新日光川水閘門

(『戦前の中川運河をしのんで』のつづき)

206091.jpg次なる閘門に向けて、ふたたび名四国道のお世話になり6㎞ほど西へ。名古屋市と海部郡飛島村の境でもある日光川、この河口を護る防潮水門・日光川水閘門にやってきました。

現地に立つと、その下流側に建造中である、新日光川水閘門に意識が吸い取られてしまったので、ご本尊はさておき、先に拝見してしまいましょう。水閘門本体は完成しているものの、周囲の工事は未完でゲートはすべて上がり、供用開始前であることを示しています。

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新しい水閘門は、古い方と正対しておらず、少しはすになっていました。お陰で閘門をほぼ正面から眺めることができます。

逆光気味の上、少し雲が出てきて、背景が白くなってしまうのが残念ですが、下ろし立てのシャープな感じを堪能。堰柱一つ一つに独立した巻上機室が配され、すべて回廊を備えているのが特徴。ゲート周りは完成しているものの、一枚目の写真左側でわかるように、海面との間を仕切る堤防がまだ築造中で、もっと高さを積み増さなければ、水門も機能しないでしょう。
撮影地点のMapion地図

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近寄ってみると、堰柱は前後2本で一対をなしており、巻上機室もその分奥行きがあることがわかりました。扉体を二段式ローラーゲートとしたためです。構造が複雑になる二段式を選んだのは、堰柱高さを抑えるためでしょうか。

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ぐっと近づいて、閘室をのぞき込んだところ。まだ新しいコンクリートの肌とともに、フェンダーの色も黒々として、ゴムの匂いがしてきそう。閘室の側壁があまり高くないのは、大干潮時は開放して河水を自然流下させ、潮位の高いときは閉鎖して、河川側の水位を低く保つ運用のためでしょう。

しかし、径間も閘室長も、小型船舶レベルの通航しかなさそうな割には、ずいぶん広く取ってあるのですね。水上バスのような、大型船を通航させる計画でもあるのかしら。艀による緊急輸送とか、防災面も考えてあるのかな?

206095.jpg堤防の堤内地側に掲げられていた、対岸の堤防を築造する手順を示した図。工期は今年7月31日までとのこと。

この工事についての詳細は、「日光川水閘門改築事業について」(愛知県HP)に掲載されています。諸元を引用すると、水門は径間20mのローラーゲート、閘門は径間15m、閘室長76m、フック式二段ローラーゲートとのこと。

(29年5月3日撮影)

(『日光川水閘門…1』につづく)

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戦前の中川運河をしのんで

(『中川口閘門…5』のつづき)

206076.jpg中川運河と、中川口閘門を題材にした史料がいくつか手元にあり、折りに触れて眺めては「いつか訪ねたいものだ」と想いを募らせていたので、今回願いがかなって嬉しさもひとしおです。

というわけで、供用開始から日が浅かったころの様子がうかがえる絵葉書と、企業誘致のリーフレットを掲げて、悦に入らせていただきます。竣工以来、大いに宣伝に努めた名古屋市の力の入れようと、新規開鑿の艀船運河としては、国内において未曾有の規模だった中川運河の、輝かしい時代を垣間見てみましょう。

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タグ : 中川運河 中川口閘門 閘門 絵葉書・古写真

中川口閘門…5

(『中川口閘門…4』のつづき)

206066.jpgテラスの張り出しまでがしがし歩いて、やおら振り返ると、逆光ではあるもののもうバッチリな角度。格好の鑑賞ポイントを作ってくれた名古屋市に感謝しつつ、柵にもたれて眺めることしばし。

水面には、何ヶ所かブクブクと泡が沸きあがっているところが見られました。空気で撹拌して、水質を維持するためでしょうか。


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ではぐっとたぐり寄せて、アップで堪能とまいりましょう。今度は内扉室側からなので、外扉室の裏側のディテールまで、じっくり観察できます。

前扉室の2組のゲートから、一対ずつ扉体の高さが低くなってゆくさま、扉体と開閉ロッドとの高さの差を、トラス状の構造で合わせている様子と、今まで見てきたマイタゲートと違った独特の風貌。機械美的な魅力にあふれています。

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この、何て呼んだらいいんでしょう、開閉ロッドの軸受け部分をさらにアップ。斜材は梯子を兼ねているのですね。裏側の筋交に木材が張ってあるのは、堀川口防潮水門と同様です。
気になったのは、扉体のヒンジ‥‥回転の中心と、開閉ロッドの作用点の距離が、妙に少ないこと。素人目で見ると、力は余分に必要なものの、開閉はストロークの少ない分早くできるとか、何か利点があってのことではと妄想。

そうそう、出発前に改めて検索したのですが、中川口閘門(現行の第二閘門)の寸法など諸元が掲載されたサイト、ついに見つかりませんでした。例によって、探し方が悪いだけなのかもしれませんが‥‥。名古屋市もウェブサイトの記事やPDFのパンフレットを複数アップして、中川運河の宣伝には努めているようですから、次の機会には閘門の詳しい紹介をぜひ、盛り込んでいただきたいものです。

206069.jpg外扉室の裏側に、法定表記のようなものがあるのに気付きました。橋でもよく見る、塗装についてのものだとピンときて、ズームで最大限たぐり寄せたのがこれ。

さすがに遠すぎて、とてもすべては判読できませんでしたが、前回の塗装が平成18年1月、塗料メーカーが中国塗料であることは、かろうじてわかりました。


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ほぼ同じ地点から、北へ振り返って一枚。美しい弧を描く、いろは橋をくぐって折しも、レガッタが次々と南下してきました。南端部に近いこの水面は、漕艇場として活用されているのです。いろは橋の西詰に、拠点である名古屋港漕艇センターも設けられているとのこと。

水路敷に張り出す形で、広大なテラスも整備されて、沿岸に倉庫や工場が軒を連ねた、かつての艀船運河の面影は薄まりつつあるものの、なお広大な運河に、いにしえの活況をしのんで一人妄想。

さて、せっかく名古屋を代表する運河を(ホンの入口だけですが‥‥)訪ねることができたのだし、次回は手持ちの絵葉書などを並べて、開鑿成った当時、昭和初期の雰囲気を堪能してみることとしましょう。
撮影地点のMapion地図

(29年5月3日撮影)

(『戦前の中川運河をしのんで』につづく)

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中川口閘門…4

(『中川口閘門…3』のつづき)

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階段の踊り場の柵にカメラを突っ込んで、後扉室周りを見下ろしたところ。

ううん、確かに眺められはするものの、何とももどかしい角度。特に閘室の様子は、ここからではほとんどわかりません。防音壁を横目でうらめしく見ながら、ディテールを観察することに。

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あっ、内扉室(運河側、低い方のゲート)が開いている! 階段から降りて、テラスに出たときには閉まっていたので、外扉室の裏側は撮り損ねましたが、これで二つのゲートが別々に操作できることが判明。

シリンダーの筒の上に取り付けられた、盲蓋をしたメーターらしきもの、開度計かな? よく見ると、右側に細いワイヤーが伸びて、端が扉体に結ばれているようなので、ワイヤーの繰り出し長さで開度を示す仕組みなのかもしれません。

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中川口閘門の一大特徴である、ゲートをまたぐ機側運転室(だと思う)。前後の妻板には、スピーカーと照明が備えられています。

どういったいきさつで設けられたのかわかりませんが‥‥以下妄想。通航量があまりにも多かったため、目視による迅速な操作を必要としたのか、一回の操作で、閘室に可能な限り船を詰め込むため、やはり目視しながら具体的な指示を出す必要があったのか‥‥。監視カメラが得難かった時代の、昭和38年竣工ならではの設備といえそうです。

206064.jpg階段から、運河北方を望んで。左側、テラスにぐっと張り出したような部分があり、閘門の鑑賞のために造られたしか思えないスポット。ここは訪問前に目星をつけていたので、後で行ってみることに。

手前のスペースはご覧のとおり工事中で、塀がめぐらされ入ることができませんでした。閘室のすぐ横まで入れたようなので、惜しいことではありました。

206065.jpg階段を下りて道路に出たところで、道の向こうに「喫茶 運河」を発見! 利根運河の運河駅、横利根閘門の閘門バス停に続くヒット。「キャナル」などの横文字に走らない点も、船頭的にポイント高し。

ゼヒお茶してみたかったのですが、誘惑を振り切って、閘門の見えるテラスへ続けて前進。さっき全力疾走した後遺症で、足がガクガクするのう‥‥(泣)。
撮影地点のMapion地図

(29年5月3日撮影)

(『中川口閘門…5』につづく)

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中川口閘門…3

(『中川口閘門…2』のつづき)

206056.jpgハァハァハァ‥‥。
堤防の階段を駆け上がったところで、息を整えるのももどかしく見やると、船はすでに閘室を出て、ゲートは全開の状態。

出閘シーンを逃したならば、せめて、ゲートが閉じるところだけはものせねば! テラスに降りてよいポジションを探すいとまもなく、その場に立ったままシャッターを切る、切る!

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早くも閉じはじめた! もはや、一歩たりとも動く猶予はなし。ズームで思い切りたぐって、とにかく撮ることに専念。間の悪さを呪うより、扉体の運転に出くわせたことを感謝せねばと、暑苦しい気持ちを込めて一枚、また一枚。

扉体を見てもわかるように、中川口閘門は外扉室・内扉室、二組のマイタゲートを持つ複式閘門です。これはシリーズの最初にも触れたように、運河内がN.P.+0.2~0.4mと、朔望平均干潮面より少し高いくらいの水位に設定されていて、海面の方が低くなるときもあるため。

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ううう、閉じるとなると早いなあ。なかなか整わない息を落ち着かせながら、名残惜しい気持ちで扉体の裏側を見送ります。扉体の斜接部に見える、水密材の木の色が妙に生々しく感じられる一瞬。

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ゲートが完全に閉じたのを見はからって、離れていた「きよかわ」がぐるりと円を描いて戻ってきた‥‥。どうするのかしらと眺めていたら、扉体ギリギリまで寄せて、乗り組みさんがタモ網で清掃作業を始めました。ご苦労さまです。

というわけで、何とか扉体の運転シーンは写真に納めることができました。この勢いで後扉室も見て回るぞ!

206060.jpgガクガクする足にムチ打ちつつ、今度はゆっくり歩いて、名四国道の歩道に上がる階段、先ほどとは反対の北側に到着。ここなら南側より、いくらかは観察しやすそうではあります。

ご覧のとおり、橋上の歩道は防音壁が高々とつらなって、眺望はゼロといってよい厳しい環境。踊り場から後扉室だけはのぞけますが、視界は広くなさそうですね‥‥。
撮影地点のMapion地図

(29年5月3日撮影)

(『中川口閘門…4』につづく)

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