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3月6日の水路風景…9

(『3月6日の水路風景…8』のつづき)

277041.jpg艪を置いて機走に移ってから、最微速で桜並木の枝々を検分。開花はまだまだ先とはいえ、ふくらんだつぼみたちはすでにはち切れそうで、毎年のことながら春の足音を楽しく実感。

うまく撮れませんでしたが、ツブツブとしたつぼみが艶やかな光を帯びて、満開時の濃厚な密度を想わせて、ウキウキさせられるものがありますよね。

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277043.jpg大横川と平久川の変則十字流に出て、汐見橋越しに平久川の上流を見てみると、台船や曳船など工事の船団が。以前、下流側で護岸の耐震補強をしていたこともあるので、その続きかしらと想像しながら、舵を右に切って南下。

右写真のこれは何度か紹介しましたが、変則十字流の東、大横川西口角にある寒桜。たった1本の小さな木ながらよく目立ち、ソメイヨシノ満開前にはつい目が向く存在です。

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舵を戻して平久橋と正対したところで、横断幕が掲げられていることに気づきました。「この先『平久川』にて工事中 航行に注意してください」。

注意してください、ということは、通れるんだよな‥‥。平久橋のすぐ向こうに台船一隻、時雨橋と平久水門の間にクレーン船とその他があるように見え、可航幅があるかどうかはわかりません。まあ、近づいてから判断しようと微速前進。

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‥‥ は?
左の護岸と、鋼矢板の間が航路!?

鋼矢板が左手、東岸寄りに打ってあるということは、いずれ東岸を囲って排水し、護岸工事にかかるということなのでしょう。しかし、このスキ間といってもおかしくない狭さのコレが航路‥‥。横断幕を掲げたご担当者も、大した度胸といわねばなりますまい。

イヤイヤ、幾多のすり抜けを成し遂げてきた我が艇、この程度で怖気づいてどうする!」と、薄弱な過去の経験を思い出して萎えた気持ちを奮い起こし、いざ突入!
撮影地点のMapion地図

(令和4年3月6日撮影)

(『3月6日の水路風景…10』につづく)

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タグ : 大横川平久川江東内部河川

3月6日の水路風景…8

(『3月6日の水路風景…7』のつづき)

277036.jpg朝潮運河を出て隅田川派川を上航し、大横川へ。大島川水門前のテラスをつなぐ人道橋、上流側に長大なスロープがほぼ完成し、供用も間近に思えました。

橋脚と桁が先に設けられてから、ずいぶん長くかかりましたね。工事も大詰めなのか、日曜のこの日も、作業服姿の皆さんが忙しそうに立ち働いていました。


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いつものようにスロットルをしぼりながら、大島川水門をくぐってみると‥‥おや、右手の護岸の柵に、こんな横断幕が。

巽橋工事中 大島川西支川への航行禁止」‥‥! むう、ということは、ついに架け替えか?

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大島川西支川の南口からのぞいてみると、茂森橋補修時のそれには及ばないものの、水面近くまで迫った足場ですっぽりと覆われた巽橋が。この向こうにいる地元の繋留艇たちは、いったん移動させられたのか、北口から仙台堀川に出ているのか‥‥。

巽橋架替工事」(江東区)によると、「老朽化した現橋を撤去し、新たな橋梁形態とする」とあり、「現在架かっている橋の撤去及び、下部工の新規構築」を行う"その1"工事は、令和3年7月9日から令和5年5月20日の予定だそう。

昭和4年竣工の、震災復興橋世代といえる鋼桁橋ともお別れです。「大島川西支川を歩く…4」で渡ってみたり、「最狭水路打通の日!…7」では、長年の悲願(?)を果たした出口の橋であったりと、思い出も少なくありません。
しかし、江東の震災復興橋、この10年でずいぶん架け替えが進みましたよね‥‥。

277039.jpg桜の様子を見に出てきたということもあり、そのままゆるゆると奥へ。水上バスの引き波や、大川を抜ける風の音が遠ざかり、小鳥のさえずりだけが耳に快い、静かな川面と桜並木が広がりました。

3月初旬とて、まあ、当たり前ではあるんですが、開花は一輪もなし。それでも枝の先でふくらんだつぼみを目にして、春が間近であることを感じられ、満開のシーンを脳裏に描いて一人ニッコリ。

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春めいた空気に感化されてか、ちょっと頑張ってみる気になりました。エンジンを止めて風向きと流れを確認、ベンチのピンを抜いてずらし、艪をログイにはめてハイオをたぐり、準備完了。

艪をこねるのは、本当に久しぶりです。最初はぎこちなかったものの、漕ぐうちにほどなく感覚を取り戻し、イレコのきしむのどかな音を聞きながら、力加減ひとつでクイッ、クイッと向きを変えてゆく、艇の動きの面白さを堪能。やはり私にとって大横川は、都内随一のお花見水路であるとともに、艪漕のホームグラウンドというべき川であります。

(令和4年3月6日撮影)

(『3月6日の水路風景…9』につづく)

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タグ : 隅田川派川大横川大島川水門江東内部河川

3月6日の水路風景…7

(『3月6日の水路風景…6』のつづき)

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芝浦運河北端を出て古川河口を右折、竹芝運河から港内に出ました。穏やかな水面には、ユリカモメほかトリさんの大群がぷかぷかと浮かび、日向ぼっこ中。

何分運河の出口とて、避けようがありません。「ごめんね~」とお詫びしながら、最微速で直進。いうまでもなくピーピー、ギャアギャアと鳴き声からしておかんむり。団欒の邪魔をしてごめんなさい。

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右手を見ると、日の出埠頭の水上バス乗り場に、まあみっちり。日和もいいせいでしょう、トリさんたちも気持ちがよさそう。ここに集中しているということは、餌になるお魚が豊富な水域なのでしょうか。古川、隅田川と川の落し口が重なっているからかな。

277033.jpg月島川に入って注目したのがこれ。前回来たときは、この屋形船の屋根にユリカモメがみっちり留まっていたのですが、今回見たらこの、水鳥よけのフクロウの置物が据えられていて、効果てきめん、ユリカモメは一掃されていました。

マリーナでも水鳥のフン害に悩まされる方は多く、桟橋にこの置物を置いているのは目にしていましたが、こちらは首が可動式のようですね。

277034.jpg朝潮運河に出てみると、晴月橋と朝潮橋は、足場をかぶせられて補修工事中。通航艇に向けたメッセージの蒐集者(?)としては、横断幕を記録するよい機会でもあります。

以前、旗屋さんに勤めていた友人がいて、こういった横断幕も、今は巨大なプリンターですぐにできると聞きました。この長さをプリントアウトするのに、どのくらいかかるのかなあ‥‥。

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朝潮橋の横断幕で、思わずニヤリとしたのがこれ、「航路部」!

「まるで学校の部活みたいだな!」と、つぶやきながらスナップ。入部資格が厳格で、開発保全航路(浦賀水道航路や、中ノ瀬航路など)をすべて通航した経験者じゃないと、入部は許されない高尚な部活動‥‥とか。イヤ、妄想がはかどりますね!
撮影地点のMapion地図

(令和4年3月6日撮影)

(『3月6日の水路風景…8』につづく)

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タグ : 竹芝運河月島川朝潮運河水辺の鳥たち

3月6日の水路風景…6

(『3月6日の水路風景…5』のつづき)

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新日の出橋をかわった瞬間、レンズを向けて仰ぎパシャパシャとした中の一枚。以前もほぼ同じ角度で撮ったものを載せたことがありますよね。すき間といっていい空間から、ほんの一瞬でかいま見る表情が、ディテールが圧縮され濃厚に感じるせいか、何とも素敵に思えて。

277027.jpg水門をくぐったところで、久しぶりにこちらも記録。なんべん見ても、う~ん‥‥と言葉少なになってしまうような、いわくいいがたい掲げ方ではあります。

日の出水門のウラ事情」で紹介してから数えても早や12年、作者の子供たちも立派に成人したはず。よい思い出になっていることを祈るばかりです。


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芝浦運河に入って北上。新芝浦橋は改架工事中で、従来の橋はすでに撤去され、錆び色の仮橋が架かっていました。仮橋は車道はなく、人道橋だけなのですね。

橋脚なしの一径間でヤッと渡る、薄手の箱桁を持つスマートな橋(『9月20日の水路風景…5』参照)で、そんなに古くなかったのですが、もう架け替えとは。

277029.jpg新芝浦橋の手前東岸、一群の河津桜(かな?)が満開で、ささやかながら桜並木になっており、水辺が春めいた雰囲気に。

右手のポンツン桟橋は「Lounge CRIB」の私有桟橋。気軽に着けてお食事でも‥‥といきたいところですが、こちらのお店は貸切専用パーティスペースで、常時営業をしているわけではないそう。

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新芝浦橋が撤去された、西側橋台の断面を拝見。残された落橋防止の金具類、あとは管路がいくつか顔を出していて、うららかな陽を浴びていました。

‥‥しかし、裸の橋台を目にするのは何度目だろう。水路を徘徊してたまたま出会っただけとはいえ、結構な数の橋を見送ってきたなあと、ここでもしみじみしたのでした。
撮影地点のMapion地図

(令和4年3月6日撮影)

(『3月6日の水路風景…7』につづく)

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タグ : 芝浦東運河芝浦運河日の出水門

3月6日の水路風景…5

(『3月6日の水路風景…4』のつづき)

277021.jpg晴海の客船ターミナルから真西に直進、芝浦東運河を目指しました。運河入口の北岸角には、「日本塩回送埠頭倉庫」と大書きされた南上屋と、緑色の曳船「大山丸」が見えます。

あっ、上屋の周囲、よく見ると足場が立ち上がりつつある‥‥いよいよ解体でしょうか。クレーンの痕跡を残しているあたり時代を感じさせ、かつての港風景を思い起こさせる建屋だったのですが。

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芝浦東運河といえば、まず目に入ってくるのが日の出水門と、その直前で水門をオリに入れたような格好で架かる、新日の出橋。扉体が淡い色だとやっぱり、橋の構造に埋もれて目立ちませんね。閉鎖時の安全を考えても、視認性のよい赤で塗った方がよいような(『赤水門で赤信号』参照)‥‥と、通るたびに同じようなことをつぶやく赤水門原理主義者。

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277024.jpgそうだ、港湾局専用線日の出・芝浦線の遺構、橋台跡を撮っておこうと日の出側にカメラを向けたら‥‥あらら、思い切り落書きされちゃったんですね。おいたわしや。あそこまでわざわざ降りて、スプレーする胆力には感心しますが。

芝浦側の橋台も‥‥何枚か撮ったのですが、ブレてしまいました。ごめんなさい。


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新日の出橋の下から、日の出水門の堰柱に設けられた信号を見て。橋の隣接など見通しの悪い水門で、複数の信号を設けたり、また信号の設置場所を工夫しているのは他でも見られますが、この設置方法はちょっとそそるものがありますよね。

閉鎖されたときだけ赤色が点灯する、単色の灯器を各径間に一つづつ、しかも手で触れられそうな低い位置というのは、あまり例がないように思えます。ゼブラ塗装の背面版も渋くていいですね。
撮影地点のMapion地図

(令和4年3月6日撮影)

(『3月6日の水路風景…6』につづく)

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タグ : 東京港芝浦東運河日の出水門曳船