庄川峡の船旅…3

(『庄川峡の船旅…2』のつづき)

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(庄川峡)漫々たる碧流を水鳥のごとく快走する遊覧船
宛名・通信欄比率1:1、大正7年4月以降の発行(昭和10年8月27日の記念印あり)。


前々回に紹介した「庄川流材写真」にも出ていますが、ダム竣工間もないころに活躍していた船影を絵葉書で見てみましょう。上流側から見た小牧港の光景、4隻の船が写っていますが、少なくとも手前の2隻は略同型で、曳船タイプなのがわかります。

上流で集められた原木を筏に組み、あるいは艀に載せて連ね、堰堤のチェーンコンベアまで曳いてくる仕事は、原木業者に対する補償の一環でもありましたから、現在と異なり、曳船タイプで数を揃えたのはうなずけるところであります。

船橋の後ろにオーニングを張って客扱いをしているさま、夏は涼しげでよいですが、甲板室の狭さから考えると、収容力は限定的だったことと思います。また煙突の白線の数で、船の通番を判別していたらしいこともうかがえますね。桟橋のポンツン、四角い台船でなく、船首尾のある艀を利用しているあたりも面白いものが。

211117.jpg遠ざかりゆく小牧ダムのゲートたちを、振りかえって一枚。2本のワイヤーで操作される黒いラジアルゲートが並ぶさま、昭和初期竣工のダムらしい、風格に満ちた眺め。

落差75m、竣工当時は国内に比類なき大型ダムとして威容を誇ったここも、今や90歳になんなんとする高齢。河川用ダムとしては初めて、登録有形文化財に指定されたのも納得できます。

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前方に目を転じれば、光に満ちた谷間の向こうへ羊腸と続く川面! 山並を縫って分け入ってゆく面白さ、ダム湖の河川ならではの醍醐味といえるでしょう。

しかも、一周して元の場所にただ戻る(我々は大牧で降りずに戻ってくるのですが)のでなく、目的地を目指して文字どおり遡上する、立派な河川航路なわけですから、興趣いや増そうというものです。

211119.jpg進行方向右手を、見え隠れしつつ国道156号線・飛騨峡合掌ラインが通っているのですが、まず目を奪われたのがここです。

分厚いロックシェッドに、浅い谷を短い桟道で渡る区間に設けられた、それを支える堅牢そのもののラーメン構造‥‥。ここに道を通すことの難しさと、環境の厳しさが感じられる眺めでした。


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上流へ続く区間も同じく、ごくわずかな地上部分も落石防止の柵や壁で手当てされ、ほとんどをロックシェッドで覆われた、風光を愛でることすらままならない構造。

岩勢荒々しく、また崩壊防止の工作を施された山肌は、船から見てこそ興味深いものですが、道路にとっては難物以外の何物でもない地勢であることが、ひしひしと迫ってくる川景色ではありました。

(29年9月24日撮影)

(『庄川峡の船旅…4』につづく)

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タグ : 庄川遊覧船 小牧ダム 庄川 絵葉書・古写真 曳船