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「スキッパーズ」と、そのお隣の話

250016.jpg過去にもたびたび触れてきた、ボートにテイクアウトしてくれる東雲北運河のハンバーガー店、「Skippers'(スキッパーズ)」。

3年ほど前に知ってから、ハンバーガーの美味しさはもちろん、スタッフの丁寧な応対もあってすっかり気に入り、たびたび利用させてもらっているのですが、その割には、お店や買い物の様子を今まで詳しくお話ししたことはありませんでした。

今回は「スキッパーズ」の入っている一風変わった建物や、少々覚悟(?)のいるテイクアウトのこと、そしてもう一つ、ちょっと気になるそのお隣のことも、まとめてお話しさせていただければと思います。
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適当な写真が少ない(何で少ないかは以下を読めばわかります)ので、一昨年から今年4月にかけて前後しますが、ご容赦ください。

スキッパーズ、まず立地からしてインパクト大ですからね。何しろ、保安庁船艇の建造で知られるフネ好き注目のスポット、墨田川造船の隣も隣、ドックヤード建屋のすぐ左。しかもすぐ横を、京葉線の高架がかすめているという、はた目にも少々窮屈そうな、奥行き方向に平べったいビルの1階にあります。

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ちなみに注文は数量にもよりますが、最低でも到着30分くらい前に電話されることをお勧めします。東なら葛西臨海公園あたり、西なら隅田川派川に達したころに電話をすれば、時間的にもちょうどよいかと思います。開店が11:30ですから、直後に電話しておけば、12:00ごろには受け取れるという寸法です。

お店が見える水面に着いたら、もう一回電話して到着を知らせましょう。その際お勘定を聞いておいて、自分の財布の中身を確かめ、例えば「2,000円でお釣りをください」とお願いしておけば、この後のプロセスが一往復で済み、ぐっと楽になります。

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バルコニー(?)にお店の方が出てきて、ロープのフックに品物の入った布袋を下げ、ウインチを回してキリキリと降ろし始めたところを見はからい、フェンダーをすべて出して接近開始。

同乗者がいれば、一人にバウへ出てもらい受け取り役をしてもらう(昨年5月、BSフジ『次課・長州の力旅スペシャル』に出演させていただいた際は、河本準一さんにこの役をやっていただきました)と、頭を突っ込んで姿勢を保持するだけですぐ離れられるので、操船がグッと楽かつ安全になりますが、操縦者一人であれば、下に述べるとおり少々キビシイものになります。

ところで、お店に近づいて正面から見ると、ここだけ護岸がなくいきなり建物の基礎が露出していて、しかも四角い穴が開いていることにまず目を奪われるでしょう。この奥にも水面が続いていて、舟入のようになっているという変わり種なのです。

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一人の場合は‥‥仕方がないので、予備のフェンダーまで総動員し、あらかじめバウやトランサムの角、必要であれば船外機にも巻きつけてしっかり防護し、バルコニー(??)の真下へ横付け、ボートフックで必死にしがみつくことと相成ります。

ご覧のとおり、バルコニーと呼ぶには少々語弊のありそうな(失礼)、鉄骨とパイプで組んだ仮設の足場のような造作。基礎の舟入みたいな穴と並んで、この建物の変わった点ではありますが、何か理由がありそうな感じもします。

例えば、公有の水面に張り出して、恒久構造物を作っちゃいけないから、グレーゾーンを目指しているとか(私の妄想です)‥‥。いずれ店内で食事することがあったら、聞いてみたいですね。

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北西風が吹くと、ご覧のように艇が押し付けられるような形になり、壁にもゴンゴンぶつかるので、お祭りみたいにフェンダーをくくりつける準備が欠かせないわけです。

片手でボートフックを操り引いたり押したり、開いている方の手で吊り下げられた布袋から品物とお釣りを取りだし、代金を入れてと忙しいため、カメラをゆっくり構えることはまずできない相談。

同乗者に受け取り役を頼めるときだって、微妙な操船を要求されますし、用が済んだらタッチ・アンド・ゴーよろしく跳び離れなければならないので、写真を撮る余裕はほとんどなく、何度訪ねてもいいシーンがものにならないのであります。

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これもボケてしまいましたが、穴の中がかろうじて撮れたもの。奥に見える1本目の柱までは水面が続いていて、そのさらに奥は一段高く、潮位の高いときのみ水が入る造り。

天井に照明があることから、昔の地下室の壁をを抜いて舟入にしたのかしら、とも想像したのですが、両側面の壁には繋留用のアイ(鉄環)が見られ、どうももとからの構造物みたい。
ビルが建つ前からあったのか、またどんな用途に使っていたのか、機会があったら詳しいことを聞いてみたいものです。どこか、旧臨港消防署(平成21年8月『臨港消防署の異変』参照)を思い出させるものがありますよね。

水深は舟入を含めて浅いため、ここに頭を突っ込もうなどとは考えない方がよさそうですし、また20ft以下でなければ横付けも難しいので、決して無茶をなさらぬよう。フライブリッジ付きの大型艇ならなおさら、操船を誤って衝突すれば、自艇はもとよりお店も壊しかねませんから、細心の注意が必要でしょう。

護岸手前にも泥土の堆積が見られるので、小型艇でないかぎり、低潮位時の接近もお勧めしません。なるべく昼間潮位の高いとき、吹き寄せられる北西風の強くないときに訪ねるのがベターといえます。

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手巻きウインチでロープに吊り下げられた布袋から注文した品と伝票、お釣りを取り出し、空になった布袋に代金を入れて、お店の方が確認してOKされたら、ゴースターンをかけ離脱。

笑顔で見送ってくれるお兄さんに、こちらも手を振って「またよろしく!」とお別れです。毎回ちょっとドキドキするところもありますが、スタッフの笑顔と気持ちのよい応対(ハンバーガーの美味しさもね!)に惹かれて、また来てみたいと思わせるのですよ。

「スキッパーズ」でのテイクアウトのやり方をまとめると、
① ウェブサイトでメニューを確認。到着30分ほど前に電話で注文、自分の電話番号も伝えておく。
② 店の前に到着したら電話で連絡、その際合計金額を聞いておき、渡せる金額を伝えてお釣りを入れてくれるよう依頼。
③ 店の人がバルコニーに出てきて布袋を吊り下げたあたりで、接近開始。
④ 布袋から品物と伝票、お釣りを取り出し、代金を入れて店の人に確認してもらい、OKが出たら離脱。

都内では貴重な、ボートへテイクアウトしてくれるお店! 水路生活に彩りを与えてくれる「スキッパーズ」、これからも末永く盛業してほしいものです。


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‥‥さて、お話は変わって、もう一つの気になったお話を。
「スキッパーズ」の向かって左側、京葉線の高架をはさんだお隣のビルについて。端面が円柱を半割りしたような、小洒落た外観のビルが見えますね。

「スキッパーズ」を知った3年ほど前から、すでにテラス護岸の工事が始まっていて、東から伸びてきつつあり、このとき3月15日はテラス工事も一段落(『スキッパーズ』のすぐ左で止まってしまいましたが)して、工事のフネブネも姿を消していたころです。ここでお隣のビルの前に変化に「あれっ?」と気づかされ、艇を正面に回したのです。

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ビルの前からテラスをまたいで可動橋が設けられ、護岸の直前には4本の鋼管杭が打ち込まれていました。これは明らかに、ポンツン桟橋を設ける準備に違いありません。

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4月8日には、早くもポンツン桟橋が来航(?)、杭に固定されていました。鋼製箱型の立派なもので、屋形や観光船クラスでも余裕で横付けできそうですね。

テイクアウトに少々スリリングな手法をとらねばならない、「スキッパーズ」のすぐお隣に立派な桟橋ができるとは、どうも皮肉な感じがしないでもありませんが‥‥。
しかし、桟橋がテラス竣工後ただちに新造できたということは、少なくともここに占有の権利を持っていたことに他なりません。そう、元からこのビルの前に、桟橋はあったのです。

私が初めてここを通った十数年前、すでに木製の桟橋は腐朽して水鳥の社交場(笑)になり、とても横付けできる状態には見えませんでしたが、確かに桟橋は存在していました。

ここはかつて、ボートで訪れられる飲食店として、近隣のボートオーナーには知られた存在でした。検索の仕方が悪いのか見つかりませんでしたが、自らのウェブサイトで紹介している方もおられたし、利用された方から話も耳にしていたので、私も一度行ってみたいと思っていたのですが、前述のような様子であきらめて後、「スキッパーズ」で盛り上がるまで、すっかり忘れていたのでした。

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所番地で検索して、何とかヒットしたのがぐるなびの「Island Stone」。個人や少人数で利用できるレストランというより、いわばビュッフェ形式のパーティスペースで、屋形がバウづけできる固定桟橋を備えていたのですね。

どうも、以前聞いた話とは様子が違うので、別のお店が入ったのかもしれません。これを読んだかぎり、少なくとも今は、ボートで訪れて利用できるような雰囲気ではありませんね。

たびたび訪ねた横浜の桟橋付きレストラン「タイクーン」も廃業し、都内でも「T.Y.ハーバー」が一般艇の扱いをやめてしまったりと、プレジャーが自由に利用できるお店が減ってしまったのは、この手のお店の難しさは理解できるものの、実に寂しいものです。

その意味でも「スキッパーズ」の存在が光るわけで、「ボートの連中も面倒見るよ!」という、お店の方々の心意気が伝わってくるような対応ぶりは、なまなかな覚悟でできるものではなく、惹かれるものがあるわけです。

テイクアウトの授受にちょっとした度胸と慣れが必要であっても、それも水上という非日常の面白さの一つと考えられれば、また楽しからずや。これからも大いに利用して、水路徘徊のさらなる愉しみの一助となりたいものです。
撮影地点のMapion地図

(平成30年3月28日・4月8日・10月14日、令和2年3月15日・4月4日・4月8日撮影)

【令和2年6月20日追記】
195065.jpg現「Island Stone」前にあった朽ちた桟橋の写真、部分ではありますが、4年前の記事「新造消防艇『ありあけ』拝見」に掲載していたのに気付いたので、ここに再掲します。

文字どおり「水鳥の社交場」と化して久しいころで、とても艇をもやえる状態になかったことがお分かりでしょう。


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タグ : 東雲北運河スキッパーズ