初めてのお裁縫
(『11月15日のフネブネ』のつづき)

●私の艇は繋留保管時、フロントグラスからモーターウェル(船外機の取り付く凹部)手前まで、すっぽりとキャンバスオーニングで覆うようになっています。アクリルやゴム製など紫外線に弱い部分を保護するためと、ハッチの一部に水密がいま一つのところがあって、降雨時に浸水を防ぐ目的もあります。
帰港して船外機の真水通しと掃除が終わったら、たたんでおいたオーニングを少しづつ広げながら、ホックをバチンバチンとはめて(冬はかじかんだ指が痛くなり、少々ツラい作業です)覆ってやるわけですが、それでお終いというわけではありません。乗れなかった日にちの分だけ、砂塵がたっぷりと付着しているので、オーニングを洗ってやるのです。
●余裕があるときは、水を注ぎながら柔らかめのブラシをかけてやり、急いでいるときはざっと水で流すだけでも、次に来てオーニングを外すときのホコリっぽさがずいぶん違い、出港前作業の快適さにつながりますからね。
オーニングを洗うもう一つの理由は、劣化を少しでも防ぐということ。防水加工してあるとはいえ所詮は布、縫い目や縁の折り返しなど汚れがたまりやすい部分から、どうしても傷んでくるからです。いわゆる「糸ぐされ」が進行してきて、だんだんバラバラになってきてしまうのでした。

●現在のオーニングは2代目で、艇を迎えたときについてきたオーニングは、数年で使用に堪えない状態に。いうまでもなく、手入れを怠ったからです。その経験から、艇を覆った後できるかぎり水洗いをするようになり、おかげでずいぶん長持ちはさせられたのですが‥‥。
それでも容赦なく劣化は進行し、中央のポールを立てる穴の補強(上の写真)など、特に力のかかる部分だからでしょう、糸が抜けてパカンとはがれ、ご覧のありさまに。
●むう、また交換する時期が来たか‥‥と考えたものの、せっかく大事にしてここまで寿命を延ばしたのですから、自分でできることはしてやりたいもの。
そうだ! ヨットのセールを補修するための、裁縫道具がマリンサービスのショップに売っているに違いない! と思い立ち、帰港後にさっそくショップを訪ねてみることに。

●ショップでスタッフに用途を話すと、「ありますよ」と嬉しい反応。セール用のぶっとい縫い針一本と、これまた太く丈夫そうな、オーニングと同色の糸を引き出しから探してくれました。
普段はお裁縫など、外れたボタン付けくらいしか経験のないところへ、分厚いキャンバスを相手にするわけですから、不安がないわけではありませんでしたが、老眼には厳しい針の頭への糸通しに何とか成功すると、ええいままよとばかりに、糸の抜けてしまった縫い目へブスリ、とひと針目を刺していました。

●オーニング相手は初めてとあって、とりあえずやりやすそうな端っこからいこうと、裏打ちが外れたところを試しに30㎝ばかり縫ってみましたが、まあ、針を通すだけでひと苦労。
裏打ちとキャンバス2枚とくれば当然でしょうが、刺さった針の頭ををデッキにぎゅうぎゅう押し付け、半ばまで出てきたら今度は針をペンチで引っこ抜きと、結構な力仕事です。わずか30㎝に、小一時間も悪戦苦闘していたでしょうか。しかも2回指を刺してしまい、「イテテ!」と悲鳴を上げたというおまけつき。
●仕上がりは‥‥ええ‥‥上の写真のごとく、まことにお恥ずかしいていたらく。ま、まあ、このままバラけてしまうのを座して待つよりはマシと、自分を慰めています。
ともあれ、よい経験になりました。指の怪我には懲りたので、針の抜き差しをより容易に、安全にできるような道具も工夫しなきゃと、別のベクトルでやる気も起きてきたほど。乗るたびにわずかづつでも針を運んで、少しでもオーニングの延命を図りたいものです。
(令和2年11月15日撮影)
(この項おわり)

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●私の艇は繋留保管時、フロントグラスからモーターウェル(船外機の取り付く凹部)手前まで、すっぽりとキャンバスオーニングで覆うようになっています。アクリルやゴム製など紫外線に弱い部分を保護するためと、ハッチの一部に水密がいま一つのところがあって、降雨時に浸水を防ぐ目的もあります。
帰港して船外機の真水通しと掃除が終わったら、たたんでおいたオーニングを少しづつ広げながら、ホックをバチンバチンとはめて(冬はかじかんだ指が痛くなり、少々ツラい作業です)覆ってやるわけですが、それでお終いというわけではありません。乗れなかった日にちの分だけ、砂塵がたっぷりと付着しているので、オーニングを洗ってやるのです。
●余裕があるときは、水を注ぎながら柔らかめのブラシをかけてやり、急いでいるときはざっと水で流すだけでも、次に来てオーニングを外すときのホコリっぽさがずいぶん違い、出港前作業の快適さにつながりますからね。
オーニングを洗うもう一つの理由は、劣化を少しでも防ぐということ。防水加工してあるとはいえ所詮は布、縫い目や縁の折り返しなど汚れがたまりやすい部分から、どうしても傷んでくるからです。いわゆる「糸ぐされ」が進行してきて、だんだんバラバラになってきてしまうのでした。

●現在のオーニングは2代目で、艇を迎えたときについてきたオーニングは、数年で使用に堪えない状態に。いうまでもなく、手入れを怠ったからです。その経験から、艇を覆った後できるかぎり水洗いをするようになり、おかげでずいぶん長持ちはさせられたのですが‥‥。
それでも容赦なく劣化は進行し、中央のポールを立てる穴の補強(上の写真)など、特に力のかかる部分だからでしょう、糸が抜けてパカンとはがれ、ご覧のありさまに。
●むう、また交換する時期が来たか‥‥と考えたものの、せっかく大事にしてここまで寿命を延ばしたのですから、自分でできることはしてやりたいもの。
そうだ! ヨットのセールを補修するための、裁縫道具がマリンサービスのショップに売っているに違いない! と思い立ち、帰港後にさっそくショップを訪ねてみることに。

●ショップでスタッフに用途を話すと、「ありますよ」と嬉しい反応。セール用のぶっとい縫い針一本と、これまた太く丈夫そうな、オーニングと同色の糸を引き出しから探してくれました。
普段はお裁縫など、外れたボタン付けくらいしか経験のないところへ、分厚いキャンバスを相手にするわけですから、不安がないわけではありませんでしたが、老眼には厳しい針の頭への糸通しに何とか成功すると、ええいままよとばかりに、糸の抜けてしまった縫い目へブスリ、とひと針目を刺していました。

●オーニング相手は初めてとあって、とりあえずやりやすそうな端っこからいこうと、裏打ちが外れたところを試しに30㎝ばかり縫ってみましたが、まあ、針を通すだけでひと苦労。
裏打ちとキャンバス2枚とくれば当然でしょうが、刺さった針の頭ををデッキにぎゅうぎゅう押し付け、半ばまで出てきたら今度は針をペンチで引っこ抜きと、結構な力仕事です。わずか30㎝に、小一時間も悪戦苦闘していたでしょうか。しかも2回指を刺してしまい、「イテテ!」と悲鳴を上げたというおまけつき。
●仕上がりは‥‥ええ‥‥上の写真のごとく、まことにお恥ずかしいていたらく。ま、まあ、このままバラけてしまうのを座して待つよりはマシと、自分を慰めています。
ともあれ、よい経験になりました。指の怪我には懲りたので、針の抜き差しをより容易に、安全にできるような道具も工夫しなきゃと、別のベクトルでやる気も起きてきたほど。乗るたびにわずかづつでも針を運んで、少しでもオーニングの延命を図りたいものです。
(令和2年11月15日撮影)
(この項おわり)

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