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西広堰…3

(『西広堰…2』のつづき)

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西広堰を離れ、上流側に歩いて、先ほど見えた床固というか、堰堤の真横から眺めてみました。二段に造られた低い堰の上を、河水が音を立てて越流しています。

139012.jpgこの堰堤こそ、旧西広堰…現在は「西広板羽目堰」として保存され、数年ごとに組み立て・倒伏が実演されている、明治時代に考案された一種の可動堰の基礎部分。実演のたびにテレビなどで報じられるので、ご覧になった方も少なくないでしょう。

幅61mの堰堤を前に、水を湛えた木製の堰が一瞬にして倒され、水がどっと流れだす勇壮なシーンが思い出されました。一度見てみたいものです。護岸上には、板羽目堰の組み立てや回収に用いるのか、FRP和船が保管され、柵は開閉できるようになっていました。

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この一帯はご覧のとおり、ちょっとした広場になっていて、「西広板羽目堰資料保管庫」と大書きされた看板の両脇に、説明板らしいものも見られます。保管庫はこの西側にあり、板羽目堰を構成する部材の収納と、展示・休憩室を兼ねているのだとか(『自然の力をしなやかに調和させた先人の知恵「養老川西広板羽目堰」農林水産省)。

広場になっているのは、堰の部材を保管庫から出し入れする、作業スペースとみてよいでしょう。右に見える樋門は、堰上げられた河水を田畑に取水する、導水路のものでしょうか。説明板を見に行ってみましょう。

139014.jpg説明板のアップ。西広板羽目堰の構造や歩みが簡潔にまとめられ、写真や図面も添えられて、市を挙げて技術伝承と保存につとめていることが感じられました。次の実演は、いつになるんだろう…。

ちなみに、「西広板羽目堰における伝統工法・技術の評価」(PDF)には、原理や構造の詳細はもちろん、最盛期、養老川に6ヶ所も存在した板羽目堰の歴史についても触れられており、一読をお勧めします。

実演時の動画もいくつかアップされているようですが、「西広 板羽目堰」(You Tube)が解像度はいま一つであるものの、短くまとまっており、雰囲気はよく伝わってきます。

139015.jpgこちらは、周辺の案内図。堰上げられた水を導く灌漑用水路に沿って、小湊鉄道の近くまで散策路が整備されているのですね。

検索してみたところ、この水路に沿ったお散歩道は「西広堰農村公園」(もったねえよいちはら)というそう。記事を読んでみると、おお! 養老川も水運が盛んだった時代があったんだ! 

しかし、かつて6ヶ所も板羽目堰があったということは、少なくとも春から秋にかけて、舟航が途絶していたということですよね? 記事中にある「堰が開放されるまで船上に足止めされた人々」前後の文章からすると、舟運のため、割と頻繁に堰が倒伏されていたようにも読めますが、果たしてどんな形で折り合いをつけていたのでしょうね。
撮影地点のMapion地図

(25年12月8日撮影)

(『西広堰…4』につづく)

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タグ : 養老川西広堰西広板羽目堰樋門

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