宇部のクレーンが…
(『8月17日の新呑川…7』のつづき)
●新呑川からの帰り道、東雲運河に入り、全速で駆け抜けるトーイングボートの航跡を追いながら北上。曇りがちだった空も、ふたたび青空がのぞいてきました。
スロットルをしぼり、東雲水門と東雲橋をくぐれば、そこはもう運河地帯の要、変則六叉流の近く。青いトラスのクレーンがそびえ、緑の独航艀がもやう、宇部興産のコンクリートプラントに目を奪われる場所でもあります。
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●今日も通り抜けざま、一枚ものしてやろうと、宇部興産(正確には、関連会社の『関東宇部コンクリート工業』の、東京支社・豊洲工場とのこと)の岸壁に少し寄せてみると‥‥。
あれ? いつもとちょっと違いますね。岸壁の前に、何か足場のようなものが見えます。

●錆色の鋼材で組まれた足場‥‥いや、タイヤフェンダーが見えることから、これは桟橋ですね。工事のための仮設のものでしょうか、重量物を陸揚げするためか、かなりがっしりとした感じです。

●ご本尊たるクレーンも、脚部分はもとより、トラスも各所が足場でおおわれて、工事中の様子。塗り替えなのか、まさか、解体ということはないでしょうが‥‥。
一抹の不安を抱きながら帰港したのですが、約一ヶ月後、この不安が現実のものになろうとは!

●9月15日、反対の六叉流側から東雲運河に入ると、あっ!
クレーンが姿を消している!

●水上から見るかぎり、跡形もなく消え失せた、といってよいほど。直下に位置していたホッパーの導流板(?)のみが、空しく取り残されていました。
う~ん、老朽化のためか、それとも、近隣住民からの苦情があいついだからか‥‥。

●鋼製桟橋にはおなじみの独航艀が二隻もやい、桟橋上には新たに、オレンジ色のクレーンと、背後にじょうご状のホッパーが設けられていました。桟橋が頑丈そうに見えたのもそのはず、このクレーンを載せるためだったのですね。
はっ、これはもしや、羽田空港がやったような「沖合展開」なのでは‥‥。揚搭設備を住居から少しでも離して、騒音やほこりから遠ざけるための工事とすれば、合点がいきます。宅地化が進み、独り取り残された本来の運河畔の住人は、なおもこの地で生き抜こうとしているのだなあ‥‥。勝手な思い込みかもしれませんが、製造業にとって厳しい環境を日々見聞きしているだけに、他人事とは思えず、同情を禁じえません。

●遠ざかる新揚搭設備を、振り返って一枚。これで、運河地帯の大型クレーン設備は、古賀オールがほとんど雄一の存在になってしまったなあ、と、改めてしみじみ。
物流の道たる、本来の姿を留めた運河風景は、これからますます希少となってゆくことでしょう。機会の許すかぎり、記録してゆきたいものです。
【撮影地点のMapion地図】
(26年8月17日・9月15日撮影)
(この項おわり)

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スロットルをしぼり、東雲水門と東雲橋をくぐれば、そこはもう運河地帯の要、変則六叉流の近く。青いトラスのクレーンがそびえ、緑の独航艀がもやう、宇部興産のコンクリートプラントに目を奪われる場所でもあります。
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●今日も通り抜けざま、一枚ものしてやろうと、宇部興産(正確には、関連会社の『関東宇部コンクリート工業』の、東京支社・豊洲工場とのこと)の岸壁に少し寄せてみると‥‥。
あれ? いつもとちょっと違いますね。岸壁の前に、何か足場のようなものが見えます。

●錆色の鋼材で組まれた足場‥‥いや、タイヤフェンダーが見えることから、これは桟橋ですね。工事のための仮設のものでしょうか、重量物を陸揚げするためか、かなりがっしりとした感じです。

●ご本尊たるクレーンも、脚部分はもとより、トラスも各所が足場でおおわれて、工事中の様子。塗り替えなのか、まさか、解体ということはないでしょうが‥‥。
一抹の不安を抱きながら帰港したのですが、約一ヶ月後、この不安が現実のものになろうとは!

●9月15日、反対の六叉流側から東雲運河に入ると、あっ!
クレーンが姿を消している!

●水上から見るかぎり、跡形もなく消え失せた、といってよいほど。直下に位置していたホッパーの導流板(?)のみが、空しく取り残されていました。
う~ん、老朽化のためか、それとも、近隣住民からの苦情があいついだからか‥‥。

●鋼製桟橋にはおなじみの独航艀が二隻もやい、桟橋上には新たに、オレンジ色のクレーンと、背後にじょうご状のホッパーが設けられていました。桟橋が頑丈そうに見えたのもそのはず、このクレーンを載せるためだったのですね。
はっ、これはもしや、羽田空港がやったような「沖合展開」なのでは‥‥。揚搭設備を住居から少しでも離して、騒音やほこりから遠ざけるための工事とすれば、合点がいきます。宅地化が進み、独り取り残された本来の運河畔の住人は、なおもこの地で生き抜こうとしているのだなあ‥‥。勝手な思い込みかもしれませんが、製造業にとって厳しい環境を日々見聞きしているだけに、他人事とは思えず、同情を禁じえません。

●遠ざかる新揚搭設備を、振り返って一枚。これで、運河地帯の大型クレーン設備は、古賀オールがほとんど雄一の存在になってしまったなあ、と、改めてしみじみ。
物流の道たる、本来の姿を留めた運河風景は、これからますます希少となってゆくことでしょう。機会の許すかぎり、記録してゆきたいものです。
【撮影地点のMapion地図】
(26年8月17日・9月15日撮影)
(この項おわり)

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