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木曽川・飛騨川舟筏路めぐり…8

(『木曽川・飛騨川舟筏路めぐり…7』のつづき)

224046.jpg舟筏路を水面から眺めてゆきましょう。川面近くは岩が盛り上がり、手前が隠れて見えませんが、激しい水流で横圧にさらされるためか、レール周りのコンクリートには破損したところがいくつか見えますね。

ご覧のとおりカワウ君たちの社交場になっており、天敵もいないのかくつろいだ表情。コンクリート構造物の上に集中しているのを見ると、ゴツゴツした岩の上より、平たいところの方が居心地がいいみたいですね。

224047.jpg少し上に目線を移して。この辺りで勾配が緩くなっているのか、画面上やや左のレールがかすかに折れているように見えます。

ここもレールを支える側壁の破損が目立ち、向こうへ素通しになっている部分もありますね。増水時に水面下となったのなら、泥やら木っ端屑があってもよさそうですが、見たかぎり意外とさっぱりしていました。


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さらに上へたどってゆくと‥‥ううん、この前後は圧巻といっていいかも。レールは高度を増して右手の壁が垂直に切り立ち、両側に並ぶ滑車もカーブを受けて、水平だけでなく垂直のものが備えられています。ここを舟に乗ったまま眺める光景は、さぞ迫力があったでしょうねえ。

こちらも今渡ダム舟筏路同様、レールの間は凹形に造ってあるので、シュート式の筏流しが行われていたのかもしれません。写真上、短く切断した原木がレールの間に積んでありますが、これはすぐ上に発電所の取水口があり、除塵機に溜まった流木を処理したものでしょう。何でわざわざここに置いたのかはわかりませんが。

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さて、何より興味の注がれる最上部。レールをまたぐトラスの構造物、その向こうにレールに乗った台車、奥の上には錆びたワイヤーを巻き取ったドラムと、ディテールがいきなり濃くなってきました。

ドラムは左右に一対あり、軸で結ばれた中央に駆動装置らしいものが見えることから、台車の巻上機に違いないでしょう(ゲートの巻上機という線も、捨てきれませんが)。ドラムの間口は左が狭く、右が広いですが、理由は何でしょう。ワイヤーの延長の違いが反映されているのであれば、右がわずかに狭くなるはずですが‥‥。

手前の、水門の堰柱にも似たトラス組みは? 舟を吊り上げる仕掛けとしては位置が中途半端だし、滑車が見えることから、ワイヤーを中継して取り回すナニカかな?

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気になる台車を一杯まで引き寄せて。ギギギ、さすがにこの距離だと手ブレの影響が無視できない‥‥。

距離があるので断定はできませんが、台車はレールのサミットを少し超え、下り坂になり始めたあたりで停まっているように見えます。目の錯覚でなければ、ここを境にレールは堰上げた水面に向かい、台車を泛水させていたのでしょうか。だとすれば、この舟筏路は舟航用インクラインの機能を有していたことになります。

台車は今渡ダムのそれとよく似ていて、魚腹状に中央が垂れ下がった梁の上に、船台になる枠組みが載った構造。朽ちていますが、盤木らしい木製部分も見えますね。

台車にはワイヤーがかかっておらず、周囲の傷み方からしても、運転を止めて久しいことが改めて実感できました。しかし、舟筏路を3つ巡ってきて、現役で使っていそう→使用頻度は低いけれど何とか動かせそう→確実に放置状態――という、遡上につれて稼働率が下がってゆくのを目の当たりにしたわけで、舟航の衰えはもとより、舟航施設としての使いづらさ、敷居の高さも思われたものでした。

(30年9月2日撮影)

(『木曽川・飛騨川舟筏路めぐり…9』につづく)

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タグ : 舟筏路飛騨川川辺ダム