茂森橋、ついに改修工事始まる!

過去にも何度か、そんな心配をつぶやいてきましたが、先日8月5日、おなじみZEN船長のツイートを拝見してびっくり!茂森橋の鋼桁径間に、河道をふさいで足場がかかっているじゃありませんか!
いよいよこの日が来たかと嬉しくなりましたが、他ならぬ茂森橋とくれば、この目で確かめてみたくなるのが人情。出がけのわずかな時間を見つけ、さっそく寄り道してきました。
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●木場公園の駐車場から東へ出ると、そこはもう大横川畔。ちょうど豊木橋の西詰だったので、ちょっと遠いですが、橋上から茂森橋の下流側を狙ってみることに。

●グッとズームでたぐり寄せて‥‥おおお、見えた見えた! ZEN船長のアップされていた写真のとおり、「茂森橋工事中 航行不可」の横断幕が高欄に掲げられており、箱状の足場が手前の水面ひたひたに設けられ、テラスで狭まった河道を思いきり閉塞している! 近寄って眺めまわしたくなり、セミしぐれを浴びながら西岸を駆け出しました。

●近づいてみると、手前の箱っぽい足場、本当に“箱”なんだとまじまじ見入りました。鋼材で組んだ枠に、合板の壁がすき間なく張られたつくりで、こちらには開口部一つありません。

●さらに近づいて。“箱”は完全に独立した構造で、河底から鋼材の脚を立ち上げて、その上に載っていることが川面を透かして見えました。大潮の満潮時は、半分くらいまで水没してしまいますよね。その後ろ、鋼桁本体の足場中央の張り出した壁面から、ダクトが3本垂れているのは、塗装時の排気口でしょうか。
のぞき込みながら、以前訪ねたとき、桁表面に塗装時の諸元が書いてあったことを思い出しました。「茂森橋のディテール…5」を見返してみると‥‥、最後の塗装が1995(平成7)年、今回の再塗装は実に、25年ぶりということになります。

●橋の上から、“箱”の裏側をのぞいたところ。唯一の開口部がここで、養生シートのカーテンを垂らした、実に狭苦しい出入口です。この酷暑下、作業はさぞ大変でしょうねえ‥‥。詰所は別にありそうなので、資材の一時貯留所でしょうか。

●以前も紹介しましたが、石材・コンクリート部分の浮き上がりやクラックの生じたところを、番線で巻いてやっつけたように補修した高欄。橋の強度上は問題がないにせよ、近隣の他の橋が美しく整備されているのを見るにつけ、ここも手を入れてやってほしい、と願わずにはおれません‥‥。

●橋を渡って東岸のテラスから、ZEN船長のそれと似たアングルで。う~ん、改めてこのすごい、何というか唸らされる閉塞っぷり、さすが(?)茂森橋というほかなし。よその橋ではまず見られない珍景です。
ん? 横断幕の「不可」の真下、板囲いに開口部があって、中が見えますね。桁の様子が見られるかしら?

●おおおお! 塗装を剥がした桁が!
この錆色は‥‥下塗りをしたんじゃなくて、剥がしたまんまの生地‥‥ですよね? ちょっと感動したのは、この部分だけにせよ、、桁が頻繁に水に浸かるなど厳しい環境なのに、腐蝕で穴が開いたり板厚が薄くなるなど、ひどい損傷が見られないのはさすがだな、と。
少し前、その筋の専門の方にお伺いしたところでは、調査の結果構造的には問題ないので、当面大きな補修はないであろう、とのことでした。見立てはやはり正しく、素人目には痛々しくとも、茂森橋の鋼桁は勤めを全うできる状態にあったのです。
あと気になったのは、桁下と足場のすき間がわずかであること。この下からもぐり込んで、次の桁との間に入るのは難しいような。満潮時は水に浸かってしまうし、どこか別に出入口があるのでは、と想像しました。

●ここで上流側の様子も見に行ってみようと、歩道橋を渡ろうとしたら、階段下を囲った鉄板塀(中には詰所や塗料らしい缶が積み上げてあった)に、ご覧のような看板が。塗装面積は994平米、以前桁に書かれていた表示では998平米だったので、少し減ったんですね。
「橋の塗替えを行っています」‥‥あくまで「塗装工事」であって、総合的な改修でないことがわかる表示。今回きれいになるのは鋼桁だけで、高欄やラーメン橋台は当分ボロボロのままなのかと思うと、少々微妙なものが‥‥。いや、一部でも美しく整備されることは、ファンの目から見てもちろん嬉しいことですし、他の強度に問題がないであろうことは、わかっているのですがね。

●歩道橋の上から、下流側を見たところ。一つ気づいたのが、路面の南半分、上り車線の鋼桁上のみ、舗装の色が変わっていて、最近敷き直したような感じであること。
もしかしたら、桁の塗装は車線半分づつ、夜中に道床と舗装を撤去して上からというやり方なのかな? 先ほど目にした桁下と足場の間隔からして、そういうのもアリかも‥‥と素人の妄想をしました。桁だけの再塗装と一言でいっても、結構な大工事です。

●さて、上流側の様子は‥‥と見下ろしてみたら、北側両橋詰の公園は他の工事のためのスペースとして使われていて、敷地いっぱいに高い塀が巡らされていました。う~ん、これでは大栄橋の上から狙うしかないな。暑熱は厳しくすでに汗だくですが、崎川橋を渡って対岸へ、しばしお散歩です。

●大栄橋から見た茂森橋。橋詰、ここから見るとよくわかりますね。まあ、本当に敷地いっぱいを使い、高い塀で囲われていて、ちょっと息がつまりそうな感じ。以前はあそこから満潮時、桁ひたひたの状態を撮ったものですが、当分は無理そう‥‥。

●大栄橋の高欄の下から、できるだけ低い視点でズームをかけて一枚。こちらは鋼桁のみの養生でしたが、いずれあの“箱”が作業の進捗にともなって、こちらに移動してくるのかしら。
大潮の干潮時で上流側からだったら、くぐれないまでも桁下はのぞいて遊べそう‥‥などと、不謹慎な妄想が頭をよぎったり。ともあれ、茂森橋25年ぶりの塗り替え、めでたいことには違いありません。何色になるのか楽しみに、11月の竣工を待つとしましょう!

●大栄橋を離れるとき振り返って、西詰から。ここと崎川橋、福壽橋と、3つの震災復興世代のトラスが並ぶちょっとしたトラス天国。また茂森橋、崎川橋、大栄橋が、相対して架かるこの丁字流も素敵な水路空間ですよね。江東内部河川、本当に楽しいところです。

●おまけ。木場公園でツブれて瞑想中のハトさん。公園の森の樹上から降るようなセミしぐれもあって、長かった梅雨が終わったんだなあと、改めて実感したことではありました。
(令和2年8月7日撮影)

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