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ラグーナテンボスの謎閘門…2

(『ラグーナテンボスの謎閘門…1』のつづき)

225019.jpg“完全閉塞”に意表を突かれたのと、壁の質量感に圧倒されはしたものの、閘門としての形を留め厳然と存在し続けるその姿に、哀愁とともに強く惹かれる部分もあり、心残りのないよううろつきを続行。

閘門そのもののディテールとともに、遠望したときの情景が特に印象的で、構想が実現したときの華やかさが想われたものでした。
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南側閘室の閉塞壁をアップで。廃止されたトンネルの坑口が塗り込められていたところは何度も目にしましたし、近くは東雲水門のセクターゲート径間が閉塞された例もありますから、そんなに驚かなくともよさそうなものですが、新設で未成のまま、これほど厳重に閉塞されているとは思いもつかず、やはり衝撃は大きかったのです。

手前に角落しの戸溝が見えることから、改めてこれが角落しでも何でもなく、側壁や床固とがっちり連続させた構築物であることを実感。それに加え、壁の接合部は戸袋でもありますから、防潮用マイタゲートはもう、開くこともままならないのです。

閘門の撤去や、埋め戻す手間を考えれば、これが最もコストのかからない解決策であろうことは想像できましたし、閘門が放置されておられればこそ、こうして探訪することもできたわけですから、ある意味、壁のお陰ともいえなくもありません。しかし何とも、複雑な気分でした。

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南側閘室、西端の諸機器。監視カメラに信号、その下にアナウンス用のスピーカー。信号の左上には回転灯も見えます。

信号といえば、近年LED化が急速に進んでおり、水門のそれも例外ではありませんが、この信号が明らかに白熱球とレンズであることを見ても、新造時の年代がうかがい知れ、放置された期間の長さが想われたものでした。

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方々をうろつき回りながら、銘板のたぐいをそれとなく探していたのですが、この閘門、つくづく文字類(笑)が少ないなあと、嘆息するほどでした。短期間でも稼働していれば、注意書きや案内がそこここに掲げられるところで、やはり供されぬまま閉塞されたことを、改めて感じたものでした。

銘板らしい銘板といえば、バイパスの開閉機器に貼られたこれくらい。ズームでたぐってみましょう。

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う~ん、5枚も撮ったのですが、残念ながら失敗。刻印が読み取れれば、納入年月がわかったのに‥‥。「株式会社クボタ」製であることのみ判明。

ゲートの銘板が見つかれば、閘門名がわかるかもと思って探したのですが、以上の結果となり少々残念。まあ、前回紹介した設計者の方がブログで「ラグーナ閘門」と書かれていたこともあり、恐らくそのあたりだろうとは思ってみたものの、確認する手段が今のところないので、自分の中では「謎閘門」のままにしておきます‥‥。

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両閘室の間、背割堤上に設けられた操作室に目を向けてみましょう。四方はガラス張り、段のついた浅い屋根をかむった姿はなかなか瀟洒で、見通しがよく機能的でもあります。側壁には前回触れた、「舫完了スイッチ」が複数並んでいるのが見えますね。

ちょうど橋の下になっているせいか、窓もここから見るかぎり汚れておらず、放置されて久しい感じはしません。もしかしたら、定期的に清掃が入っているのかと思わせるほどでした。

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南側からでは、室内の様子がよく見えないので、足場の悪い中北西側の法面に出ると、操作パネルが垣間見えました。

斜光フードをかけたブラウン管のモニター、インターフォン、電話機‥‥。きれいにされていて荒れた感じはしないものの、これも信号同様、ひと昔前の設備という感じがしますね。

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パネル上に置かれたものはいくつかありましたが、一番右のモニター手前に、ウェスとペンチ、左手には何かのハンドルでしょうか、いくつか置かれていたものがちょっと生々しかった程度で、あとはよく片付いていました。

ゲートが開き、入閘してもやいを取ると、ガラス越しに顔なじみの職員が笑顔で迎えてくれ、閘程を待つ間、沖の海況や釣果を雑談するうち満水、見送られて自分の桟橋に帰る‥‥。構想どおりの完成を見ていたら、そんな通航風景が日々あっただろうと妄想させるものがありました。

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北西側の法面半ばから、閘室西端を見下ろして。この角度からだと、通路の手すりが目立ち過ぎて少しゴチャッとした印象。奥に見える南側のテラスは、ホテルや温泉のある一角から閘室横まで続いています。

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藪を漕いで近づいてみたかったのですが、草深い中をよく見てみると、法面の下端に水を湛えた溝があり、飛び越せそうもなく断念しました。

マイタゲートの戸袋に、コンクリート壁が設けられているのがわかります。繰り返しになりますが、駆動装置が生きていようと、ゲートはもう開くことができないのです。やむを得ない事情はあったにせよ、もの悲しさも極まった観がありました。

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家族の行楽を兼ねてのお出かけだったので、午後は遊園地「ラグナシア」へ。上の写真はその折、遊覧船「サウザンドサニー号」から撮ったものです。

遠くに霞む山並を背景に、ラグーナゲートブリッジの柔らかな曲線が、額縁のように水辺の緑と閘門を仕切り、一幅の絵となすこの光景! 水上から眺めてこそ、初めて気づかされたことではあります。全体の意匠を考えられた方の、すぐれた構想力に脱帽したくなりました。

マイタゲートというのは、堰柱がない分メリハリに乏しく、特に水上から遠望すると状況によっては岸と同化し、見付けづらい嫌いがあるものです。

橋で直上を覆わせることにより、雰囲気を壊さずに操艇者の目線を誘導し、ポンドへの門としても効果的なデザインである点、唸らされたものがありました。以上は勝手な妄想ですが、もし所期の計画が実現していたら、素晴らしい閘門風景が展開されていたことは、間違いないでしょう。

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そんな想い(妄想)は、観覧車に乗って閘門を俯瞰したことで、私の中でゆるぎないものになったのです。背後の更地と閉塞壁が気になるものの、橋のそれと併せて、ポンド沿岸の曲線も実にしっくり来ていて、直線的な閘門の存在感を程よく際立たせており、レイアウトの巧みさにも目を見張らされたのでした。

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ズームを引いて、ポンドやホテル、マリーナを含んだ全体像を眺めて。現状をつぶさに見るにつけ、難しいことは百も承知ではありますが、それでも何らかの形でこの閘門が再起することを、願わずにはおれません。

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帰り際に再度訪ね、午後の日を浴びて、陰翳を深くするゲートを眺めていたら、先ほどお世話になった「サウザンドサニー号」が、ちょうど帰港したところでした。

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青空の元、静謐に水を湛えるポンドとともに東側ゲートを。

考えてみれば、橋の上から見下ろせることはもちろん、水際のテラスから、そして閘室横にも階段状のギャラリー席があったり、加えてゲート上にも一般通路らしいものがあってと、鑑賞スポットの多彩さは他の閘門の追随を許さないものがありますよね。もちろん設計者にも、それを意図して造られた部分があるのでしょう。

もし稼働していたら、それこそインスタ映え(?)する名所となり、ひいては閘門の存在を周知させ、また理解を深める場となっていたに違いない‥‥。新造即閉塞というもの悲しさはあるにせよ、むしろそれゆえに「IF」の妄想をたくましゅうさせるような、ある意味、夢のある閘門ではありました。

(30年9月23日撮影)

(『蒲郡の印象…1』につづく)

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タグ : ラグーナテンボス 閘門