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10月9日の旧岩淵水門…2

(『10月9日の旧岩淵水門…1』のつづき)

212026.jpg下流側右手の、堤体(といっていいのかな?)部分に目を向けて。

フラットな法面ではなく、橋脚状(?)の凸部をあしらっているあたり、造り手の細やかな心配りが垣間見えるように感じられます。つるりとした平面なのも悪くないですが、少しでもディテールがあった方が、見た目にも和らいだ雰囲気になりますものね。

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制水門の径間にぐっと寄せて。上流側と異なり、凹部を抜いた高欄、角にわずかな丸みをつけた堰柱と、ディテールを一つ一つ拾ってゆくは楽しいもの。

巻上機や動力伝達の部分は、竣工時よりだいぶかさが増していますが、それでも他の水門にくらべればこぢんまりとまとまっています。通船水門を別径間にしたおかげで、扉体の巻上高さが抑えられたこともあるでしょう。

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すでに11月15日からのタイトルで掲げてありますが、通船水門の径間に惹かれてトリミング。風通しがいい塩梅なのか、この桁下のみ蔦がよく繁り、左手の継手にはボッ、といった風に丸く灌木が自己主張しているという、独特の魅力に吸い寄せられたわけです。

見方によっては、もう使われなくなって久しい、廃墟感を強調する眺めととる向きもあるやもしれません。左の丸い灌木も、不等沈下によって隙間を増した、継手を割って生えているのでしょうから、遺構らしい角度といえなくもないでしょう。

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光線よろしく、紅の塗色に構造の陰翳も映えるであろうと、少し距離を取ってから、通船水門を思い切りたぐって一枚。

竣工当初の“動力付き角落し”の時代を想えば、高さを抑え一直線に近かった天端のラインは崩されて、オリジナルのすっきりしたスタイルは失われ、ある意味無骨になったわけです。しかし、この堰柱や扉体が付されたことによって存在感はいや増し、むしろ眺める人に愛着を覚えさせたのではないかしら‥‥と妄想。

212030.jpg最微速でゆるゆると遠ざかりながら各部を愛でて、ほどよい距離を隔てたところで、もう一度全体像をパチリ。役目を終え、その場で時を止めてから久しくを過ごしても、長きに渡り、水の憂いから低地を護ってきた威容は健在です。

人声の絶えない憩いの水辺にあって、頼もしくも美しいその姿を、いつまでも留めてほしいものですね。

(29年10月9日撮影)

(『10月9日の岩淵水門』につづく)

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タグ : 旧岩淵水門 隅田川