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中島閘門ふたたび…1

(『富岩運河で遊ぶ…9』のつづき)

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幅がぐっと広くなった閘門前の水域に入ると、「ふがん」は行き足を再び落し、待機の姿勢をとったようです。ぐんぐんと開いて、シルエットを縮めてゆく後扉室のマイタゲートの動き、滝のような滴を落とし、開くほどに視界を圧するローラーゲートの豪快さを動とすれば、まさに静の魅力を醸し出すゲートといえるでしょう。

いや、胸が高鳴ります! 前回の訪問から8年を経て、いよいよこの閘門を通ることができるんだ!

175047.jpg気づけば、操舵室の後ろにお客さんが集まって、時ならぬ人だかりが。後ろだけでなく、左の通路にも陣取り、スマホやカメラを構える人まで。ちなみに、我々以外はほとんが、外国からのお客さんでした。

巨大な水上の扉を前にして、高ぶる気持ちに国境はないことが感じられて、どこか嬉しくなるシーン。しかしこれを見ると、やっぱりオープン艇にしたほうが、遠来のお客さんにも喜ばれそうではあるなあ、と‥‥。

いやいや失礼、単なる個人的な好みを、他人をダシにして語ってはいけませんね。

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ゲートが全開になると、管理橋の上に出てきていた係の方とおぼしき人影が、大きく手を振って、こちらに合図を送ってきました。同時に「ふがん」も、ゆるゆると前進を再開。お待ちかね、閘室へ進入であります。

係の方の合図でハッとしたのが、中島閘門、東京の水門ではおなじみ、信号のたぐいは備えられていないのですね。まあ、重文指定を受けていることもあり、原形を失うような追加設備は、なるべく避けられていると見てよいでしょう。

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鼻先に迫ってくる扉体を一枚、径間9.09m、扉高5.765mの威容。平成10年に新製された扉体だけに、痛みも見られず、塗り替えも定期的に行われているのか、実にきれいです。

「鋼製ゲート百選」(技報堂出版、平成12年)によれば、65年ぶりに新製更新された扉体は、竣工当時のままに復元することを旨とし、15000本に及ぶリベットによって組まれたのだとか。復元とはいっても、組み立ては溶接で行い、鋲頭のみをお飾りで添えるという方法もある中、このリベットは決して伊達などではないあたり、さすが重文といったところでしょうか。

175050.jpg「ふがん」が閘室に納まったところで、早くも扉体は水面に渦を作りながら、閉まり始めました。今度は近いせいか、ロッドを駆動しているとおぼしき、モーターの唸りが聞こえてきます。

お客さんたちと並んでカメラを構え、船尾の「窓」から嬉々として扉体の動きを撮影。ううむ、やはりこの、「新幹線に似せた」がためらしい装飾は、視界をさえぎるなあ‥‥。何だかしつこくて、すみません。

上部構造がなく、頭上がすっきりと「抜け」ているのが特徴のマイタゲート、せっかくの通航体験なのですから、広い視界で、空と一緒に撮ってみたいですものね。
撮影地点のMapion地図

(27年6月20日撮影)

(『中島閘門ふたたび…2』につづく)

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タグ : 富岩運河中島閘門閘門富岩水上ライン水上バス

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