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10月9日の川景色

(『隅田川上流のフネブネ』のつづき)

212041.jpg10月9日、帰路の落穂拾い分といっては語弊がありますが、気になった物件をいくつか。

ちょっとしたことばかりとはいえ、刻々と変わりゆく水路風景の記録として見れば、あだやおろそかにはできますまい‥‥と、例によって暑苦しくスナップした数枚、お目汚しまで。

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隅田川上流のフネブネ

(『10月9日の岩淵水門』のつづき)

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流頭部より隅田川を下った道々で、出会ったフネブネのスナップです。まずは岩淵水門のすぐ下流にもやう、国交省の「かもめ」。

バウドアを備えた角ばった船体は、揚陸艇を思わせますね。ご覧のとおりえらくアップトリムで、これが常態とは思いますが、はた目にも不安を覚えるスタイルではあります。

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「かもめ」のすぐ下流には、同じく国交省の清掃船、「ちどり」と「水明号」の2隻のカタマランが。

操舵室と船体を塗り分けた、カラフルな「水明号」、機械然とした「ちどり」、同じカタマランとはいえ、対照的な外観が目を楽しませてくれます。

212038.jpg石神井川に入ってみようかな、と思っていたら、風向きの関係か河口にえらい量の浮流物が滞留しており、ペラに巻き込んだらことと断念。

代わりに河口を半ばさえぎって停まっていた押船、「12東庄丸」を一枚。バージの高さに合わせて操舵室が上下する、伸縮式のからくりが魅力の一つ。3年前にも勝どきマリーナで会いましたよね。

212039.jpg尾竹橋の上流まで下ってきたら、おお、堀船清掃作業所に向かう、ゴミ運搬のプッシャーバージが遡上してきました!

ここは腰を据えてじっくりものしてやろうと、スロットルを引いて艇を流し、上ってくるのを待つことに。静かな川面に、ディーゼルの爆音が迫ってくるのを聞きながら過ごすひととき。いや、いいものです。

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押船は「第十八中島丸」、バージは「第六六号」、神田川でもおなじみの中島運輸。

押船の船首を支点にして、バージがゆらり、ゆらりとピッチングするたび、「へ」の字を作るのも面白く、引き波の揺れを快く感じながら、まめまめしく働くその姿を見送ったのでした。
撮影地点のMapion地図

(29年10月9日撮影)

(『10月9日の川景色』につづく)

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タグ : 隅田川清掃船曳船

10月9日の岩淵水門

(『10月9日の旧岩淵水門…2』のつづき)

212031.jpg向き直って、こちらは現役の岩淵水門にご機嫌伺い。中央径間をはさむ2本の堰柱は補強され、扉体は中央・右径間が下塗りが露出するほど色褪せてと、以前と変わらぬ状態。

中央径間のみ下航可を示す標識に従い、くぐりながらディテールを愛でてゆくとしましょう。


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左端の巻上機室をズームで。側面に3つ並んだ丸窓、四隅を丸めた台形状の側板が、ちょうど上製本のチリを出したような格好と、未来っぽいような、懐かしくなるような外観。どこか、大阪万博のパビリオンぽい匂い(?)もします。

212033.jpgううう、うまく撮れなかったのですが、舵を取りつつ片手で頑張って、扉体をくぐった瞬間をものしてみました。

広大なスキンプレートの平滑さ、下端にびっしり並ぶ水密材のゴムを留めるボルト、リムの補強を施した梁の丸穴と、普段じっくり見られない角度ではあるので、お馴染みさんとはいえ新鮮な感じです。

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部分補修の跡も痛ましい巻上機室、塗色が褪せ切った2枚の扉体、対照的な補強済みの堰柱‥‥。この中途半端なまだらぶり、さっき訪ねた芝川水門に一脈通じるものがあるなあ。

下流一帯の水門たちは、更新工事が盛んに行われているのに、このもどかしい放置感は何なのでしょう。都心に近い低地の津波・高潮対策が優先されている、ということなのかしら。

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離れたところでぐっとたぐり寄せ、扉体の梁に掲げられたナンバーを一枚。抜き文字の扉体番号って珍しいような。

下塗りが赤く透けてしまっているため、健全なNo.1よりかえって目立ち、目を引かれたのですから皮肉なものです。
撮影地点のMapion地図

(29年10月9日撮影)

(『隅田川上流のフネブネ』につづく)

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タグ : 岩淵水門隅田川

10月9日の旧岩淵水門…2

(『10月9日の旧岩淵水門…1』のつづき)

212026.jpg下流側右手の、堤体(といっていいのかな?)部分に目を向けて。

フラットな法面ではなく、橋脚状(?)の凸部をあしらっているあたり、造り手の細やかな心配りが垣間見えるように感じられます。つるりとした平面なのも悪くないですが、少しでもディテールがあった方が、見た目にも和らいだ雰囲気になりますものね。

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制水門の径間にぐっと寄せて。上流側と異なり、凹部を抜いた高欄、角にわずかな丸みをつけた堰柱と、ディテールを一つ一つ拾ってゆくは楽しいもの。

巻上機や動力伝達の部分は、竣工時よりだいぶかさが増していますが、それでも他の水門にくらべればこぢんまりとまとまっています。通船水門を別径間にしたおかげで、扉体の巻上高さが抑えられたこともあるでしょう。

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すでに11月15日からのタイトルで掲げてありますが、通船水門の径間に惹かれてトリミング。風通しがいい塩梅なのか、この桁下のみ蔦がよく繁り、左手の継手にはボッ、といった風に丸く灌木が自己主張しているという、独特の魅力に吸い寄せられたわけです。

見方によっては、もう使われなくなって久しい、廃墟感を強調する眺めととる向きもあるやもしれません。左の丸い灌木も、不等沈下によって隙間を増した、継手を割って生えているのでしょうから、遺構らしい角度といえなくもないでしょう。

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光線よろしく、紅の塗色に構造の陰翳も映えるであろうと、少し距離を取ってから、通船水門を思い切りたぐって一枚。

竣工当初の“動力付き角落し”の時代を想えば、高さを抑え一直線に近かった天端のラインは崩されて、オリジナルのすっきりしたスタイルは失われ、ある意味無骨になったわけです。しかし、この堰柱や扉体が付されたことによって存在感はいや増し、むしろ眺める人に愛着を覚えさせたのではないかしら‥‥と妄想。

212030.jpg最微速でゆるゆると遠ざかりながら各部を愛でて、ほどよい距離を隔てたところで、もう一度全体像をパチリ。役目を終え、その場で時を止めてから久しくを過ごしても、長きに渡り、水の憂いから低地を護ってきた威容は健在です。

人声の絶えない憩いの水辺にあって、頼もしくも美しいその姿を、いつまでも留めてほしいものですね。

(29年10月9日撮影)

(『10月9日の岩淵水門』につづく)

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タグ : 旧岩淵水門隅田川

10月9日の旧岩淵水門…1

(『新芝川河口部の水門たち』のつづき)

212021.jpg新芝川を出て、対岸にある旧岩淵水門を訪ねてみました。引退後も現地保存されているこの水門、周囲は公園で釣り人さんが多いせいもあり、どうも近寄り難いものがあって、今までつぶさに愛でられずに来てしまいました。

この日も写真左手の旧堤防(現在は切断されて島状の公園地)を中心に、法面から水面に向けて多くの竿が突きだされ、ちょっとした引き波もはばかられる雰囲気です。う~ん‥‥。

212022.jpg勇気を出して、そろりそろりと近づいてみましたが、もろもろの視線が痛くこれが精一杯。あとはズームでたぐってガマンしましょう。

通船水門をたぐってはみたものの、やはり逆光が災いし、扉体スキンプレートのディテールはいま一つとらえられませんでした。格子状の継手に特徴があって、今の水門にない味があるのですが、致し方なし。

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左側、制水門(正式名称は知りませんが、そう呼んで差し支えないと思います)のアップも。動力、巻上機ともに更新・改造されているので、竣工時そのままというわけではありませんが、高欄のデザインなどに当時の面影がしのべます。

旧岩淵水門の絵葉書」と見くらべてもわかるとおり、竣工後の地盤沈下は著しく、それも不等沈下とあって痛々しいかぎり。この写真でも、わずか1径間なのに傾いているのがわかり、新水門へ移行が待たれていたのが実感できます。

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逆光と釣り人さんの目線に閉口(失礼)して、旧堤防の中之島を回り、旧水門の下流側へ。おお、白くつぶれていた空は青く、扉体はもとより両岸の緑も鮮やか、光の塩梅は大事ですのう。

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管理橋上も人影は少ないし、両岸から釣竿は出ていないし、こちら側ならもう少し肉薄できそう。通船水門の径間桁下、風が通って環境がいいせいか、蔦がここだけ繁って独特の雰囲気。もそっと左に寄せてみますか。
撮影地点のMapion地図

(29年10月9日撮影)

(『10月9日の旧岩淵水門…2』につづく)

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タグ : 旧岩淵水門隅田川