飛島木場のロータリーボート…2
(『飛島木場のロータリーボート…1』のつづき)
●これも先ほどの艇同様、Googleストリートビューを見ていて気付いたもの。第三貯木場、土堤道から北側の水面をよ~く見てみると、風化した原木の間に挟まれて、たゆたう船影が3つ!
発見した当初こそ色めき立ったものの、果たしてこれらは現役なのか否か? 今回の訪問で、ようやくその答えを確かめることができたのですが‥‥。
【撮影地点のMapion地図】
【▼「続きを読む」をクリックしてご覧ください】

●見つけた瞬間は、ロータリーボートが3隻もいっぺんに見られるなんて! と喜んだものです。しかし、ストリートビューの不鮮明な写真でも、周囲の雰囲気から、どこか吹き溜まり感が否めなかったこと、船体も荒れた感じがしたことなど、現役であることはちょっと疑わしいと思えたのでした。
さて、現物を前にしてみると‥‥‥‥。う~ん、これは使われなくなって久しいんだなあ、というのが第一印象。朽ちかけた原木に繋がれて、肩を寄せ合っている風なのも哀れを誘いました。手前のクレーン船いや、クレーン筏(?)にもちょっと惹かれますが、真っ赤に錆びた船体の様子から、稼働しなくなってだいぶ経つのは明らかです。

●ズームでたぐって、1隻ずつ検分してまいりましょう。向かって左の「R-217」から。
前後のブルワークは錆び落ちてグズグズ。喫水もダウントリムになっていて、浸水していることが察せられます。次回船検指定のシールは平成28年ですから、少なくとも数年前までは稼働していたと思われます。

●同じ艇を正面近くから。ブルワークの崩壊した様子がよくわかります。これはどの艇も同様ですが、船体の傷み具合にくらべて、キャブは色褪せた程度で、どれも原形を保っていますね。FRPと鋼の違いが感じられて興味深くもあり。

●中央の「223」。太いエクゾーストを立ち上げて、エンジンケーシングも大きくなっており、また船首のブルワークも高さを増しているようですね。キャブ周りや手すりにも他の艇と違ったところが見られるので、恐らく現場での改造ではないでしょうか。こういう、バックヤードスペシャル的な改造、惹かれますねえ。

●一番右手、「R207」。束ねられたロープが、錆び落ちたブルワークの間からはみ出ているあたり、何とも寂寥感のある光景。この艇だけ、キャブのナンバーが抜き文字をネジ留めしたもので、面白く思ったものです。

●ロータリーボートの特徴たる、船首だけでなく舷側にも備えられた、スパイクの列をアップで。長年の筏組み作業の故か、繋がれてから風波で何度もぶつかったからか、スパイクの一部は折れ曲がっているのがわかります。またこの艇だけ、船首の繋船杭が木製なのですね。

●一息ついてふと、はるか遠く対岸にも、3隻のロータリーボートが繋がれているのに気付きました。何分距離があるので、ズームで思い切りたぐってもこの程度で、状態はよくわかりません。塗装が青で統一されていることから、別の銘木会社の所属でしょう。
見たかぎり、船体の塗装が落ちている風ではなかったので、こちらは現役なのかもしれませんね。船尾に角柱の排気管らしい立ち上げがあったりと、現場レベルでの艤装の違いに興味を惹かれます。しかし、操舵席に取り付けられた、昔のスチール事務机にあったような椅子、どうも標準仕様だったようで‥‥。そのミスマッチに、妙におかしさがこみあげてきたものです。
10年前に「フネづくし」で、朝潮運河で初めてロータリーボート(と、認識してはいませんでしたが)を見たときも、この椅子に強烈な印象を覚えたものでしたっけ。

●立ち去りがたい気持ちを抑えながら、3隻にお別れを告げて、改めて最後に一枚。
貯木場のペット、といってもよいロータリーボートの活躍の場が、狭められてゆく様子を目の当たりにするのは残念でしたが、廃船とはいえ、ロータリーボートならではのディテールを間近にじっくり堪能できて、幸いではありました。
(29年5月3日撮影)
(『飛島木場の閘門…1』につづく)

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発見した当初こそ色めき立ったものの、果たしてこれらは現役なのか否か? 今回の訪問で、ようやくその答えを確かめることができたのですが‥‥。
【撮影地点のMapion地図】
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●見つけた瞬間は、ロータリーボートが3隻もいっぺんに見られるなんて! と喜んだものです。しかし、ストリートビューの不鮮明な写真でも、周囲の雰囲気から、どこか吹き溜まり感が否めなかったこと、船体も荒れた感じがしたことなど、現役であることはちょっと疑わしいと思えたのでした。
さて、現物を前にしてみると‥‥‥‥。う~ん、これは使われなくなって久しいんだなあ、というのが第一印象。朽ちかけた原木に繋がれて、肩を寄せ合っている風なのも哀れを誘いました。手前のクレーン船いや、クレーン筏(?)にもちょっと惹かれますが、真っ赤に錆びた船体の様子から、稼働しなくなってだいぶ経つのは明らかです。

●ズームでたぐって、1隻ずつ検分してまいりましょう。向かって左の「R-217」から。
前後のブルワークは錆び落ちてグズグズ。喫水もダウントリムになっていて、浸水していることが察せられます。次回船検指定のシールは平成28年ですから、少なくとも数年前までは稼働していたと思われます。

●同じ艇を正面近くから。ブルワークの崩壊した様子がよくわかります。これはどの艇も同様ですが、船体の傷み具合にくらべて、キャブは色褪せた程度で、どれも原形を保っていますね。FRPと鋼の違いが感じられて興味深くもあり。

●中央の「223」。太いエクゾーストを立ち上げて、エンジンケーシングも大きくなっており、また船首のブルワークも高さを増しているようですね。キャブ周りや手すりにも他の艇と違ったところが見られるので、恐らく現場での改造ではないでしょうか。こういう、バックヤードスペシャル的な改造、惹かれますねえ。

●一番右手、「R207」。束ねられたロープが、錆び落ちたブルワークの間からはみ出ているあたり、何とも寂寥感のある光景。この艇だけ、キャブのナンバーが抜き文字をネジ留めしたもので、面白く思ったものです。

●ロータリーボートの特徴たる、船首だけでなく舷側にも備えられた、スパイクの列をアップで。長年の筏組み作業の故か、繋がれてから風波で何度もぶつかったからか、スパイクの一部は折れ曲がっているのがわかります。またこの艇だけ、船首の繋船杭が木製なのですね。

●一息ついてふと、はるか遠く対岸にも、3隻のロータリーボートが繋がれているのに気付きました。何分距離があるので、ズームで思い切りたぐってもこの程度で、状態はよくわかりません。塗装が青で統一されていることから、別の銘木会社の所属でしょう。
見たかぎり、船体の塗装が落ちている風ではなかったので、こちらは現役なのかもしれませんね。船尾に角柱の排気管らしい立ち上げがあったりと、現場レベルでの艤装の違いに興味を惹かれます。しかし、操舵席に取り付けられた、昔のスチール事務机にあったような椅子、どうも標準仕様だったようで‥‥。そのミスマッチに、妙におかしさがこみあげてきたものです。
10年前に「フネづくし」で、朝潮運河で初めてロータリーボート(と、認識してはいませんでしたが)を見たときも、この椅子に強烈な印象を覚えたものでしたっけ。

●立ち去りがたい気持ちを抑えながら、3隻にお別れを告げて、改めて最後に一枚。
貯木場のペット、といってもよいロータリーボートの活躍の場が、狭められてゆく様子を目の当たりにするのは残念でしたが、廃船とはいえ、ロータリーボートならではのディテールを間近にじっくり堪能できて、幸いではありました。
(29年5月3日撮影)
(『飛島木場の閘門…1』につづく)

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