東雲北運河のロータリーボート

(『初秋の隅田川』のつづき)

195056.jpg東雲北運河、木村造船所の近くまで来てみたら、桟橋にもやわれた一隻に、目線が「ひゅっ」と音を立てて吸い寄せられました。
えっ、ロータリーボート?!

行き会い艇があったので、最初の引き波を越えるまでいったんやり過ごし、改めて後進をかけながら近寄って、観察してみることに。

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いや、これは痛々しいな‥‥。まず目を引かれたのが、目を覆わんばかりの傷み具合。たび重なる衝突で凹みまくった前後のブルワークは、腐食が進んで向こうが透けて見えるほどです。舷側の錆もひどく、仮に現役だとしても、手入れをされることなく長い年月を過ごしてきたことが想像できました。
(このタイプについては、タグ「ロータリーボート」で他の記事をご覧ください)

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船尾側から。船名が書かれていることを期待したものの、残念ながら船尾にも記載なし。ブルワークのゆがみっぷりがよくわかります。

ベコベコのボロボロとはいえ、長さ/幅比の小さい、タライのような船体はまさにロータリーボート。丸っこさを堪能できる、実に魅力的な角度といえます。

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ふた昔前の、事務机用の椅子そのものシートも、皮が破れアンコがはみ出て、船体に劣らず惨憺たるありさま。メーターの一部は失われ、眼窩のように穴が開いたまま。ドライブの角度を変える小さなハンドルが、やけに目立っているコンソール‥‥。自走してきたのか、曳かれてきたのか‥‥。

最初、他地方から運ばれてきたのかも、と思っていたのですが、コンソール側面の船籍港表示に東京とあり、しかも直近の船検が平成23年。少なくともつい最近まで、現役だったのです。いや、ボロボロにくたびれているとはいえ、実は現役で、ここまで自走してきた可能性も高いですね。それにしても、どこで働いていたのでしょう?

第十一あかつき」がいた、朝潮運河にかつてあった筏屋さんは2隻のみのはず、しかもキャブがハードトップタイプだったので、他の船社に属していたものと推察。もしかしたら、新木場の貯木場とか、13号地のそれの囲いの中からほとんど出ずにいたのかも。だとすれば、船頭の目に留まらずとも不思議ではありません。

195060.jpg船名すらわからないのは残念でしたが、出会えたこと自体は幸運でした。東京ではとっくに絶滅したと思い込んでいたロータリーボートが、痛ましい姿とはいえ、こうして生き残っていてくれたのがわかったのですから。

しかし、都内の可航水路に限るなら、自艇でのぞけるところはほとんど訪ねたとはいえ、こうしてまだ見ぬ艇との出会いがあるのですから、さすが東京、侮れません。もちろん貯木場のような、一般艇の立入が禁じられている水面に入るわけにはいかないので、穴はあると思うのですが。
撮影地点のMapion地図

(28年9月10日撮影)

(『新造消防艇「ありあけ」拝見』につづく)

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タグ : 東雲北運河 ロータリーボート 曳船