10月16日の辰巳運河…3

(『10月16日の辰巳運河…2』のつづき)

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湾岸道路、高速湾岸線のそれぞれ上下線をくぐると、次はりんかい線。旧江戸川から有明西運河に至るまで、湾奥に開口する水路の流末が、似たような橋梁過密地帯になるのは、いわばお約束ですが‥‥。

196012.jpg最終橋であるこの新末広橋、一見飾り気のない桁橋ながら、橋脚上に2ヶ所バルコニーが設けられているところ、橋自体が「曲がった橋」であるなど、他の橋梁過密地帯とくらべて、わずかながら個性が感じられます。

西詰に東雲駅、その北側には東雲の中心市街を控えていることから、橋も憩いの場としての機能が求められたのかもしれませんね。


196013.jpg新末広橋をくぐってぐっと視界が開け、最初に目を引かれるのはやはり、左手前方はるかに広がる、13号地貯木場の柵列。

柵内にもやうクレーン船のジブが、逆光の叢雲をバックに林立する光景、ちょっと暗く撮れてしまいましたが、悪くありません。



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そして辰巳運河を離脱した瞬間、左の内貿埠頭に接岸する本船たちがズラリと見渡せる! 何やらおトク感のある眼福な光景であります。

喫水を深々と沈めた船、荷役を控えているのか船底色を晒した船、フネと、国内物流の拠点らしい活気にあふれた雰囲気、よいものです。

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あまり時間もないので、ここでスロットルを一杯に倒し、デッドフルで滑走状態に移行しましょう。曇りのおかげもあって幸い水面は静穏、文字どおりの滑るような走り心地です。

全速で飛ばしながら眺めた杭打船、不動テトラの「第6不動号」をスナップ。天を衝く警戒塗装の櫓が、曇天を背に見せる不敵な表情。貯木場の囲いの中、許可が得られるのなら一度でいいので、入れてもらって業務船見物してみたい‥‥。先日出会ったロータリーボートも、この中で働いていたのかもしれません。
撮影地点のMapion地図

(28年10月16日撮影)

(『10月16日の旧江戸川』につづく)

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タグ : 辰巳運河 東京港

10月16日の辰巳運河…2

(『10月16日の辰巳運河…1』のつづき)

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久しぶりに通るのだし、アップでもものしておこうと裏側を仰いで。興味のない方からすれば、水門のディテールはいずこも似たようなものとお思いでしょう。しかし船頭の目からすれば、辰巳水門のチャームポイント(!)がちゃんとあるのです。

堰柱天端に一本づつ、縦にボルト留めされた短い鉄骨がそれ。外観から、落橋防止装置と似た役割のパーツと推測されます。つまり、大地震が来たとき巻上機室のガーダーが、ずれて振り落されるのを防ぐためのものでしょう。近隣に散在する同規模の水門では見られないものだけに、興味をそそられるのです。

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196008.jpg角落しのはまった姿を記念に一枚。やはりこちらから見ると、光の加減もよろしくだいぶ明るい表情に撮れますね。出たらすぐ面舵を切らないといけないので、真正面から狙えないのが痛いところ。

くぐってすぐ左手、もう一隻のクレーン台船が。右手のハウスに「66号千羽丸 中川船舶」とありました。以前出会った「33号千羽丸」の兄弟ですね。


196009.jpg少し距離を置いてから、クレーン船と水門のツーショットを振り返って。

ご存じのとおり、水路幅がぐっと広がった位置に設けられた辰巳水門は、左右に長大なコンクリート堤防を従えた、独特の景観の中に鎮座しているのも特徴の一つ。また上下流とも橋が間近にあって、陸路鑑賞するにはもってこいの環境であるという意味でも、珍しいかもしれません。

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胃袋のような形をした水面を、右へ左へと切りクランク状に艇を歩かせて、高速湾岸線を中心とした橋梁過密地帯に突入。一番上流側、新辰巳橋のオレンジ色の桁が映えて、曇り空で沈みがちな水面に、彩りを添えてくれました。
撮影地点のMapion地図

(28年10月16日撮影)

(『10月16日の辰巳運河…3』につづく)

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タグ : 辰巳運河 辰巳水門 台船

10月16日の辰巳運河…1

196001.jpg入渠整備のため、例によって江戸川へ回航したのですが、その道々で拾った川景色をいくつか。午前中、晴れの予報を得て出てはみたものの、ご覧のとおり雲が多く、少々やる気を萎えさせてつつも運河へ。

工事中で交互通航の新砂水門、朝の輻輳する時間帯とあって、写真のように渋滞することも。新水門が竣功するまで、「水路の渋滞風景」がしばらく見られることでしょう。

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時間に余裕があったので、少しだけ遠回りしてみようと、しばらくご無沙汰していた辰巳運河を経由してみることにしました。

六叉流を左へ切ると広がるのは、こげ茶の塗装が薄手の桁をきりりと引き締めている辰巳橋と、右手に林立する天を衝くタワーマンション群が織りなす、エッジの立ったシャープな風景。

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水路幅が広がるあたり、右手に見えるのは都所有の桟橋、もやっている二隻は左から「ありあけⅡ」と「かもめ」。このすぐ右手には、都港湾局管理下の全水門を集中制御している、高潮対策センター都港湾局HPより)があるのだそう。

ん? 改めてよく読んでみると、最後に「※廃止予定の呑川地区4水門を除く」とありますね! 羽田周辺の船溜群を守る小さな水門たち、近い将来に撤去されてしまうのかしら‥‥。4水門と船溜については、「南前堀…1」以下のシリーズをご覧ください。

196004.jpg水門の予告信号と航路標識を備えた斜張橋、辰巳桜橋も曇り空に逆光とあっては、間近から見上げてもちょっとサエない表情。右手の東雲から対岸、有楽町線辰巳駅へのほぼ唯一の道とあって、結構な通行量です。

左に見える辰巳水門は、径間を一つ閉鎖し、手前にクレーン台船もいて工事中。標語が大書きされた巻上機室を見上げながら、スロットルをしぼって右径間へ。こちらからだと暗く沈みがちだけれど、くぐった向こうなら、少しは明るい表情が拝めるかしら。

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撮影地点のMapion地図

(28年10月16日撮影)

(『10月16日の辰巳運河…2』につづく)

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タグ : 砂町運河 辰巳運河 新砂水門 辰巳水門

新砂水門・本船通航!…2

(『新砂水門・本船通航!…1』のつづき)

195076.jpg船は最微速か、プロペラを留めてほとんど惰性で進んでいるようで、水線周りにはほとんど波立ちが見られません。

じりじりと迫ってくる黒い船首を見守っていると、水門を離脱するのをまるで待ち構えていたかのように、クレーンのジブがぐっと頭をもたげ始めました。おお、何が始まるのかな?


195077.jpgエンジンの爆音が高まり、舷側から白波が立ち始めるのと歩を合わせるようにして、クレーンは右舷側に回転しながら、ジブを高々と掲げたのです。

それはどこか、つつがなく水門通航を終わって、広いところへ出た解放感からウーンと伸びをしているような、一仕事終えてリラックスした表情に見えたものでした。



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船…プッシャーバージ「第三十八共栄丸」は、徐々に行き足を増して船首波を立て、正横を航過。クレーンはというと、首尾線方向に向き直り、グラブを開きながら引き揚げ始めました。

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イヤ~、一面白かった逆光時とはうって変わり、青い空が目に沁みるよう。9月11日からのタイトル画像は、この少し後のシーンです。タイトル更新時にお知らせしたとおり、押船は「第三十七共栄丸」。

クレーンはグラブをホールド上に下ろしては砂をつかみ、またグラブを開いて砂を落とす、という動作を繰り返しており、間近ということもあって珍しく見物。荷役のウォームアップとして、あらかじめ砂をほぐしておいた方が作業がはかどるのかしら?

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砂をつかんではぶちまけ(?)しつつ、西航してゆく共栄丸二隻。この後右に折れて砂町北運河へ入り、積み荷を降ろすわけです(過去ログ『大迫力の荷役風景』参照)。

いや~、いいシーンに出会えたものじゃと、後ろ姿を見送りつつ余韻にひたるおっさん。数少なくなったとはいえ、業務船が利用する、正真正銘、文字どおり現役の運河として活用されている水路をホームグラウンドとしている幸せ、ここに極まるものがありました。

なお、25年4月29日よりと、27年5月17日からのタイトルにも、それぞれガット船、プッシャーバージの写真を掲げています、ご参考まで。

(28年9月10日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 砂町運河 新砂水門 曳船

紅林章央氏の新刊「橋を透して見た風景」

194081.jpg橋を透して見た風景 
紅林章央 著
都政出版社  
並製 286ページ
平成28年10月1日発行


25年5月放送の「関口宏の風に吹かれて」#38・#39でご一緒した、都建設局の橋梁構造専門課長、紅林章央氏の新刊です。

東京の橋に第一線で携わってこられ、また橋の研究家としても、多くの論文や著書のある紅林氏の本ですから、面白いことこの上なく、ご恵送いただいた初日に、一息に通読してしまったほどでした。

そんなおつむに血が上ったおっさんのこととて、内容を全部垂れ流してしまいそうで危なっかしく、その道の大家の著書を云々するのもおこがましいですが、辛抱たまらんのでやっぱり思いのたけだけでも垂れ流させてください。ええもうほんの少し。

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タグ : 橋を透して見た風景 都政新報社