「ファスナーの船」を追って…3
(『「ファスナーの船」を追って…2』のつづき)

●東岸近く、源森川水門のすぐ下流あたりで漂泊してカメラを構えていたんですが、ファスナーの船が来るまでの待ち時間にふと周りを見回したら、東岸のテラスに何本か固まって、幟が立てられているのが目に入りました。
中でも左から4本目には、「吾妻橋と桜橋の間を往復! ファスナーの船運航中!」と書かれていますね。場所的に間違いではないのでしょうが、人通りのより多い西岸に立てたほうがよかったような‥‥。いや、かえって写真を撮るのに邪魔になってしまうかしら?
‥‥などと考えていたら、幟のうち2本にある「すみゆめ」って、「隅田川 神羅万象 墨に夢」が正式タイトルで、ファスナーの船もこの一環として、墨田区が協賛しているのですね。なるほど、西岸に立てられない理由がわかりました。
●下航で2航過目を終えたファスナーの船は、駒形橋の上流側で減速し回頭すると、東岸に寄せてこちらへ向き直りました。
‥‥あれ? なかなか発進しないな‥‥。時間調整でもあるのでしょうか。
●あ、浅草船着場を解纜した「リバータウン」が航過するのを待っていたのですね。
下航船優先、定期船優先のマナーにも沿っていますが、河道中央を一直線に走ってこそ、パフォーマンスが完成することを考えれば、航行中の行逢船は避けたいところでしょう。

●「リバータウン」が駒形橋をくぐるのを待って発進、今度はH艇長の25ft艇も並走して、なかなかダイナミツクな遡上シーンに。記録映像の撮影をしているのでしょう、こちら側にいてお邪魔だったかな‥‥。

●ベンガラ色の吾妻橋のアーチと、勇壮な引き波を立てる銀の船体がいいコントラスト。2隻の後姿を見送りながら、ここいらでおいとますることにしました。
何分水面から眺めているもので、肝心かなめの、ファスナーを開けているように見えるウェーキは拝見できなかったものの、ちょっと頭が重そうな独特の走りぶりは堪能できたので、嬉しいひとときではありました。機会があったら、橋の上からも眺めてみたいですね!
(令和2年11月1日撮影)
(『11月1日のフネブネ…1』につづく)

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●東岸近く、源森川水門のすぐ下流あたりで漂泊してカメラを構えていたんですが、ファスナーの船が来るまでの待ち時間にふと周りを見回したら、東岸のテラスに何本か固まって、幟が立てられているのが目に入りました。
中でも左から4本目には、「吾妻橋と桜橋の間を往復! ファスナーの船運航中!」と書かれていますね。場所的に間違いではないのでしょうが、人通りのより多い西岸に立てたほうがよかったような‥‥。いや、かえって写真を撮るのに邪魔になってしまうかしら?
‥‥などと考えていたら、幟のうち2本にある「すみゆめ」って、「隅田川 神羅万象 墨に夢」が正式タイトルで、ファスナーの船もこの一環として、墨田区が協賛しているのですね。なるほど、西岸に立てられない理由がわかりました。

‥‥あれ? なかなか発進しないな‥‥。時間調整でもあるのでしょうか。

下航船優先、定期船優先のマナーにも沿っていますが、河道中央を一直線に走ってこそ、パフォーマンスが完成することを考えれば、航行中の行逢船は避けたいところでしょう。

●「リバータウン」が駒形橋をくぐるのを待って発進、今度はH艇長の25ft艇も並走して、なかなかダイナミツクな遡上シーンに。記録映像の撮影をしているのでしょう、こちら側にいてお邪魔だったかな‥‥。

●ベンガラ色の吾妻橋のアーチと、勇壮な引き波を立てる銀の船体がいいコントラスト。2隻の後姿を見送りながら、ここいらでおいとますることにしました。
何分水面から眺めているもので、肝心かなめの、ファスナーを開けているように見えるウェーキは拝見できなかったものの、ちょっと頭が重そうな独特の走りぶりは堪能できたので、嬉しいひとときではありました。機会があったら、橋の上からも眺めてみたいですね!
(令和2年11月1日撮影)
(『11月1日のフネブネ…1』につづく)

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「ファスナーの船」を追って…2
(『「ファスナーの船」を追って…1』のつづき)

●吾妻橋上流の西側テラス近くで流速に艇を立てて留まり、後姿を見送って。東武線鉄橋のすみだリバーウォークでは、結構な数の人が立ち止まって、ベストショットをものしているようですね。
●そのまま眺めていると、ファスナーの船は桜橋上流まで直進してから行き足を落とし、ゆっくりと回頭して下航の姿勢をとりました。
脳内のイメージでは、派手にウェーキを引いて高速でプレーニングするように思えたのですが、スピードは意外にゆっくり。ファスナーを開けているように見えるちょうどよい速度域は、思ったより低いところにあるみたいですね。

●西岸からだと逆光のため、戻ってくるまで、自艇のポジションを東岸寄りに変えておこうと、波を立てないよう微速で河道を横断。ちょうど言問橋をくぐるあたりで、陽光ににぶく輝くいいお顔をものすることができました。
ところで、今まで気づかなかったのですが、前に突き出たツマミの部分、下からステーの棒1本で支えているのですね。

●ふたたび東武線鉄橋をくぐる瞬間、橋上の皆さんは撮影にまあ熱が入ること。上流を見て待ち構え、「来た、来た!」と声を掛けあうのも聞かれ、楽しそうです。午前中は雲が多かったので少し不安がありましたが、写真日和といっていいほど晴れて何よりでした。
●船着場にもやう「リバータウン」とのツーショット。おなじみの人も少なくないでしょうが、変わった形の船が間近に迫ってきて、ほとんどのお客さんはびっくりしたことでしょう。
空模様のすぐれない週末が続いた後とあって、河畔も水上バスも結構な賑わいで、パフォーマンスにはもってこいの日だったことは間違いありません。
【撮影地点のMapion地図】
(令和2年11月1日撮影)
(『「ファスナーの船」を追って…3』につづく)

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●吾妻橋上流の西側テラス近くで流速に艇を立てて留まり、後姿を見送って。東武線鉄橋のすみだリバーウォークでは、結構な数の人が立ち止まって、ベストショットをものしているようですね。

脳内のイメージでは、派手にウェーキを引いて高速でプレーニングするように思えたのですが、スピードは意外にゆっくり。ファスナーを開けているように見えるちょうどよい速度域は、思ったより低いところにあるみたいですね。

●西岸からだと逆光のため、戻ってくるまで、自艇のポジションを東岸寄りに変えておこうと、波を立てないよう微速で河道を横断。ちょうど言問橋をくぐるあたりで、陽光ににぶく輝くいいお顔をものすることができました。
ところで、今まで気づかなかったのですが、前に突き出たツマミの部分、下からステーの棒1本で支えているのですね。

●ふたたび東武線鉄橋をくぐる瞬間、橋上の皆さんは撮影にまあ熱が入ること。上流を見て待ち構え、「来た、来た!」と声を掛けあうのも聞かれ、楽しそうです。午前中は雲が多かったので少し不安がありましたが、写真日和といっていいほど晴れて何よりでした。

空模様のすぐれない週末が続いた後とあって、河畔も水上バスも結構な賑わいで、パフォーマンスにはもってこいの日だったことは間違いありません。
【撮影地点のMapion地図】
(令和2年11月1日撮影)
(『「ファスナーの船」を追って…3』につづく)

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「ファスナーの船」を追って…1

出港前、H艇長から「お昼から浅草で『ファスナーの船』がパフォーマンスしますよ!」とこれまた嬉しいご案内が。走っているのを見たことがなかったし、これはチャンスと拝見することにしました。

「12月9日のフネブネ…1」「平成最後の川走り納め…1」でも触れたように、艇そのものは身近にするご縁がありながら、ウェーキを引いたいわば“完成形”を見る機会に恵まれなかったので、お声がけはありがたいかぎりであります。

●正午も近くなりました。下流に目を凝らしていると、逆光でさざ波がキラキラしている中を、ゆっくり遡上してくる艇が2隻。あれかな? うん、そうだ!
スロットルを倒し、吾妻橋下流まで下って西岸寄りで待っていると、H艇長の25ft艇が先導する形で、ファスナーの船が遡上してきました!

●駒形橋をくぐって、微速で目の前を上航してゆくファスナーの船。動いているところを目にするのは初めてなので、ちょっと感動です。
随伴しているH艇長が、こちらに気づいて手を振りながら縦陣を解き、自艇を岸に寄せると、ファスナーの船はぐうっと増速し始め、白いウェーキを引いて吾妻橋をくぐってゆきました。早くもパフォーマンス開始です!

●こちらも原速で吾妻橋の西径間をくぐり、スカイツリーがビルの間から顔を出したところで一枚。有名建造物が並ぶ河畔をバックした、ファスナーの船の航走姿、よく似合いますよね。
橋やテラス上では、歩いている人がだんだんと気づき始め、指をさしたり、スマホをかざしたりと少しづつ盛り上がってくる様子が見られ、こちらもそれにつられてか、気分が高揚してくるものが。人々が川に目を向けて、しかも楽しんでくれるのですから、そりゃ嬉しくなろうというものです。
【撮影地点のMapion地図】
(令和2年11月1日撮影)
(『「ファスナーの船」を追って…2』につづく)

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新川河口の謎通船施設…3
(『新川河口の謎通船施設…2』のつづき)

●謎施設に上流側から近づいて。側壁はごく薄いもので、閘室を形成するには役不足であることは明らか。マイタゲートの戸袋になる凹部など、かつて閘門だった痕跡があるかしらと淡い期待を抱いてもいたのですが、もちろんそれも全くなし。竣工時から、見たままのつくりだったことは間違いないでしょう。
スロープはコンクリートで、見たかぎり陥没やクラックもなく、悪くない状態。乗り越し式の通船施設だとすれば、重量のかかる部分ですから基礎がしっかり造られたものと思われます。
水際からだいぶ離れたところに、Googleマップでも認められた線路みたいなものが見えますね。鉄道に使われているような、I 形のレールが敷いてあるのでしょうか。

●堰柱の横、水平にあつらえた区間に近づいて。レールは予想に反して、単なるアングルでした。このことから、ここを上架される舟艇も台車も、ごく軽量のものだったことが推察されますね。
軽いもののみにしても、まさか人力で押し上げたとも思えません。エンドレスロープとまでいかなくとも、簡単な巻き上げ機くらいは備えていたことでしょう。最低でも、小型エンジン付きの車地(シャチ)のたぐいがあったでしょうから、痕跡を探したのですが、草生したフラットはゴミが散乱しているばかり。
時間を取って中をうろつければ、あるいは機械の残骸かボルト穴くらいは、発見できたかもしれませんね。しかし本来立入禁止のエリアで、しかも雨のぱらつく中となれば、はばかられるのはいうまでもありません
●水平区間の下流側を見て。右端、スロープの始まり近くに、ロープのガイドであるローラーらしき(本当に『らしき』で、単なるゴミかも)ものが。
アングルの板厚や敷設の仕方、レールが曲面を介さずカクンと下るあたりを見ても、床面の堅牢な造りとはうらはらに、ごく簡素な施設であったことが感じられました。小さなマリーナの上架施設の方が、よほど手厚く造られているように思えます。

●下流側スロープ。レールはすっかり錆びて消滅し、ボロボロになった先端がわずかに残るばかり。水防上から見れば、手入れを欠かすと漏水や破損の憂いがある扉体より、ガッチリとコンクリートで固めた土堤の方が、メンテナンスフリーでかつ安全であることは論を待ちません。
しかし、通船施設としては、えらく使い勝手の悪いものだったであろうことは、素人目にも明らかです。恐らく、竣工からさほどを経ずして使われなくなり、さらに舟艇の大型化が決定打となって、放置に至ったのでは‥‥と妄想しています。
●帰宅後、検索の文言を変えてみたところ、一言だけですが、謎施設に言及した記事が見つかりました。「【新潟】内外エンジ・ナルサワJVに/新川河口自然排水樋門実施設計/北陸農政局」(地方建設専門紙の会)の記事中に、
「洪水吐ゲート2門、舟通し1門を有している」
舟通し! とりあえず、通船施設であることは最低限の裏付けがされて、嬉しいようなホッとしたような(笑)。
●まあ、これまで変わった舟通しをいくつか目にしてきましたが、新川のこれは間違いなく、チープさともの悲しさでは最右翼でしょう。とはいえ貶める気はさらさらなく、この形に至ったいきさつをあれこれ妄想するとともに、存在を記憶にとどめたいと思うことしきりであります。
この珍物も樋門とともに、間もなく撤去されると思えば、訪ねられたタイミングに妙なご縁を感じるものが。ほんのわずかな時間ながら、消える前の姿を目の当たりにできたのは、通船施設好きとして幸せなことではありました。
(令和2年10月25日撮影)
(『弥彦山のりもの三昧』につづく)

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●謎施設に上流側から近づいて。側壁はごく薄いもので、閘室を形成するには役不足であることは明らか。マイタゲートの戸袋になる凹部など、かつて閘門だった痕跡があるかしらと淡い期待を抱いてもいたのですが、もちろんそれも全くなし。竣工時から、見たままのつくりだったことは間違いないでしょう。
スロープはコンクリートで、見たかぎり陥没やクラックもなく、悪くない状態。乗り越し式の通船施設だとすれば、重量のかかる部分ですから基礎がしっかり造られたものと思われます。
水際からだいぶ離れたところに、Googleマップでも認められた線路みたいなものが見えますね。鉄道に使われているような、I 形のレールが敷いてあるのでしょうか。

●堰柱の横、水平にあつらえた区間に近づいて。レールは予想に反して、単なるアングルでした。このことから、ここを上架される舟艇も台車も、ごく軽量のものだったことが推察されますね。
軽いもののみにしても、まさか人力で押し上げたとも思えません。エンドレスロープとまでいかなくとも、簡単な巻き上げ機くらいは備えていたことでしょう。最低でも、小型エンジン付きの車地(シャチ)のたぐいがあったでしょうから、痕跡を探したのですが、草生したフラットはゴミが散乱しているばかり。
時間を取って中をうろつければ、あるいは機械の残骸かボルト穴くらいは、発見できたかもしれませんね。しかし本来立入禁止のエリアで、しかも雨のぱらつく中となれば、はばかられるのはいうまでもありません

アングルの板厚や敷設の仕方、レールが曲面を介さずカクンと下るあたりを見ても、床面の堅牢な造りとはうらはらに、ごく簡素な施設であったことが感じられました。小さなマリーナの上架施設の方が、よほど手厚く造られているように思えます。

●下流側スロープ。レールはすっかり錆びて消滅し、ボロボロになった先端がわずかに残るばかり。水防上から見れば、手入れを欠かすと漏水や破損の憂いがある扉体より、ガッチリとコンクリートで固めた土堤の方が、メンテナンスフリーでかつ安全であることは論を待ちません。
しかし、通船施設としては、えらく使い勝手の悪いものだったであろうことは、素人目にも明らかです。恐らく、竣工からさほどを経ずして使われなくなり、さらに舟艇の大型化が決定打となって、放置に至ったのでは‥‥と妄想しています。

「洪水吐ゲート2門、舟通し1門を有している」
舟通し! とりあえず、通船施設であることは最低限の裏付けがされて、嬉しいようなホッとしたような(笑)。
●まあ、これまで変わった舟通しをいくつか目にしてきましたが、新川のこれは間違いなく、チープさともの悲しさでは最右翼でしょう。とはいえ貶める気はさらさらなく、この形に至ったいきさつをあれこれ妄想するとともに、存在を記憶にとどめたいと思うことしきりであります。
この珍物も樋門とともに、間もなく撤去されると思えば、訪ねられたタイミングに妙なご縁を感じるものが。ほんのわずかな時間ながら、消える前の姿を目の当たりにできたのは、通船施設好きとして幸せなことではありました。
(令和2年10月25日撮影)
(『弥彦山のりもの三昧』につづく)

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タグ : 新川(新潟市)新川河口自然排水樋門