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松潟堰…1

241001.jpgすでに触れたとおり、11月4日日曜日はふと思い立って、千葉県は一宮川にある松潟堰を訪ねました。現存している未訪の閘門の中では最も近く、日帰りドライブで見にゆける気軽さも手伝って、秋晴れの空に背中を押されたといったところです。

気持のよい好天の下、湾岸から東関道へと順調に進んで外房を目指します。陽射しは強く、風も穏やかなこともあり暑いくらい。絶好の閘門日和ですね。

241002.jpg国道128号線を離れて間もなく、長生郡長生村の一宮川畔、北岸に到着。左は巨大スーパーの壁面で、裏手になるこちらは、鳥の声がかすかに聞こえるのみの静かなもの。

さんさんと秋の陽が降り注ぐ堤防の向こう、堰柱の巻上機室が顔を出しているのが見えますね。さっそく農道を横切り、ざくざくと半ば枯れた草を踏んで、法面を登りました。

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天端に立つと、河道が大きく屈曲していることも手伝い、堰のほぼ正面を望むことができる位置でした。手前にこんもりと、硬く締まっていそうな砂洲ができているのも目を引きますね。暖かで風も微か、河水も青く澄んで、まことにうららかな水門風景です。

この松潟堰、受益面積17,970haを誇る巨大灌漑水路、両総用水の一翼を担う取水堰で、平成21年の竣工というまだ若い施設。ゴム引布製の洪水吐ゲート(径間30.24m)2門を中心に、左手に見える鋼製ローラーゲートの土砂吐ゲート(径間10.5m)、右手の舟通し、そして魚道から成っています。

両総用水の概要や施設の詳細については、「両総用水のあゆみ」(PDF)および、「両総用水の各施設(4)東部幹線系ほか」(千葉県HP)が参考になりました。初代の堰はこれより下流260mにあり、汐止堰として昭和12年に竣工したとのこと。この堰は2代目なのですね。

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同じ場所からズームでたぐって、土砂吐ゲートを一枚。農閑期とあって、すべてのゲートが開放され休憩中といった風情。巻上機室が細身の堰柱にくらべずいぶん幅があり、頭でっかちでユーモラスな印象です。

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そして本命、舟通しです! 遠くから望んでも径間の狭小ぶりがわかって、大いにそそるものが。正確に測ったわけではありませんが、ウェブ上の地図を見たかぎり、横浜の新山下貯木場閘門よりわずかに南にあるようです。ということは、関東で一番南に位置する閘門かもしれません。竣工年からみても、更新された扇橋閘門を除いて、一からの新設では最も新しい閘門といってよいのではないでしょうか。

ここから眺めtだけでも、前後の扉室で倍も違う扉体の天地寸法、妙に高いところに設けられた信号、バイパスゲートのものらしい青いさやや巻上機らしきものなど、興味を引くディテールがいくつか目に留まりました。早く近くへ駆け寄りたくて、ウズウズするものが!

この閘門、例によってGoogleマップとストリートビューで徘徊中にたまたま見つけたのですが、ストリートビューで見たかぎりでは、管理橋は通行禁止、ゲート周りも高いフェンスで厳重に囲われ、近寄っての観察は難しそうな感触。ということは、対岸など離れたところから、ズームで狙うしかないかもしれません。まずは今いる北岸から、できるだけ視点を得ておくことにしました。
撮影地点のMapion地図

(元年11月4日撮影)

(『松潟堰…2』につづく)

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タグ : 松潟堰 松潟堰舟通し 閘門 一宮川

徳島城址と眉山

(『ひょうたん島周遊船…10』のつづき)

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239202.jpgひょうたん島周遊船を降りた後は、徳島城博物館を訪ねました。収蔵品に和船好きとして見逃せない、御召鯨船の千山丸があるからです。参勤交代に使われた水軍船団の一隻かつ、国内唯一の現存する江戸期の和船を堪能して、売店前のベンチで休憩していると‥‥。

青石を組んだ石垣の櫓の上に、こんなものが立っているのが目に入りました。う~ん、これはどう見ても船のマストっぽい‥‥。いや、何かで見た記憶があるぞ、軍艦のマストじゃないか?

さっそく石段を踏んで、櫓上に登って近づいてみました。基礎部分には手すりがめぐらされ、明治時代の水雷艇や駆逐艦のちんまりとした艦橋を想わせる造り。はめ込まれた碑文を読んでみると‥‥。

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大日本駆逐艦追風 記念マスト」とありました。おお、やはり。しかし、読み下してゆくうちに「え? え?」と引っかかる部分が。「日清・日露に歴戦した駆逐艦追風」‥‥えーと、無粋な突っ込みではありますが、駆逐艦は日清戦争時に存在していなかったような。

帰宅してから、「日本駆逐艦史」(海人社・平成24年)をひもといてみました。追風(おいて)は32隻が量産された神風型(381t)の一隻で、明治39年8月竣工、大正13年12月除籍、大正14年11月雑役船という艦歴。竣工が日露戦争後なので、日清・日露とも関係がないことになりますね。ううむ。

掲載されていた現役時、大正元年の写真と今のマストを見くらべても、ずいぶん形が違います。まあこれはその後の改造とか、前檣でなく実は後檣だったとかの可能性もありますが。記念マストになった後に倒壊したそうですから、そのときの改修時に原形を損なったとかでしょうか? 明治生まれの艦の遺物ということで、興味深くはあったのですが、首をかしげてしまう不思議な物件でありました。

239204.jpg同じ櫓上には、ラジオ塔もありました。噂にきくラジオ塔の現物を前にしたのはこれが初めてだったので、興味深く拝見。

石燈籠のようでもあり、また橋の親柱を思い起こさせるものがあって、一見古風なようでも戦前のモダンさを感じさせるデザインで、かつ風格があって実によいものでした。

プレートの説明によると、昭和8年にJOXK、今のNHK徳島局が開設された際に建立、昭和58年開局50周年を記念し改修されたとのこと。櫓下の広場に人々が集って、ラジオ体操にいそしんだ昔がしのばれますね。


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翌15日は、阿波踊り会館からロープウェイに乗って、徳島に入って以来常に視界にあったご当地のシンボル、眉山の山頂へ。街を一望できる独立丘があるっのて、凄くうらやましい‥‥。

左手から吉野川の広大な河口、緑濃い城山の盛り上がり、そして新町川と、昨日来歩き、また船に乗ってきたエリアを眺めて、楽しかったあれこれを思い出すひととき。お天気に恵まれたことに感謝しながら、川の街・徳島を訪ねる十年来の念願をかなえた2日間を締めくくることができました。次回訪問時は必ず撫養航路に乗るぞ!
撮影地点のMapion地図

(元年9月14日・15日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 徳島市 新町川

ひょうたん島周遊船…10

(『ひょうたん島周遊船…9』のつづき)

239196.jpg冨田橋をくぐると、先ほど船着場に向かって歩いていたとき眺めた、下水道の水管橋が見えてきました。両国橋の船着場も間もなくで、名残惜しい感じがしますね。

で、冨田橋からかつて発着していた、川汽船のことです。Wikipedia「阿波電気軌道」および「吉野川連絡船」に記述がありますが、阿波電気軌道(後に阿波鉄道)が、吉野川への架橋ができず、代用として大正5年から運航した渡船で、吉野川北岸の中原から新町川を経て、冨田橋に達する川汽船航路だったそう。

図録「徳島近代交通史―船から鉄道へ―」(PDF・徳島県立文書館発行)の11ページには、渡船の写真が掲載されていました。渡船は巡航船と称され、大正5年の開通当初は大麻丸、妙見丸と2隻の船が、1日8往復、中原~冨田橋間を片道45分で結んだとのこと。

阿波鉄道が国有化された2年後、昭和10年に吉野川橋梁が竣工し、高徳線が徳島まで開通したため、役目を終えた航路は廃止されましたが、徳島にも川汽船の活躍した時代があって、この新町川に爆音を轟かせていたことを知り、興味もいや増すものがありました。

239197.jpgそうそう、9月21日は業界の集まりで京都に行ったのですが、その翌日嵐山に散策としゃれ込み、トロッコ嵯峨駅に併設された資料館で、保存されていた蒸気機関車を見たときのことです。ふと目に留まったこの機関車、何と、もと阿波鉄道の機関車だったのだそう!

「ずいぶんアンバランスで、面白い形の機関車だな」と思い撮ったのですが、何かご縁を感じたことではありました。もっとも、旧国鉄時代に大改造され、昔日の面影はほとんどないようでしたが。閑話休題。

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両国橋の下から船着場を望んで。艇が近づくと、出発時には見かけなかった外人さんの女性スタッフがお出迎え。もやいを取っててきぱきと着桟作業をこなしてくれました。船長にお礼を言上して下船します。

初めての徳島の川めぐり、お天気にも恵まれて大いに楽しめました。撫養航路を体験できなかったのは、かえすがえすも残念ではありましたが、捲土重来を期すといたしましょう。

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すでに触れたように翌日、15日の午前中に再度乗ったときですが、桟橋を訪ねるとちょうど満員の便が出た直後。座って待っていたら船長が現われ、臨時便を出して下さるとのこと! ありがたく乗せていただくことに。

我々だけの貸し切り状態で、二度目のこととて前日のような観光ガイドこそありませんでしたが、前回以上にもう飛ばすこと飛ばすこと! 先に出た便に追いつかんばかりの爆走ぶりで、これまた痛快な走りを堪能させてくれたのでした。

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おまけ。15日に船着場へ向かう道々、ふれあい橋の橋詰近く、池と東屋をあつらえたテラスの近くを通ったら、丸々とした鴨さんの一群がボリボリと羽づくろい中。

とや(換羽期)で全身がムズムズするのか、こちらを見もせず一心不乱にかきむしっていて、近づいても逃げません。その可愛らしいしぐさに魅せられて、しばらく見入ってしまったことではありました。
撮影地点のMapion地図

(元年9月14・15日、22日撮影)

(『徳島城址と眉山』につづく)

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タグ : 新町川 助任川 ひょうたん島周遊船 徳島市 水辺の鳥たち

最近訪ねた極小閘門、二題

年末らしい慌ただしさが日増しに濃くなってゆく11月ですが、チャンスと天候に恵まれて、未訪の閘門を二つも訪ねることができたという意味では、とても印象深い月になりました。しかも、ともに好みど真ん中の極小閘門とくれば、嬉しさもいや増そうというものです。

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一つは、千葉県は一宮川の松潟堰舟通し。径間わずか2.1m! ひょろ高い堰柱が狭さをさらに強調しているという、見た目もインパクトのある閘門でした。なりは小さくとも、バイパス設備を有する本格派でもあります。

ただ、周囲は厳重にフェンスで囲われ、管理橋も通行禁止、さらにカメラでの監視下にあるという、鑑賞には非常に具合の悪い状況。少しでも好条件の視点を探して、対岸からすぐかたわらまで、ずいぶんうろついたものですが、それも楽しいひとときではありました。

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いま一つは、昨日訪ねてきたばかりの、福井県は北潟湖にある潮留水門、開田橋水門に併設された閘門。こちらも径間3.5mと結構な狭さなのに加えて、珍しいスイングゲート、それにセルフ操作と、嗜好のツボを連続コンボで突かれたような超好物件! しかも通航体験ができたのですから、その幸福感たるやもう、えもいわれぬものがありました。

天気予報をにらんで、晴れて気温も高いということで、思い切って仕事を休ませていただき(ご迷惑をおかけした各位、申しわけございません‥‥)、エイヤッという感じで訪ねたのですが、予想を上回る上天気。地元の方も、この時期こんな好天に恵まれるのは珍しい、としきりに感心しておられたくらいの穏やかさで、決断してよかったと思えたものでした。

魅力あふれる個性派閘門に、間をおかず続けて出会えた嬉しさのあまり、とり急ぎお知らせまで。いずれ改めて、詳しく垂れ流しに及びたいと思います!

(元年11月4日・23日撮影)

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タグ : 一宮川 北潟湖 松潟堰舟通し 開田橋水門閘門 閘門

ひょうたん島周遊船…9

(『ひょうたん島周遊船…8』のつづき)

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岸に近づくと、澄んだ水を透かして石組みの河底が見えてきました。船長が指さす方に目をやると、おおお、大小のエイが折り重なるようにして群れている!

三河湾の竹島で、浅瀬でのんびりとたゆったていたエイを見て以来(『蒲郡の印象…2』参照)、すっかりエイに魅了されていましたから、これは本当に盛り上がりました!

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乗客の皆さんからも歓声が上がり、身を乗り出して写真を撮っていました。ぺたり、ぺたりとヒレをひらめかせて浅場を泳ぐさまに、私も嬉しくなって、思わず「カワイイ~!」と口から出てしまうほど。

船長によれば、魚市場が出す魚のアラを食べに、エイが集まるようになったのだそう。他の魚や海鳥も集まってしまいそうに思えますが、こうしてエイのみに餌付けできるようにしたとは、何か工夫がありそうですね。それを遊覧航路から楽しめるようにしたあたり、素晴らしいことだと思います。

239193.jpg船長の操縦の妙で、船はギリギリの浅場まで入っての大サービス。一方のエイはまったく動じず、ご覧のとおり船首が頭上近くにかぶさってきても、涼しい顔(?)です。

長らくの餌付けで人馴れしたのか、それともよほどアラが美味しいのでしょうか? じっと動かずにアラをきこしめすエイの姿を見つめていると、「おいしいおいしい」と喜んでいるように思えてきたものでした。

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乗客一同で楽しく盛り上がっていた横を、爆音を立てて牟岐線の気動車が渡ってゆきました。富田川橋梁のまだ新しい塗装が、順光に反射してきれい。架線柱がないこともあって、車輌の全体を見渡せるのが新鮮ですね。

239195.jpgひとしきり盛り上がったところで、潮時とみたのか船はゴースターンをかけ、岸を離れて流路中央へ。後ろ髪をひかれる思いで、可愛らしいエイたちとお別れです。

お次の橋は富田橋、船着場への道々で渡った橋で、終点も間近であることがわかりました。そうそう、この冨田橋、大正から昭和初期にかけて、川汽船の発着所があったのだそうです。詳しくは次回お話ししましょう。
撮影地点のMapion地図

(元年9月14日撮影)

(『ひょうたん島周遊船…10』につづく)

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タグ : 新町川 ひょうたん島周遊船 徳島市