雨の大河津にて…4
(『雨の大河津にて…3』のつづき)
●お待ちかね、閘門です。これをひとめ見るために、ご当地を訪ねたといってもいい過ぎでないほど。いや、この堂々たる側壁! しかも堰柱と揃えてこの面積が石張りなのですから、豪奢な感じすらします。
堰併設の閘門だと、堰の下流側に閘室があり、前扉が堰の一部を構成する例が多いように思えますが、この洗堰は上流側に閘室を伸ばし、後扉を常時閉としていました。

●管理橋上から上流側、閘室を眺めたところ。100m超の延長はさすがにボリュームがあり、高さもあいまって結構な迫力。側壁の中間が低めてありますが、後扉が堰の扉体を兼用しているので、閘室側壁は計画高水位を割っても問題がないからでしょう。
両側壁に計3基の階段、点対称に配置された信号とタレット式の監視カメラ、手前には両側に排水用のバイパスゲートと、諸設備の配置が見て取れますね。左手奥には、堤防上から前扉室に至るもう一つの管理橋も見え、その下には魚道が走っています。

●管理橋の高欄から乗り出して、後扉室のマイタゲートをのぞいてみると‥‥うわ。天地寸法が大きいのと、裏面にもプレートを貼った扉体の広大な平面が織りなす相乗効果で、高さが強調されゾクゾクするような眺め。いや~、マイタゲートっていいですね! (閘門を見られたので喜びもひとしお)
●前扉室周りをアップで。ここから扉体は見えないので、後でもう一つの管理橋を渡って、見に行ってみましょう。
先ほどから気になっていたのですが、向こうの水面に、点々と橋脚みたいなものが並んでいますよね。道路橋にしては橋脚が細く、また低すぎるし、人道橋か何かの痕跡かしら?
●ここで閘門の緒元を。大河津資料館のサイトから引き続き引用すると、平成12年竣工、閘室長60m、幅員10mとありました。
物足りないので、「運河と閘門」をひもとき、巻末の「全国閘門一覧表」を繰ってみると‥‥あったあった、より詳細な寸法が。全長132.5m、閘室長60m、前扉~後扉後方逆流防止用扉間の寸法80m、閘頭部有効幅員10m、敷高からの堰柱高12.83mだそう。ん? 「後扉後方逆流防止用扉」って、何だろう?

●管理橋から下流側に目をやると‥‥これが「逆流防止用扉」。洗堰閘門、実は3組のマイタゲートを持っていたのです。横利根閘門のように、前後とも二組のマイタゲートを備えたタイプを「複式閘門」と呼びますが、後扉室のみのこの場合は、何と称したらいいのでしょう。
低水位側の背圧に耐えられればよいレベルの設備とあって、扉体の高さはずいぶん低いですね。洗堰を閉鎖し、可動堰を開いて全量を分水に“抜く”ような大増水時には、信濃川の方がわずかに高水位になることもありうる、ということでしょう。
【撮影地点のMapion地図】
(令和2年10月24日撮影)
(『雨の大河津にて…5』につづく)

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堰併設の閘門だと、堰の下流側に閘室があり、前扉が堰の一部を構成する例が多いように思えますが、この洗堰は上流側に閘室を伸ばし、後扉を常時閉としていました。

●管理橋上から上流側、閘室を眺めたところ。100m超の延長はさすがにボリュームがあり、高さもあいまって結構な迫力。側壁の中間が低めてありますが、後扉が堰の扉体を兼用しているので、閘室側壁は計画高水位を割っても問題がないからでしょう。
両側壁に計3基の階段、点対称に配置された信号とタレット式の監視カメラ、手前には両側に排水用のバイパスゲートと、諸設備の配置が見て取れますね。左手奥には、堤防上から前扉室に至るもう一つの管理橋も見え、その下には魚道が走っています。

●管理橋の高欄から乗り出して、後扉室のマイタゲートをのぞいてみると‥‥うわ。天地寸法が大きいのと、裏面にもプレートを貼った扉体の広大な平面が織りなす相乗効果で、高さが強調されゾクゾクするような眺め。いや~、マイタゲートっていいですね! (閘門を見られたので喜びもひとしお)

先ほどから気になっていたのですが、向こうの水面に、点々と橋脚みたいなものが並んでいますよね。道路橋にしては橋脚が細く、また低すぎるし、人道橋か何かの痕跡かしら?
●ここで閘門の緒元を。大河津資料館のサイトから引き続き引用すると、平成12年竣工、閘室長60m、幅員10mとありました。
物足りないので、「運河と閘門」をひもとき、巻末の「全国閘門一覧表」を繰ってみると‥‥あったあった、より詳細な寸法が。全長132.5m、閘室長60m、前扉~後扉後方逆流防止用扉間の寸法80m、閘頭部有効幅員10m、敷高からの堰柱高12.83mだそう。ん? 「後扉後方逆流防止用扉」って、何だろう?

●管理橋から下流側に目をやると‥‥これが「逆流防止用扉」。洗堰閘門、実は3組のマイタゲートを持っていたのです。横利根閘門のように、前後とも二組のマイタゲートを備えたタイプを「複式閘門」と呼びますが、後扉室のみのこの場合は、何と称したらいいのでしょう。
低水位側の背圧に耐えられればよいレベルの設備とあって、扉体の高さはずいぶん低いですね。洗堰を閉鎖し、可動堰を開いて全量を分水に“抜く”ような大増水時には、信濃川の方がわずかに高水位になることもありうる、ということでしょう。
【撮影地点のMapion地図】
(令和2年10月24日撮影)
(『雨の大河津にて…5』につづく)

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