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新川河口の謎通船施設…1

(『栗ノ木排水機場舟通しを訪ねて…5』のつづき)

この物件はウェブ上にも言及がなく、資料を当たってもいないので皆目見当がついておらず、お恥ずかしいかぎりなのですが、初見時の印象が強烈で、通船施設(? かどうかも定かではありませんが)好きとして惹かれるものがあったため、取り急ぎ見たままを垂れ流したいと思います。

話は昨年にさかのぼります。例によってGoogleマップ上を徘徊し、閘門探しをしておりましたら、新潟市西区の新川の河口で、ちょっと引っかかるものがありまして。

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ホンモノのGoogleマップで新川河口自然排水樋門を表示

河口には新川河口排水機場に併設された、新川河口自然排水樋門という長い名前の水門がありました。外観はごくオーソドックスな、シェル式ローラーゲートとおぼしき2径間の水門です。以前も他所でありましたが、堤防を貫通していないにもかかわらず、樋門と呼ばれているのが面白いですね。

‥‥で、何が引っかかったかというとですね。水門径間の左、もう、「ひゅっ」と音を立てて目線と意識を吸い寄せられるものが!

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なな何だコレは!

堰柱の左に上下流方向へ長々と伸びている側壁‥‥そのさまから当然、閘室だと思って目をむいたのはいうまでもありません。ただ、よく見てみると様子がおかしい‥‥。

閘室らしい径間は、元からそうなのか、はたまた埋められたのか、側壁の天端まで土かコンクリかわからないもので満たされており、前後はどうもなだらかな法面になっているようです。

この時点で現役の閘門である線は消え、ぬか喜びであることは想像できたものの、レールのような錆色の線が2本、法面に見えるのもすごく気になります。

閘門廃止後、転用されて上架施設にでもなったのかしら? はたまた、船台とレールによって水門閉鎖時にこの盛り上がりを乗り越す、えらく面倒な通船施設? 現地に行って確認したい気持ちを募らせたまま、コロナ禍のもと悶々とした日々を過ごしたのであります。

256063.jpgそして今回、新潟行きが実現したので、行程に組み入れることができました。24日、大河津からの道々に寄れれば効率的だったのですが、弥彦山を訪ねたりしたので、翌25日の朝食後に持ち越すことに。

新潟駅から乗った越後線では、思いがけずその筋好みの電車に当たり、ファンの皆さんが静かに盛り上がっているのを眺めながら、小雨のぱらつく中、新川最寄りの内野駅へ向かいます。

256064.jpg関谷分水を渡ったとき、大きく雲が切れて青空がのぞき、これはイケるかな‥‥とほくそ笑んだのもつかの間。ふたたび雲に覆われ、雨粒がパチパチと車窓をたたき出すありさま。

せめて水門を眺めている間は止んでくれよとの願いもむなしく、強弱はあったものの雨にたたられ、滞在時間30分に満たない、あわただしい訪問となりました。

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新川、前回訪問の折、新潟市歴史博物館でも展示を拝見しましたが、土木史上注目にあたいする河川で、江戸時代に潟湖の排水と新田開発のため、砂丘を掘り割り、既存の西川との交差部を伏越にするなど、当時最新の技術を駆使して新規開鑿された川です。

写真は帰路に新川元橋を撮ったものですが、砂丘といっても結構な高さのある台地で、これを人力で掘り割った当時の人の苦心がしのばれますね。現在、西川との交差部はトラスの水路橋になっていることも知られており、訪ねてみたかったのですが、今回は謎物件に集中ということで、次の機会としました。
撮影地点のMapion地図

新川開鑿については、「新川(新潟県)」(Wikipedia)、排水機場については「穀倉西蒲原の農地や集落を守る 新川河口排水機場(新潟市西区)」(にいがた土木構造物めぐり)に記述されています、ご参考まで。

(令和2年10月25日撮影)

(『新川河口の謎通船施設…2』につづく)

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タグ : 新川(新潟市)新川河口自然排水樋門