出かけるまでと出かけた後

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水路行にご一緒した方などから、過去にたびたび同じご質問があったので、アップしておけば今後の役に立つかもと、思い立ってまとめてみました。私の艇で出かけるまでと、戻ってきた後のもろもろについて、お話しさせていただきます。

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出港まで‥‥

艇に着いてまずやらなければならないのは、キャンバスオーニングを外すこと。停泊時は、フロントグラスからモーターウェル(船外機取付スペース)手前に至るコクピット、すなわち人の乗る器状のスペースを、青いキャンバスのカバーで覆ってあるからです。

砂塵や紫外線から船体の主要部分を守り、そこにあるアクリルやゴムパッキン、電装系など、比較的弱い素材の劣化を防ぐためですが、カディ(甲板室)やコンソールにあるハッチが、水密に若干不安のある構造で、豪雨になると艇内に浸水することも考えられるので、カバーで覆っておく必要があるのです。

カバーは縁を数十ケ所のホックで留められています。これをスターン(船尾)側から、かさばらないように上手くたたみつつ、バチンバチンと順次外してゆきます。
キャンバスですから、汚れが付きやすいのは仕方がないのですが、砂塵がすごいのには閉口します。特に冬などは、北風が内陸からのホコリを運んでくるとみえ、半月も時間をおくと、表面が白くまだらになるほど、砂塵がたっぷり付着しているのです。気を付けてそおっとたたんでも、ホコリまみれになりますから、マスクをして作業するようになりました。これは立地によるのかもしれませんが。

たたんだカバーを甲板床下の船艙にしまったら、斜めに立て掛けてあった艪とボートフックをいったん桟橋に出し、すべてのハッチの錠を開け、バッテリーのメインスイッチをONにします。
次にチルトアップしてある船外機のロックを外し、パワーチルトの機側スイッチを押下して、船外機を下ろしたらすぐに暖気運転を始めます。出港までまだ準備作業が残っていますから、その間にエンジンは十分暖まり、不調があれば気付くことができるというわけです。このとき、両舷灯・停泊灯の点灯も確認しておきます。

次にカディのハッチを開けて、中にしまってあるシートなどを順次取り出して、取り付けてゆきます。個人的な好みで、外気にさらしたままだと傷みやすそうな部分は、すべて着脱式に造ってあるためです。
二つある前部のシートを支柱にはめ込んで締めつけ、後部席ベンチのクッションは、マジックテープで軽く固定するだけ。ホーン(汽笛)は三点ボルト締めの後、インストパネル(魚探を収めた計器箱)からコードを引き出して、コネクターで結線します。折りたたんである停泊灯マストもボルトを緩めて直立させ、例の旗を掲げておきます。

172000_02.jpgこの間、いかにカバーをしてあるといっても、コクピット内も砂塵でザラザラになっていることがほとんどなので、ウエスを何枚か水道でゆすいでおき、水平面を軽く拭きあげるなど、最低限の清掃をしながら組立てを進めることになります。

掃除を怠れば居心地が悪いのはもちろん、航行中の風で砂塵が目に入ったら、それこそ安全面でも問題がある(昔、これで怖い思いをした経験があるのです)からです。
そして何より、多くの方に橋の上や両岸から見下ろされるわけですから、砂塵の汚れでまだら模様になっているなど、みっともないことこの上ありません。ちなみに冬季、一ヶ月ぶりに乗ったときの甲板が、右写真の状態です‥‥。

最後に、ロウデ(握りのある部分)とロバ(水に入るブレード)に分解してある艪をボルトで組立て、左舷側に置いてからロープでハンドレールに固定し、ボートフックを操舵席のある右舷側に置いて、出港準備完了。
魚探の電源を入れて、舵を左右に切ってみて異常がないことを確認できたら、もやいを解いて後進微速、離岸の運びとなるわけであります。

帰港したら‥‥

出港準備より時間がかかるので、食事をとるなど一休みしてから、艇に戻ってやおら取り掛かることが多いです。
まずは先ほど取り付けたものを外して、順番に収納してゆくのですが、波しぶきや閘門通航の際の水滴がついているので、ゆすいだウエスで拭いてからしまってゆきます。金属に限らず、ビニールやプラでも塩分を含んだ水滴がつけば痛みますから、丁寧に拭ってやるのが長持ちさせる秘訣です。必要であれば、スプレー洗剤で清拭してやります。

艪は分解した後、ロウデを先に水拭きしてカディにしまい、ロバは先ほどと同じく、ボートフックとともにいったん艇外へ出しておきます。この間余裕があれば、6つある全ハッチを開放して風を入れ、湿気が溜まりがちな船艙を、少しでも乾燥させるようにしてやります。
なおカディと燃料艙には、金属や布製品が痛まないようにと、それぞれ除湿剤をいくつか入れているのですが、何分水の上に浮いているとなれば、気休めというか付け焼刃かもしれません。

取り外しと収納が終わったら、全ハッチを閉め、船外機をチルトアップした後ロックし、バッテリーのメインスイッチをOFFにします。艇からいったん降りて、桟橋の共同水栓からホースを伸ばし、真水で全体を洗いにかかります。
川が主なフィールドとはいえ、汽水域から臨海部もうろついているとなれば、相応に潮っ気はありますから、船体を長持ちさせるためにも、塩分は落としておくにしくはありません。最低限、ざっと流しておくだけでもずいぶん違います。

時間に余裕がある場合、水洗いを外舷(船べり、側面)から行います。甲板上など艇内を先に濡らしてしまうと、もたれたり腹這いになったりができなくなるためです。水をゆるく流しながら、手の届くところはウエスで拭ってやります。
「何で外をわざわざこするの?」と思われるかもしれませんが、外舷のアカというか、汚れは結構ものすごくて、ちょっとウエスでこすっただけでも、牛乳のように白く濁った汁が流れ出てくるほどだからです。何があれほど濃い垢となるのかはわかりませんが、塩分にホコリや水垢が混じったものなのでしょうか。あの濃厚さを一度見ると、毎回は無理にしても、なるべく洗ってやりたくなります。

この垢は水をかけたくらいでは到底落ちず、布などでこすることが必須なわけです。もっとも、バウ(船首)などオーバーハングしている部分は手が届きませんし、またトシのせいか腰もツラくなってきたので、いくつか試した後、最近はこういったお風呂場の掃除ブラシで、外舷洗いをするようになりました。
油汚れやフェンダーのゴム跡のような、しつこい汚れは落ちませんが、外舷の垢程度なら十分効果があり、また柄が伸縮自在のため使いやすく、外舷だけでなく、エンジン回りの清掃にも重宝しています。

甲板上も、簡単に済ますときは真水で流す程度ですが、できればウエスやデッキブラシで汚れを落として、さっぱりさせてやりたいものです。水平面にはすべて滑止パターンの凹凸がモールドされており、砂塵がこの凹凸の間に入り込むと、ブラシで念入りにこすったくらいでは、とても落とせないほど頑固な汚れになります。
この汚れを長期間放置しておくと、他の汚れを呼び込んでFRPに浸透するのか、変色の原因となります。あるとき、キッチンスポンジでこするとよく落ちることに気づき、徳用で買ってきて、数回ごとの使い捨てで洗ってやるようになりました。

甲板上の清掃が終わったら、船外機側面の水通し栓を外し、アタッチメントをネジ込んで水道からホースをつなぎ、エンジン冷却系の真水通し(冒頭写真)をしてやります。
ご存知のように、船外機の冷却は外部の水を吸い込んで行うため、シリンダー周りを海水がめぐることもあるわけです。すぐ腐食が始まるわけではないにせよ、金属部分、それも心臓部の塩分を落としておくことは大切なメンテナンスですから、これは出るたびに必ず行っています。

余談ですが、河川中上流域に繋留されているオーナーの場合、帰港すればその道々で、自然に真水通しができてしまうのだそう。この作業のお話をすると、「そんなの、やったことがないよ!」とのことで、驚かされたものでした。
話を戻すと、水通しは10分から15分ほど行うので、この間に残りの作業を済ませてしまいます。忘れ物がないか確認してから、オーニングと支柱を出してハッチを全部施錠。外に出しておいた艪(ロバ)とボートフックを水拭きしてから、枕になるウエスでくるんで、コクピット内に斜めに立て掛けます。

エンジンの水通しが済んだら、ホースとアタッチメントを抜いて、真水が完全に抜けたのを確認の後、水通し栓をはめて元通り締めつけ、たたんでおいたオーニングを抱えてバウに行き、ホックを一つ一つはめながらカバーをかけてゆきます。
ホックは結構硬くて(硬くなければ、すぐ外れてしまうので困るのですが)、冬などは指先が痛くなり、足場も不安定で力もかけられず難渋することもありますから、手元に木槌を用意して、適宜コンコンやりながらスターンまでカバーをかけてやるのです。

余裕があれば、仕上げにオーニングにも水をたっぷりかけて、先ほどのお風呂掃除ブラシでこすり、砂塵を落としてやります。
次に乗るまでの間に、元通り砂塵がついてしまうといえばそれまでなのですが、次回の作業を少しでも快適にするのと、キャンバスが痛むのを防ぐためもあります。

172000_03.jpg長くなりましたが、以上が艇で出かけるまでと、帰ってきた後の諸作業です。私の好みで習慣的にやっているので、全てが必ずしなければならないことでは、もちろんありません。

ここ20年ほどの水路遊びで、たった一つしかない自艇と、どうしたら長くつきあってゆけるか、また、艇上で快適に過ごすにはどうしたらよいかを、自分なりに考えた結果ではあります。

トシのせいもあり、ツラくないといえばうそになるのですが、舵を取っている最中とはまた違った意味で、艇と一対一で対話できる、かけがえのない時間であることは間違いないでしょう。
艇をすみずみまで見て触れることで、不調や破損があればすぐにわかりますし、何より、キレイになった我が艇を眺めては、「11年選手だけれど、まだまだイケるなあ」などと、惚れ直す(?)こともできるのですから。

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