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富山の極小閘門! 松川舟通し水門…2

(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…1』のつづき)

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175127.jpg息せき切って走り寄ったそのゲートは、先ほど放水門を見に降りたときから、視界の端に入っていたもの。白塗りの扉体でラック式巻上機という、何の変哲もないごく普通の樋門といった風体で、後回しにするのも無理はないような、地味な造作です。

はて、これが閘門の機能を持っているのか‥‥。首をかしげながらも、もっと近くでよく見てみようと、生い茂る草むらの中へざくざくと踏み込んで前進。ちなみに、水路は神通川の高水敷を、半径の小さいカーブで写真右手に屈曲しており、水は松川から流れ出ていて、ゲート下の低い落差で水音を立てていました。

近づいてみて、アッと声を上げました。樋門の中に
舟がもやってるよ!


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いきなり「舟航の証拠だ!」といわんばかりの光景を突き付けられて、嬉しくはなったものの、引っかかるところがいくつもあり、いま一つすっきりしない、というのが正直なところでした。以下、観察した印象をいくつか。

手前の戸当たりには低い落差があって、このままではどう見ても、こちら(神通川)側に出られる水深があるようには思えませんでした。首をかしげながらよく見てみると、扉体の戸溝のすぐ手前に、もう一対、背の低い戸溝が切ってあって、落差はそこにできているようです。

これ、もしかしたら角落しか何かがはめ込まれていて、わざと落差を作っているのではないでしょうか。考えられる理由としては、船溜(?)として用いている閘室(??)内の水深を確保し、舟が着底しないようにするためとか‥‥。ともあれ、この角落しを抜けば、軽荷状態なら舟を引きずって、手前の水路に出られるであろうと、一人納得しました。

奥のゲートは越流しているのはわかりますが、これが本物の扉体なのか、手前同様角落しなのかは、反対側に行ってみないかぎりわかりません。しかし、隣の放水門とさしたる距離もないのに、水位差がえらく少ないのは気になりました。これは後で高水敷の水路を眺め、半ば納得することになります。

175129.jpgおっさんが腕組みをして、一人ブツブツ不気味な思索を巡らしている間も、舟は流水に身を踊らせて、ガコン、ガコンという鈍い音をたて続けています。

舟はタテイタ式の角ばった船首を持った、平底細身の一階(舷側が段差のない一枚板で作られていること)造りで、いかにも川舟らしいそそるスタイル。おそらく漁舟でしょう、中には木製の櫂と、青竹の棹らしいものが見え、左舷に二つあるフェンダーは、L字金具で引っ掛ける構造なのが変わっていました。

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川舟臭さに惹かれながらも、「閘門たる証拠」の方に意識をひゅっと吸い寄せられるのは、無理もないところ。右の側壁にあるスイッチボックスみたいなもの、これは扉体を遠隔操作するものでは?

ボタンらしき出っ張りが3つある! これ「上昇・下降・非常停止」だよね? 足かけ金具を利用した、衝突防止ガードがあるのもそれらしく、脳内ではもう、通航艇用のリモコンに決定。

ここで反対側に走って、もう一つの扉体を眺めたくなる気持ちを抑えながら、水位差の少なさという謎を解くべく、神通川に続く高水敷の水路を見てみることにしました。
撮影地点のMapion地図

(27年6月20日撮影)

(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…3』につづく)

【27年9月2日追記】
舟通しや高水敷の水路の謎、松川の和船については、解明編「松川の舟通しと和船のことなど」をご覧ください。

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タグ : 松川舟通し水門閘門松川

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