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花畑運河再訪…5

(『花畑運河再訪…4』のつづき)

260051.jpg雪見橋のテラスの間に入りました。テラスは南北橋詰から、東西に長く伸びた計4本、延長は東西合わせて約100m。橋詰から緩いスロープ状となり、突端に行くにつれ低めてある形です。

護岸は石積みの法面で、テラス区間の河道幅は実質15~6mほどと見られ、法勾配が緩いことをのぞけば、整備事業竣工後の幅に近い感じですね。

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雪見橋東側に近づいて。橋台から管路が突き出て、桁側面を金具で架設され渡っています。フラットで径間の狭いRC桁、河道に大きく張り出した橋台と、桜木橋と本当によく似たタイプですね。

検索したら、「東京の橋:雪見橋」に銘板の写真が掲載されていました。平成23(2011)年3月竣工とのこと、前回訪問の2年3ヶ月後ですから、訪問後間なしに改架工事が始まったのでしょう。昔の面影を残した唯一の橋だったので、改架前にくぐることができて幸運でした。

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帰路に撮ったものですが、西側の側面も。こちらはグレーの樋がかぶさった何かが、やはり桁側面に沿わせて架設してあります。電路でしょうか。

桜木橋のとき、巨大な橋台は伏越があるせいかしら、と想像しましたが、雪見橋を見てちょっと考えを改めなければ、と思いました。

震災復興橋の「鋼桁橋のラーメン橋台橋」と似たような伝で、架橋工事中も両岸の道路を塞がないようにするため、あえて橋台を川表に張り出したタイプを採り、河道内のみで工事が完結するよう配慮したためなのかも、と妄想。地盤が脆弱で基礎工事が大掛かりになること、流量がなく径間が狭くても差しつかえない、という要素もあるかもしれません。

260054.jpgテラスの護岸ですが、石を荒く積んだだけかと思ったら、よく見るとコンクリートの法面に装飾として玉石を並べ、しっかり固めた形のものとわかりました。

こちらも釣り場としては足場がよいせいか、突端には気持ちよさげに竿をかざす釣り人さんが。「申しわけないです、ちょっと通らせてください」と声をかけると、幸い快く糸を収めてくれました。


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テラス区間を抜ければ河道幅は旧に復し、上空を横切る首都高三郷線と、正面に花畑水門を望む西端の最終区間に。

錆色の鋼矢板が露出した低い堤防、ところどころ陥没した基礎護岸と、昭和の艀船運河のそのものといってもよい硬質な眺めも、整備事業が進められたあかつきには失われる運命。この日このときの運河風景を、この目で見ておけることこそ幸いと思えたものでした。
撮影地点のMapion地図

(令和2年12月29日撮影)

(『花畑運河再訪…6』につづく)

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タグ : 花畑運河花畑水門

花畑運河再訪…4

(『花畑運河再訪…3』のつづき)

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富士見歩道橋。鋼製の自転車道も兼用した人道橋ですが、こちらもお変わりなく。この項の初回に紹介した整備事業説明会のPDFで、車道橋への架け替えも検討されていましたよね。

頻繁にゆきかう自転車を眺めながら、生活道路として重要な橋であることを実感。人口密度からいえば橋が少ないくらいですから、車道橋化が検討されるのも当然といえましょう。

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260048.jpgこの看板はまだ新しい感じですが、水面から顔を出している魚が妙に可笑しく、目を引いたので一枚。

右は12年前にも見かけたもので、釣り人さんが使う踏み台や腰掛け(?)が、鋼矢板の凹部にうまく収納されているのが、どこか微笑ましくスナップしたもの。このほか脚立や大きなハシゴもあって、低いとはいえ堤防を安全に乗り越すには、おのおの準備をしておく必要があることを感じたものでした。

260049.jpg前回訪問時になかった建物で、もっとも大型で目立っていたのがこの、ビバホーム足立神明店。看板から、百円ショップのセリアや、スーパーのベルクスも同居していることがわかります。

12年前の写真を見たら、元は工場らしい建屋が何棟かあり、敷地は広かったのでしょう。こうした大型商業施設に適した地割だったようです。


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雪見橋が近づいてきました。前回訪問時は、唯一舟航時代を感じさせた中高の橋でしたが、ご覧のとおりフラットなタイプに改架され、両橋詰に大型のテラスを備えた、桜木橋と似た仕様に。いわば大きな変化があった場所なので、訪ねる前から関心がありました。少し詳しく眺めてみましょう。
撮影地点のMapion地図

(令和2年12月29日撮影)

(『花畑運河再訪…5』につづく)

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タグ : 花畑運河

花畑運河再訪…3

(『花畑運河再訪…2』のつづき)

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というわけで、舟航にあまりやさしくない(失礼)桜木橋をすり抜け。あいかわらずのフラットぶりですが、頭をフロントグラス上端から出せるだけ、我が艇としては余裕のあるレベル。コンクリートスラブで、裏面にアイやボルトなど出っ張りがない分、まだ気持ち的に楽というものです。

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260043.jpgくぐってから振り返って。手すりの外側には花壇を設けてあるなど、地域のメインラインである、葛西用水桜通りを渡す橋だけあって、配慮も行きとどいていますよね。この直下には、確か用水の伏越(アンダーパス)が通っているはず。橋台のかさがあって径間が狭いのは、そのためでしょうか?

ここで魚探の感を見てみると、1.6m。底状も凹凸はなく、深さも潮時から考えて、以前とそう変わりはないと見てよいでしょう。西側が完全閉鎖で、雨水の流入のみとあれば、土砂の堆積も微々たるものなのでしょうね。

しかし、整備計画にある川底をA.P.-0.5mまでかさ上げする件、どうも解せないものがあります。排水機場もない運河なので、水門閉鎖時の貯留量が減るのは避けるべきと思うのですが‥‥。

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雲が多くなってきましたが、まだ空は明るく、陽射しがあれば結構な暖かさ。

釣り人さんたちに「すみません、通らせてください、すぐ戻ります」と声をかけ、頭を下げると、皆さん会釈しながら応えてくれ、気持ちよく通らせてもらうことができたのは幸いでした。彼方に富士見橋歩道橋を望みながら、続けて微速前進。

260045.jpgゆるゆる歩かせていると、突然ドボン! と大石でも投げ込んだかのような水音がすぐ近くでして、まあビックリしたの何の。

振り返ってみたら、ハクレンか何かでしょうか、大きな魚が連続して跳ねたところでした。水柱の大きさからも、魚がいかに大きいか想像がつくでしょう。なるほど、釣り人さんが集まるわけだ、と納得したものです。
撮影地点のMapion地図

(令和2年12月29日撮影)

(『花畑運河再訪…4』につづく)

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タグ : 花畑運河

花畑運河再訪…2

(『花畑運河再訪…1』のつづき)

260036.jpgくぐる直前にもう一度、ぐっと仰いだ角度で肉薄した一枚を。次に訪れたときは、新樋門となりもうこの姿が拝めないと思えば、違ったアングルからもものしておきたくなるというもの。

しかし、樋門あるいは樋管を文字通り解釈すれば、径間はいずれ堤防の土かぶりの下ということになりますよね。護岸もごっそり改築され、マイタゲート跡も失われるんだろうなあ‥‥。

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水門を出て広がった、12年ぶりの運河風景。低い家並の上に見える空の広がり、両岸の鋼矢板と基礎護岸が、一直線の河道とともに醸し出すハードな雰囲気。いいですねえ。建物がいくつか新しくなったほかは、前回とほとんど変わりがありません。

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雲が少し多くなってきたこともあり、明るいうちにと、振り返って水門をもう一枚。電光掲示板や信号が光を失っているのは同様で寂しいですが、光の加減か、こちらの方がいくぶん穏やかな表情に見えます。お疲れさまでした、と声をかけてやりたくなりました。12年前はこの左に、一本水押の和船がもやっていましたよね。

そうそう、写真では見えづらいですが、左手に見える管理棟、入口上に「六ツ木水門監視所」とあるのですね。監視所とは何か悪いことをしているようで、穏やかではありませんが、よそも同様なのでしょうか。

260039.jpg北岸にいた釣り人さんに声をかけながら通ったとき、ふと鋼矢板に掲げられた看板に目を留めました。

「六ツ木水門工事のお知らせ」‥‥えっ、今度の樋門化のことかしら? と思ったら、早とちりでした。平成9年とありますね。イヤ、今ようやく思い出した。これ12年前にも見てるわ! トシは取りたくないものであります。


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前回はそのフラットさに一回敗退した桜木橋も、橋詰のテラスとともにほとんどお変わりなく。今回は潮時を勘案して入ったので、通航には問題ない水位のはず。それでもこれだけ低いのですから、舟航の絶えた後の架橋とは、げに恐るべきもの。すり抜けを楽しみつつ通るとしましょう。
撮影地点のMapion地図

(令和2年12月29日撮影)

(『花畑運河再訪…3』につづく)

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タグ : 花畑運河六ツ木水門

花畑運河再訪…1

(『令和2年度川走り納め…6』のつづき)
さて本日のお題水路、花畑運河です。日中の潮位が高い季節なので、潮時を待って少し道草をしたというわけ。六ツ木水門前の花見橋、手前に白い人道橋が新設されたのですね。

付近で竿を握る釣り人さんに「すみません、通らせてください!」と声をかけると、皆さんうなずいてすぐに竿を引いてくれました。ご協力に感謝します。このあたり、頻繁に独行艀が通る舟航河川ならでは、という感じがしたものです。

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ここで、今回花畑運河を訪ねることになったきっかけについて、少し長くなりますがお話ししておきたいと思います。

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タグ : 中川花畑運河六ツ木水門