともあれ、花畑運河が近々、都心の河川並みにテラス化が進み、大きな変貌をとげることがわかっただけでも収穫です。舟航華やかなりしかつての面影を残しているうちに、一度再訪しておかなければと心に決め、この日に至ったわけでした。読者の方、お知らせいただきありがとうございました!

260032.jpg艇の上からの視点に戻りましょう。竿を引いてもらい、水門径間に突入です。花見橋に併設された人道橋は、塗料も白く輝いてまだ新しい感じ。

樋門に改築されると4.5mとは、まあ通れなくはありませんが、相当な狭さになりますね。せめて桁下高だけでも、あと0.5m上げてもらうとありがたいのですが。


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六ツ木水門に迫っての一枚。今回、水門を前にして寂しかったのは、A.P.+で水位を表示する電光掲示板、二組ある信号とも、電源が落とされていたこと。外観にさほどの変わりはなかったものの、これだけでずいぶんうらぶれた雰囲気に感じられるものですね。樋門への改築が近いことが想われて、何ともいえない気分になったものでした。

頼りにしていた水位表示が消えていたこともあり、最初はとまどったのですが、前回通航した経験から、芝浦の推算潮位と比較して通航できる桁下高は確保できると踏んでいたので、迷わず突入。

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ここで12年目の再訪にてようやく、ようやく気付かされた件を一つ。ズームレンズで歪んで、壁面が倒れ込んできそうに見えるのはご容赦ください。

水門の手前にある護岸のこの凹み、マイタゲートの跡ですよね? 奥の上端に、ゲートの軸受金具が残っており、角も丸みを帯びているのでもう確実。そういえば、以前見た花畑運河の竣工時の写真、マイタゲートが写っていたよなあ!

260035.jpgこれは帰路に撮ったものですが、上と反対側、南岸の痕跡。凹部の壁面中央やや下側、四角い開口部を埋めたような跡が見えますよね。

これはもしかして、扉体を押し引きするロッドが通っていた穴かも‥‥。左手、奥の上部に鉄板が張られているのも、役割は不明ですがいわくありげ。お恥ずかしいかぎりですが、これだけでも再訪した甲斐はあったというものです。
撮影地点のMapion地図

(令和2年12月29日撮影)

(『花畑運河再訪…2』につづく)

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タグ : 中川花畑運河六ツ木水門