工事中の扇橋閘門を訪ねて…1
(『豊海橋の仮橋』のつづき)

●先行するバウカディも小名木川に入ったので、ともに面舵を切って進入。扇橋閘門の更新工事が始まってだいぶたちますが、まだ訪ねたことがなかったので、一度様子を見ておこうと思ったのです。
新小名木川水門、工事が残り1径間になったのはいいのですが、扉体に振られた番号がちょっとおかしいような‥‥。
中央が1で右が2、この伝でゆくと、左径間に3を割り振るのかな? まさか、東雲水門みたいに、左径間を廃止して埋めてしまうなんてことはありませんよね? 裏から見たら、従来の扉体がはまったままでした。

●高橋(たかばし)船着場が、位置を旧に復していました。撮影のお手伝いで、2回に渡ってもやいを取り、また新小名木川水門の開閉や、今はなき東京製粉通いのバージ便に出会えたりと、貴重なシーンを目の当たりにできた思い出深い場所でもあります。
●高橋船着場が元に戻ったのは、テラス護岸の更新工事が終わったからです。
昨年、「4月16日のさくらしべ降る水路…4」では、鋼管矢板で錆色一色だったここも、今や真新しいコンクリートの肌がまぶしいほど。最近の水辺整備のスピードには、まったく目を見張るばかりですね。

●東航すると、工事未了の区間がはじまり、資材を積んだ台船やクレーン船やらで、まだまだ賑やか。雰囲気のよい曳船もいくつか見られて、目移りします。
台船にもやうこちらは「第八江東丸」。グレーの船体色が渋く、重心の低い落ち着いたスタイル。排気は甲板室側面に取られているので、停泊時にエンジンを回すと、乗り組みさんはちょっとツラそうではあります。
(30年5月20日撮影)
(『工事中の扇橋閘門を訪ねて…2』につづく)

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新小名木川水門、工事が残り1径間になったのはいいのですが、扉体に振られた番号がちょっとおかしいような‥‥。
中央が1で右が2、この伝でゆくと、左径間に3を割り振るのかな? まさか、東雲水門みたいに、左径間を廃止して埋めてしまうなんてことはありませんよね? 裏から見たら、従来の扉体がはまったままでした。

●高橋(たかばし)船着場が、位置を旧に復していました。撮影のお手伝いで、2回に渡ってもやいを取り、また新小名木川水門の開閉や、今はなき東京製粉通いのバージ便に出会えたりと、貴重なシーンを目の当たりにできた思い出深い場所でもあります。

昨年、「4月16日のさくらしべ降る水路…4」では、鋼管矢板で錆色一色だったここも、今や真新しいコンクリートの肌がまぶしいほど。最近の水辺整備のスピードには、まったく目を見張るばかりですね。

●東航すると、工事未了の区間がはじまり、資材を積んだ台船やクレーン船やらで、まだまだ賑やか。雰囲気のよい曳船もいくつか見られて、目移りします。
台船にもやうこちらは「第八江東丸」。グレーの船体色が渋く、重心の低い落ち着いたスタイル。排気は甲板室側面に取られているので、停泊時にエンジンを回すと、乗り組みさんはちょっとツラそうではあります。
(30年5月20日撮影)
(『工事中の扇橋閘門を訪ねて…2』につづく)

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豊海橋の仮橋
(『5月20日の築地川…5』のつづき)

●アーバンランチの航跡をたどって、永代橋に近づいたところ。下航してくる観光汽船の水上バス「リバータウン」の向こうに見えた、台船らしきものが。アレはもしかして‥‥。
減速して反転、近づいてみると、台船に既製のトラスを組んだ橋が、前後を大きくはみ出させて積まれていました。もしかして、豊海橋のジャッキアップ工事に使う、仮橋かしら?

●トラスの中には、すでに白い高欄付きの通路が組みつけ済み。仮橋の人道橋で間違いありません。台船には、橋を持ち上げるための足場らしい立ち上がりが複数あり、向こうにはジブをもたげたクレーン船も。
準備万端整った様子、ワクワクさせますよね。陸上の準備の様子は、ここから見えるでしょうか。
●堤防の向こうとあって、水上からはうかがい知れないようですね。豊海橋の方は、先日、4月8日(『豊海橋がジャッキアップされる?』参照)の様子と特に変わりはないようです。
‥‥とすると、横断幕にある通航止めの日は、仮橋を架けるための日で、豊海橋本体のジャッキアップではないのかな?(その後、観察している皆さんがアップされた記事を拝見すると、まさに仮橋の工事日だったようです。この場を借りてお詫びします。)

●ふたたび回頭して河道中央へ。今度はバウカディの航跡をなぞって、小名木川へ向かうことに。
清洲橋越しにスカイツリーを眺めながら、先行艇のウェーキをたどる遡上のひととき。だいぶ雲も少なくなってきたし、川風もさわやか。気持よく艇を歩かせたのでした。
(30年5月20日撮影)
(『工事中の扇橋閘門を訪ねて…1』につづく)

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減速して反転、近づいてみると、台船に既製のトラスを組んだ橋が、前後を大きくはみ出させて積まれていました。もしかして、豊海橋のジャッキアップ工事に使う、仮橋かしら?

●トラスの中には、すでに白い高欄付きの通路が組みつけ済み。仮橋の人道橋で間違いありません。台船には、橋を持ち上げるための足場らしい立ち上がりが複数あり、向こうにはジブをもたげたクレーン船も。
準備万端整った様子、ワクワクさせますよね。陸上の準備の様子は、ここから見えるでしょうか。

‥‥とすると、横断幕にある通航止めの日は、仮橋を架けるための日で、豊海橋本体のジャッキアップではないのかな?(その後、観察している皆さんがアップされた記事を拝見すると、まさに仮橋の工事日だったようです。この場を借りてお詫びします。)

●ふたたび回頭して河道中央へ。今度はバウカディの航跡をなぞって、小名木川へ向かうことに。
清洲橋越しにスカイツリーを眺めながら、先行艇のウェーキをたどる遡上のひととき。だいぶ雲も少なくなってきたし、川風もさわやか。気持よく艇を歩かせたのでした。
(30年5月20日撮影)
(『工事中の扇橋閘門を訪ねて…1』につづく)

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5月20日の築地川…5
(『5月20日の築地川…4』のつづき)

●回頭しながら、二つの径間をくぐりディテールを堪能して、南門橋との初邂逅を終えることにしました。これで、都内の可航水路にある震災復興橋は、すべて巡ったことになるのかな?
これからも出入り自由な状態が続くのか、環状線の工事もあるのでわかりませんが、ともあれ今日ここに来られた幸運を、喜びたいと思います。

●橋の近くにあった、櫓‥‥見附の跡でしょうか、台状に高めた石垣。
石垣の組み方は総じてとても丁寧で、これが江戸時代のものなら、かつて浜御殿であったことを実感させる施工ぶりではあります。当時の土木技術をかいま見られる遺構として、大切にしていただきたいですね。
●ふたたび雲が増えてきた空の下、今度は右手に木々と石垣、左手に桟道を見ながら、築地川をゆるゆると下って戻ります。最奥部から眺める川景色、とても新鮮。
江戸期の埋立によって生じた水路、またそのころの水辺のさまを今に残す都心の川という意味でも、南門橋と合わせて短区間ながら魅力のある水路と思います。チャーターボートの観光コースにも悪くないでしょうね。

●隅田川に出て取舵、スロットルを倒して遡上することにしました。近場に見ておきたいものがあったからです。
気持ちのよい風になぶられつつ見上げると、頭上を圧する築地大橋の構造が広がり、空はふたたび雲がまばらになって、青天井がのぞけてきました。
(30年5月20日撮影)
(『豊海橋の仮橋』につづく)

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●回頭しながら、二つの径間をくぐりディテールを堪能して、南門橋との初邂逅を終えることにしました。これで、都内の可航水路にある震災復興橋は、すべて巡ったことになるのかな?
これからも出入り自由な状態が続くのか、環状線の工事もあるのでわかりませんが、ともあれ今日ここに来られた幸運を、喜びたいと思います。


石垣の組み方は総じてとても丁寧で、これが江戸時代のものなら、かつて浜御殿であったことを実感させる施工ぶりではあります。当時の土木技術をかいま見られる遺構として、大切にしていただきたいですね。

江戸期の埋立によって生じた水路、またそのころの水辺のさまを今に残す都心の川という意味でも、南門橋と合わせて短区間ながら魅力のある水路と思います。チャーターボートの観光コースにも悪くないでしょうね。

●隅田川に出て取舵、スロットルを倒して遡上することにしました。近場に見ておきたいものがあったからです。
気持ちのよい風になぶられつつ見上げると、頭上を圧する築地大橋の構造が広がり、空はふたたび雲がまばらになって、青天井がのぞけてきました。
(30年5月20日撮影)
(『豊海橋の仮橋』につづく)

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5月20日の築地川…4
(『5月20日の築地川…3』のつづき)

●南門橋右径間をくぐり終えて、微速で左回りに回頭しつつ、水面上から初めて見る築地川最奥部の光景。
暗渠のポータル、石垣に似せたコンクリートのフタで塞がれたのですね。左手奥は、海岸通りの拡幅で幅を狭められた、汐留川の北東端です。だいぶ前になりますが、確かここに環境局の小型清掃船が入っていた写真を、ウェブサイトで見た記憶があるのですけれど、記憶違いだったかな‥‥。
まあ、今日は河道を塞ぐフェンスが外れていて、南門橋をくぐれただけでも幸運と思わなければなりません。冒険は慎んで、橋見物に集中しましょう。

●近くで見ると、この橋脚部分の張り出しが滋味にあふれ実にいい感じ。橋詰のそれが直線を取り入れた、いわば角丸断面なのにくらべ、橋脚はほぼ半円断面で、円柱を思わせるまろやかさが、橋脚ということもあってかしっくりきます。
しかしこちら側は、汚れや白化がずいぶん目立ちますね。日照の差で乾燥しづらいからか、または車道に面していて、粉塵を浴びる確率が高いからでしょうか。
●くぐってきた径間を振り返って。汚れてもむしろ味のうちと思えるのは、この豊かな装飾に負うところが大きいでしょう。デザインを担当した山口文象氏ご自身は、装飾を施すことはお好みでなかったようですが。
このあたり、「橋を透して見た風景」にも一項がありますが、ウェブ上では「建築家 山口文象」の「1924橋梁デザイン」に山口氏のインタビューがあり、南門橋の竣工時の写真も載っています。

●水鏡でできた、黒く縁どられた紡錘形の向こうに、築地川の初めて見る角度が。この温かみのある曲面と質量感。鋼橋では味わえない、RCアーチの醍醐味の一つですねえ。
(30年5月20日撮影)
(『5月20日の築地川…5』につづく)

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●南門橋右径間をくぐり終えて、微速で左回りに回頭しつつ、水面上から初めて見る築地川最奥部の光景。
暗渠のポータル、石垣に似せたコンクリートのフタで塞がれたのですね。左手奥は、海岸通りの拡幅で幅を狭められた、汐留川の北東端です。だいぶ前になりますが、確かここに環境局の小型清掃船が入っていた写真を、ウェブサイトで見た記憶があるのですけれど、記憶違いだったかな‥‥。
まあ、今日は河道を塞ぐフェンスが外れていて、南門橋をくぐれただけでも幸運と思わなければなりません。冒険は慎んで、橋見物に集中しましょう。


しかしこちら側は、汚れや白化がずいぶん目立ちますね。日照の差で乾燥しづらいからか、または車道に面していて、粉塵を浴びる確率が高いからでしょうか。

このあたり、「橋を透して見た風景」にも一項がありますが、ウェブ上では「建築家 山口文象」の「1924橋梁デザイン」に山口氏のインタビューがあり、南門橋の竣工時の写真も載っています。

●水鏡でできた、黒く縁どられた紡錘形の向こうに、築地川の初めて見る角度が。この温かみのある曲面と質量感。鋼橋では味わえない、RCアーチの醍醐味の一つですねえ。
(30年5月20日撮影)
(『5月20日の築地川…5』につづく)

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5月20日の築地川…3
(『5月20日の築地川…2』のつづき)

●右手の桟橋が途切れ、最奥部の水面とともに、橋の側面が眼前に広がりました。ああ、さえぎるもののない、まさにクリアな状態で南門橋の全貌を拝める日が来ようとは。嗚呼。
光線の具合もよく、ビル群をバックにくっきりと浮かび上がったこの艶姿。かつての離宮の導入部として、デザインも特に意を用いられたと聞いています。ディテールを堪能するとしましょう。

●右側通航の原則に従って、右径間に舵を切りました。高欄のディテールが明らかになってくるとともに、アーチ下の黒々とした陰影が視界の面積を次第に占めて、この手の橋特有の質量感が迫ってきます。要石に擬した凸部、ボルト跡が見られることから、以前は何か別パーツが取り付けられていたようですね。
最奥部の水深ですが、右写真のとおり1.6から1.9mほど。先にも触れたように、かつては喫水の深いヨットがもやっていたくらいですので、途中の区間はまず十分な水深があります。最奥部に至って若干浅くなり、また凹凸はあるものの、モーターボートにとってはまったく余裕の数字です。

●タイトルにも掲げた写真をトリミングして、要石ぽい部分のアップを。高欄の連続したアーチ様デザイン、その上に連なる歯状装飾、アーチのリム、「要石」の天端の処理と、まあ細やかなこと。
「要石」に話を戻すと、最初は橋名板の跡かしらと思っていたものの、よく見ると中央の穴に、切断されたコードが出ていますね。橋側灯を外したとみて間違いないでしょう。
紅林章央氏の著書「橋を透して見た風景」を開いたところ、竣工間もないころと思われる南門橋の写真が掲載されており、橋側灯があったことが確認できました。
●あまりよく撮れなかったのですが、黒く沈むアーチの裏側にスッ、といった感じで、対角線を描いていた波紋の反射が気になっての一枚。
装飾は袖高欄まで連続しており、水面近くの階段状に末広がった処理も地味に素敵。いや~、本当に来てよかったですわ‥‥。
【撮影地点のMapion地図】
(30年5月20日撮影)
(『5月20日の築地川…4』につづく)

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●右手の桟橋が途切れ、最奥部の水面とともに、橋の側面が眼前に広がりました。ああ、さえぎるもののない、まさにクリアな状態で南門橋の全貌を拝める日が来ようとは。嗚呼。
光線の具合もよく、ビル群をバックにくっきりと浮かび上がったこの艶姿。かつての離宮の導入部として、デザインも特に意を用いられたと聞いています。ディテールを堪能するとしましょう。


最奥部の水深ですが、右写真のとおり1.6から1.9mほど。先にも触れたように、かつては喫水の深いヨットがもやっていたくらいですので、途中の区間はまず十分な水深があります。最奥部に至って若干浅くなり、また凹凸はあるものの、モーターボートにとってはまったく余裕の数字です。

●タイトルにも掲げた写真をトリミングして、要石ぽい部分のアップを。高欄の連続したアーチ様デザイン、その上に連なる歯状装飾、アーチのリム、「要石」の天端の処理と、まあ細やかなこと。
「要石」に話を戻すと、最初は橋名板の跡かしらと思っていたものの、よく見ると中央の穴に、切断されたコードが出ていますね。橋側灯を外したとみて間違いないでしょう。
紅林章央氏の著書「橋を透して見た風景」を開いたところ、竣工間もないころと思われる南門橋の写真が掲載されており、橋側灯があったことが確認できました。

装飾は袖高欄まで連続しており、水面近くの階段状に末広がった処理も地味に素敵。いや~、本当に来てよかったですわ‥‥。
【撮影地点のMapion地図】
(30年5月20日撮影)
(『5月20日の築地川…4』につづく)

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