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丘の上の高架水路!

(『阿賀野川頭首工を愛でる…11』のつづき)

193126.jpg朝食を済ませてから宿を出て、近くにある遊園地「サントピアワールド」に寄ってみました。緑豊かな丘陵のそこここに、乗りものがちりばめられているといった印象で、さっそく丘の上にある観覧車に乗ってみると、美田の向こうに薄霞む山々が一望のもと。

ちょっと懐かしくなるような乗りものもいくつかあって、楽しめたのですが、ここでも水路バカ的に惹かれる物件を見つけ、家族サービスそっちのけでコーフンのひとときを過ごすことと相成りました。
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観覧車を下りた後、木々が生い茂る涼しげな山道をたどって、丘のさらに上へ。凄い石垣だけれど、ここまで運んでくるのは大変だったろうなあ。もしかして、古城の跡かしらと思わせるような巨石ばかり。ちなみに丘の上と麓は、汽車の格好をしたトレーラーバスが巡回していて、山登りをしなくとも楽に移動できます。

探検気分で山道を登り切って、林の中から開けたところに出たとたん、一枚の看板に目線が吸い寄せられました。

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たのしさにチャレンジする日本一の激 流 く だ り

ま、まあ、どこの遊園地にもある、ウォーターシュートのたぐいであろうと察しはついたものの、その秀逸(?)なコピーと絵柄、そして哀愁漂う色褪せぶりにハートわしづかまれ。乗らずとも一見しておこうと、歩みを進めてみると‥‥。

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おお、日本一を称するだけあって、私が見た他のものとくらべ、規模が大きいみたいですね。手前にうねる水路だけでも、結構な流路延長(笑)です。今まさに一隻の舟(?)が斜路を登っていくところ、森に隠されたあの向こうのレイアウトも気になります。

しかし、丘のてっぺんに水路が走り、舟が浮いているのって、理屈では分かっていても何やら不思議な感覚。乗り場も一応見ておこうと、左へ目をやると‥‥。

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看板から、「ロックアドベンチャー」が正式名称であることが判明。いや、気になったのはそこではなく、水路がちょうど鉄道の待避線のように、二股に分かれたところ!

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いわば水路の分岐機‥‥鉄道でいうポイントですが、えらく魅せられてしまいました。構造は板材を重ねた格子状で、水を通すようになっているものの、表面にはゴムのフェンダーが張られ、舟のみが開通側に導かれるように造られています。軸受け上の箱の様子からして、動力がついているようですね。

水を通すのですから、これを水門というのは語弊があるなあ、いわば舟航施設の一種‥‥などと暑苦しい妄想がおつむを駆け巡ります。ともあれすっかり気に入ってしまい、「よし、乗ってみよう!」という気になったのでした。

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勢い込んで乗った割には、舟そのものの写真を撮るのを忘れた‥‥。以下、ロクな写真がありません、悪しからず。で舟は、いずこもほぼ同じと思いますが、丸太を模したデザインです。つまり、昔山間の渓流区間で多用された、丸太一本流しを想定して乗るとさらに楽しく(もうやめろ)。

いや~、遊園地のこしらえものとはいえ、舟に乗って水に浮くだけで、テンションが大いに高まりますわい。遊園地のフネで一人上機嫌になる、えらく安上がりなおっさん‥‥何だか、「世界最小水路の旅!」を思い出させるものがありました。

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コンクリ水路をうねうね、ぐるぐると市中引き回しされた後は、轟々とベルトの駆動音を響かせる斜路に運ばれて、いよいよ佳境へ。チェーンとか、タイミングベルトじみた引っ掛かりのあるものを想像していたのですが、つるりとした平たいゴム引きのベルトだったのが意外でした。

「船頭多くなくとも船山に登る」だナ、などと軽口を叩きたくなるワクワク感。インクラインがかつてあったダムを見た翌日に、インクラインめいた遊びができるとは、まこと奇なる縁なり(何をこじつけているのか)。

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斜路のベルトコンベアから放り出されて、上部水路も今までと同じく、コンクリの溝が続いているのかと思いきやさにあらず。

鋼板を組んだ水路橋です! これは予想外で、かつ嬉しくなりました。丘のてっぺんにある、高架下水路ならぬ高架水路! 素敵じゃないですか。お尻の下に船体(?)があり、その下に水があって舟を浮かし、そのまた下を鋼板が支え、さらに下は何もない空間! これまた、えもいわれぬ不思議な感覚になったものです。

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波打つ「激流」は、緑豊かな森を右に左に屈曲し、さらには頭上ギリギリに藤棚様のメッシュをかぶせた、緑のトンネルまであるサービスぶり。森林鉄道ならぬ森林水路、略して林鉄ならぬ林水。略してどうするか。

水路延長は思った以上にあり、カーブと木々の間をすり抜ける連続で息をもつかせず、なかなかスリリングで飽きさせません。どこかで地面に接し、コンクリ水路が現われるのかとも思いましたが、いつまでも高架水路なのが得点高し。空中の舟行きをたっぷり楽しめます! 

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高架水路に進入したときから気になっていたのが、見たかぎり、えらく板厚が薄くて頼りなげであること。いや、強度はちゃんと計算されているからこそ、竣工以来今日こうして在るのでしょうが‥‥。積雪時のことを考えると、むしろ関東のそれより頑丈に造ってあることは、疑いありますまい。

しかし、舟ばかりでなく、結構な流速のある水がたっぷりと載っていることを思うと、この板厚の薄さは何ともスリル満点ではあります。左カーブで撮れた、華奢な造作が実感できる一枚が上の写真。橋脚がI 形鋼の梁に鋼管2本という簡素さ、水路橋の側面もリブがまばらで、まるで樋‥‥そう、似たものが思い描けずにいたのですが、このペコペコした感じ、昔の銅板や亜鉛引きブリキ板で造った、樋そのものですわ!  

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カーブで側面がのぞけるたびに、「昔の樋風味」を楽しみながら進んでいたら、ついに高架水路の区間終点が近づいてきてしまいました。

短い間でしたが、水路行としては道中すべてが新鮮で、えらく楽しませてもらった気がします。再び現れた黒いベルトの斜路の先は、最初に見えたウォーターシュート。「激流」中の激流を前に、さすがに緊張感が高まりますのう。

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というわけで、構造物好きのツボも少なからず、別の意味でもスリル満点だった高架水路の旅もここで終わり。

水しぶきを思いっきりかぶるでしょうから、カメラはしまったので写真は撮れず。ちなみに斜路を登った後、下ってからいったん水平になり、その先で緑のンネルをくぐってドボン、でした。

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ホンモノのGoogleマップでサントピアワールド・ロックアドベンチャーを見る(上は単なる画像)

道々のうねうねっぷりをご理解いただこうと、Googleの航空写真をお借りして、ロックアドベンチャーの全景を。水路の曲がり具合、トンネルや木々の配置も塩梅よろしく、実際の道のり以上に長く感じられました。

右上、道路と立体交差している部分がありますが、下は2サイクルエンジンで走るゴーカートの道路です。今思うと、ここが絶好の撮影ポイントで、この後ゴーカートにも乗ったものの、予想以上に保針性が悪く、ハンドルから手を離せず水路橋を撮れなかったのは、何とも悔しいかぎり。舟上からクルマを撮ってもよかったでしょう、初めてのこととて視界が開けたのは一瞬で、間に合いませなんだ。

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おまけ。ものすごく惹かれた風景・その一。
サードレールが‥‥(申しわけありませんわかる方だけわかってくだされば結構です)。

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ものすごく惹かれた風景(というかパーツ)・その二。
こっコレクターが! コレクターが! (すみませんわかる方だけわかってくだされば結構ですええはい)

(28年5月29日撮影)

(この項おわり)

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タグ : サントピアワールド水路橋

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