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曳船の操舵席に吸い寄せられて

(『6月13日の水門たち』のつづき)

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朝潮運河北東端近くにある、東庄丸船隊の船溜を眺めつつ、ゆるゆる流していたときのことです。おなじみの黒光りした曳船たちの、渋い魅力に目を細めながら「ああ、いいなあ‥‥」などと、よい気分で独りごちていました。

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桟橋に接舷したフネブネのエリアを過ぎて、槍付けした小型曳船が目に入ってきたときのこと。それこそビューン」と音を立てて、目線がある一点に吸い寄せられたのであります!

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操舵席が! 食卓のイスみたいなヤツに!

い、いや、今までも豆曳船では、一つ挙げるとこのロータリーボートみたいに、スチール机のイスそのものだったとか、強烈な装着例をいくつか目にしてきたのですが‥‥。これはまた、近来まれに見る香ばしさ。驚いて絶句した後は、いっぺんで好きになってしまいました!

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船名は「30東庄丸」。ハードトップもフロントグラスもない、エンジンケーシングの後端が簡素なコンソールとなっている、質実剛健そのもののスタイルが光る豆曳船。

そんな鉄の匂いも濃ゆいハードな船に、家庭の団欒が想われるような木製のイス! 荒くれ男がふと見せる優しい表情のような、ミスマッチながら希少かつ素敵な一面を目の当たりにしたような気がして、「これだから豆曳船ウォッチは止められん!」と、大いに魅せられたことではありました。

(令和3年6月13日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 朝潮運河曳船