開田橋閘門を訪ねて…0

●こちらですでに触れましたが、11月23日は福井県の北潟湖にある、開田橋(かいでんばし)閘門を訪ねてきました。その存在に気づかされたのは、本当に偶然の産物で、何気ないGoogleマップ上での内水徘徊によるものでした。
まあ、Googleマップで考古学上の発見すらなされる時代、いち加齢者が未知の閘門を“発見”する(元からそこにあるのですから、これもおこがましい話ではあります)くらい、何の不思議もないといえばそうであります。まずはそのそもそもから、訪問を決めるまでのお話です。
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●ホンモノのGoogleマップで上のエリアを表示
●いつごろだったでしょうか、そう遠い日の話でないことは確かです。石川県から福井県にかけての沿岸、金沢市、小松市、芦原市といったエリアを徘徊していました。この地域の何に惹かれてって、堆砂と季節風による潟湖が多くみられ、魅力的な内水を形成している土地柄だからです。
この地図でいうと、上から金沢市の河北潟、小松市の木場潟に加賀市の柴山潟、そして芦原市の北潟湖。「これらを沿海運河でつないだら、楽しいだろうなあ‥‥」などと、地元の方からすれば迷惑千万な妄想を膨らませては、拡大縮小とスクロールを繰り返しておりました。

●ホンモノのGoogleマップで北潟湖を表示
●中でも最も西に位置する、北潟湖に惹かれてしばし滞在。低い丘陵に囲まれ、屈曲と小さな湾入を繰り返しながら、海岸線に沿って細長く伸びる形に「艇で走ったら、探索気分が盛り上がって面白いだろうな」と感じたのと、河口部で大聖寺川と接していて、連続した内水として走り甲斐もありそう‥‥と、あれこれ空想して楽しめたのです。関東でいうと、北浦を思い起こさせるような地勢ではありますね。
うろうろするうち、河口近くのボトルネックにあった、国道305号線の橋を拡大して見てみようと思いました。北潟湖の奥部沿岸には干拓地とおぼしき田地が広がっていることから、もしかして塩分遡上防止のための、潮留め水門の備えがあるかも、と推定したためです。
●すると、橋の下に期待にたがわぬどころか、予想の斜め上をゆくモノが。地図から衛星写真にした瞬間、目ん玉見開きましたよもう。
何か閘門ぽい径間があるぞ!

●ホンモノのGoogleマップで開田橋を表示
●のんびりしていた身辺が、あっというまに落ち着かなくなりました。横っ飛びにあれこれ検索して、まずヒットしたのがこれ。
「国道305号 吉崎~浜坂拡幅(平成18年11月11日開通)」(福井県)
橋の名前は開田橋であることが判明。図面まで添付されているのに、水門設備に一切言及がないのは惜しいですが、構造や基礎から水門があることは間違いなさそう。また写真から径間内にフェンダーが見え、閘門である可能性は高そうな感触も得られました。
●さらに検索を進めると、「吉崎舟参り」(あわら市吉崎小学校・金津こども園吉崎分園)がヒット!
閘門決定! しかもスイングゲートだ!
リンク先を見たかぎり、何かのイベントで通航体験をしたようで、乗れるものなら乗ってみたくてたまりません。ヒットした記事の中には「船で吉崎御坊に参拝しよう 北潟湖で『吉崎舟まいり』」というものもあったので、さっそく北潟公民館に電話で問い合わせてみたところ、「お客さんが少なすぎたので、現在は運航していない」とのことでした。ガックリ‥‥。
●この時点で、仮に通航体験がかなわずとも、訪ねる気はまんまんだったのですが、やはり通ってみたくはあるのが人情。も少し悪あがき‥‥いや、ねばってみてもバチは当るまいと、悩んだ末に開田橋のすぐ北にあるマリーナ、吉崎屋商会マリーナに事情を話し、お願いしてみることに。
「御社の前にある“水門”を通って写真を撮ったりしてみたいんですが、船を出していただけないでしょうか‥‥?」
ちなみにこれ、ひと月前とかじゃないですからね。訪問の前日という、迷惑極まりないお願いに、「そういう依頼は初めてだけれど‥‥いいですよ」と、電話の向こうの方の声は困惑気味(当たり前だ)ながら、割とすんなり引き受けて下さったのです! ありがとうございました(泣)!

幸いなことに雲一つない、しかも穏やかな晴天に恵まれて、意気上がるのなんの。立ち席が出るほどの満員電車も、乗り換え時の全力疾走も何のその。珍しいスイングゲート閘門を通れる嬉しさを思えば、どれほどのこともありません。

電車が走り去ってから、まず目に入ったのがこの大看板。人気コミック「ちはやふる」の作者、綿谷新先生のご出身地だそうです。えー、すみませんまだ未読であります‥‥。
【撮影地点のMapion地図】
(元年11月23日撮影)
(『開田橋閘門を訪ねて…1』につづく)

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