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生きている大運河・佐陀川…2

(『生きている大運河・佐陀川…1』のつづき)

115058.jpg橋台下から、橋詰を見上げたところ。昔風の石垣を残しながら、周囲をコンクリートで固めた橋台の上に枕木が敷かれ、そこに主桁である4本の丸太が、巨大なカスガイで固定されているのがわかります。

桁のちょうど中央には、水管らしきパイプも一緒に渡されていますね。鋼橋やRC橋ではよく見られる光景ながら、相手が木橋ということもあって、珍しく眺めてしまいました。

115059.jpg
せっかくだから全体像をと、宍道湖側に移動して一枚。5本に及ぶ橋脚と、桁のほどよい反り具合! 木製桁橋の魅力が堪能できる角度でもあります。手前に点々と立つ繋船杭も、風情があって橋の雰囲気としっくりきていますね。

この佐陀川流頭部、川をはさんだ左右は西浜佐陀町で、右手の少し奥に引っ込んだ形で浜佐陀町と、川と同じ二つの地名があります(Mapion地図)。西浜佐陀町と浜佐陀町の境界線が微妙に曲がっているところから、昔は呑口がジョウゴ型に広がっていたのか、それとも支流が分岐していたのかもと、妄想を広げさせてくれるものがあります。

115060.jpg茶屋前橋を撮った場所で後ろを振り返ると、目に入るのがこの水位観測施設。基礎のコンクリートの色からして、最近建てられたもののようですが、上屋はいかにもその辺の詰所風で、背後の街並みに溶け込んでしまいそうな造作。

扉に掲げられた看板を読むと、名前は浜佐陀水位観測所といい、設置年月日はなんと、明治32年6月1日。もちろんこの施設でなく、観測を始めた初代の施設が同位置にあったのでしょう。看板にはほかに、零点高0.045m、警戒水位が1.20m、計画高水位が2.50m(ちなみにT.P.+)と書いてありました。



115061.jpg
流頭部西側角から、宍道湖、松江市街方向を望んだところ。低い山並みとビルのシルエットが靄の中に沈む、いかにも山陰らしい、しっとりとした水辺風景です。

恵曇を発して各所に寄港し、佐陀川を出た汽船や和船は、雄大な湖面を眺めつつ、ここで速力を増して大きく取舵を切り、松江に向かったことでしょう。

115062.jpg上と同じ場所から西側、堤防道と西浜佐陀町の集落を見たところ。南風が吹きつけると、このあたりは波に悩まされるのでしょう、防波堤が築かれており、画面奥には水際まで張り出す、緑の丘陵が見えました。

佐陀川が開鑿成ると、宍道湖の水位は約1m低下したといわれ、長年苦しめられた湛水の被害から解放されて、さらには水田面積の増加にもつながったとのことです。
撮影地点のMapion地図

(25年3月16日撮影)

(『生きている大運河・佐陀川…3』につづく)

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タグ : 佐陀川橋の裏側

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