7月22日の多摩川水門めぐり…3
(『7月22日の多摩川水門めぐり…2』のつづき)

●河港水門といえば、両堰柱のトップを飾るコレ! 写真は東側堰柱をアップにしたもの。
竣工当時‥‥大正末から昭和初期のご当地が誇った農産物、すなわちブドウ、桃、梨を盛った果物籠を表現しているのはわかっているのですが、モディファイの妙が俗人の及ばない高みにあるのか、はたまた無学な船頭儀に見る目がないのか、おっしゃるような果物をいま一つ見出すことができず、今日に至っています。

●せっかく久しぶりに来たのだからと、西側堰柱の「果物籠」にもぐっと迫って。強いていえば、両堰柱の「果物籠」とも、手前に配されているツブツブしたのが、ブドウに見えなくもないといえば‥‥イヤ、どちらかというとツブツブが野イチゴに見えるなあ‥‥。だいたいあの、ところどころに見える目玉みたいのは何でしょうか。軟体な魔物が無数にある目をぎょろつかせているようで、想像力のベクトルがあさっての方向にかき立てられる始末です。
まあ、水門の装飾で、これほど引力を感じ、かつあれこれと想像力を刺激するものは他にないわけですから、ある意味、河港水門は最強! と断言できるのではないでしょうか?

●冗談はさておき、進入開始であります。先ほどよりだいぶ迫った位置で、ぐっと仰いで一枚。径間9.01m、扉高7.4m相応の質量が、頭上に覆い被さろうとする一瞬。
前回訪問時に紹介しましたが、10年ぶりなので、改めて「鋼製ゲート百選」(技法堂出版・平成12年)から諸元を書き出しておきます。大正15年着工、昭和3年竣工、昭和61年改築。事業者は川崎市、施工会社は当時の浦賀船渠。
●開閉装置はチェーン駆動で、堰柱内部にカウンターウェイトを備え、均衡させる方式なのは三栖閘門と同様ですね。
扉体はフロントローラー式スライドゲート。右写真はその、フロントローラーを見たところ。初見時、扉体は角落しのように、継ぎ目から分割して降ろせるのかしらと思っていたのですが、今回観察したら、各フロントローラーに至る潤滑油の配管らしきものがつながっていたので、少なくとも今は一体で上下するのでしょう。
●扉体を過ぎた直後、管理橋を仰いで。気になったのは、桁側面中央、縦に貼られた銘板みたいなもの。凝った形をした割には、何も書かれていませんでした。
水門周りの方は保全されてきれいでも、橋はコンクリートが剥落し、鉄筋が露出していて痛々しいですね。富山の中島閘門でも同様でしたから、手の回らない部分が出てきてしまうのは、古いゲート施設共通の悩みなのかもしれません。
(30年7月22日撮影)
(『7月22日の多摩川水門めぐり…4』につづく)

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●河港水門といえば、両堰柱のトップを飾るコレ! 写真は東側堰柱をアップにしたもの。
竣工当時‥‥大正末から昭和初期のご当地が誇った農産物、すなわちブドウ、桃、梨を盛った果物籠を表現しているのはわかっているのですが、モディファイの妙が俗人の及ばない高みにあるのか、はたまた無学な船頭儀に見る目がないのか、おっしゃるような果物をいま一つ見出すことができず、今日に至っています。

●せっかく久しぶりに来たのだからと、西側堰柱の「果物籠」にもぐっと迫って。強いていえば、両堰柱の「果物籠」とも、手前に配されているツブツブしたのが、ブドウに見えなくもないといえば‥‥イヤ、どちらかというとツブツブが野イチゴに見えるなあ‥‥。だいたいあの、ところどころに見える目玉みたいのは何でしょうか。軟体な魔物が無数にある目をぎょろつかせているようで、想像力のベクトルがあさっての方向にかき立てられる始末です。
まあ、水門の装飾で、これほど引力を感じ、かつあれこれと想像力を刺激するものは他にないわけですから、ある意味、河港水門は最強! と断言できるのではないでしょうか?

●冗談はさておき、進入開始であります。先ほどよりだいぶ迫った位置で、ぐっと仰いで一枚。径間9.01m、扉高7.4m相応の質量が、頭上に覆い被さろうとする一瞬。
前回訪問時に紹介しましたが、10年ぶりなので、改めて「鋼製ゲート百選」(技法堂出版・平成12年)から諸元を書き出しておきます。大正15年着工、昭和3年竣工、昭和61年改築。事業者は川崎市、施工会社は当時の浦賀船渠。

扉体はフロントローラー式スライドゲート。右写真はその、フロントローラーを見たところ。初見時、扉体は角落しのように、継ぎ目から分割して降ろせるのかしらと思っていたのですが、今回観察したら、各フロントローラーに至る潤滑油の配管らしきものがつながっていたので、少なくとも今は一体で上下するのでしょう。

水門周りの方は保全されてきれいでも、橋はコンクリートが剥落し、鉄筋が露出していて痛々しいですね。富山の中島閘門でも同様でしたから、手の回らない部分が出てきてしまうのは、古いゲート施設共通の悩みなのかもしれません。
(30年7月22日撮影)
(『7月22日の多摩川水門めぐり…4』につづく)

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