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釜口水門を訪ねて…9

(『釜口水門を訪ねて…8』のつづき)

162086.jpg南側の巻上機をアップで。剥離した上に、さらに塗り重ねられた塗料の荒れた肌が、過ごしてきた星霜を感じさせます。

樋のような、簡単なケーシングに覆われた下には、太い伝達軸がつながるスプロケットと、遊軸側のプーリーがのぞけていました。チェーンは現役時代そのままのようです。


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天端から西側、釜口橋を望んで。バックに広がる山々や街並みに埋もれることなく、陽を受けてまさに燦然、といった感じで存在感を主張する、真紅の鋼橋! 眼下に流れる川面の清々しさも手伝い、思った以上の眺望が楽しめました。

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いったん階段を踊り場まで下りて、前扉室の上へ。巻上機器はどちらもほぼ同じですが、後扉室のそれでは見られなかったものが二つありました。

一つはメーカー銘板。駒ヶ根市は山浦鉄工株式会社の製造、昭和51年11月の刻印が。やはり、現役末期の更新だったのですね。

162089.jpgいま一つは、開度計‥‥といっても盤面は失われ、錆びた内側を空しくさらしていました。開度計や他の機械の様子から見ても、遠隔操作はできなかったようです。

当時の閘門としては、過ぎた設備とも思える階段の存在は、機側操作で頻繁に上り下りする必要があったためだとわかり、大いに納得したものでした。



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最後に上流側、釜口水門に目を向けると、おお! 靄にけぶる湖面の輝きを背に、魚道から舟通しまで、余さず眺めることができる、実にほどよい角度。

午後に訪れれば、光の塩梅もよろしく、さらに印象的な水門風景になったことでしょう。この景色を、保存閘門の上からほしいままにできる嬉しさ! 舟通しの大きな水位差も、この位置からだとつぶさに見ることができたのも、ポイント高し。

二代に渡り2500尺の高みに在って、通船を保つ山間の小閘門! 見どころの多さもさることながら、それを思うだけで、愉快な気持ちにさせてくれる釜口水門、いや、心から楽しめました!

(26年11月30日撮影)

(『旧釜口水門の絵葉書』につづく)

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タグ : 旧釜口水門舟通し釜口水門閘門天竜川

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