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阿賀野川頭首工を愛でる…2

(『阿賀野川頭首工を愛でる…1』のつづき)

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193077.jpg最初の径間にあるゲートを見下ろしたところ。銘板によると土砂吐ゲート、扉体寸法は15m×5.5m、佐世保重工業製。

完全に閉鎖されており、表面は越流時の泥で汚れています。下流側は水たたきが透けるくらいの浅さでしたから、水位差は扉体高に近いと見てよいでしょう。とすると、舟通しの閘程もそのくらいあるのか‥‥。



193078.jpgちょっと戻ってから下流側へ、3径間ある魚道も見ておきましょう。

‥‥まあ、堰のたぐいにある魚道というものは、舟通しの航路に激流を吹きつけ、通船にとってはた目にもぞっとしない存在であることが多いのですが、この魚道もその例に漏れないようですね。個人的には、吐口に板状の構造物を立てて、閘室の方に行かないよう導流したくなります。

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気になる舟通しの直上から、下流側を見て。右側、巻上機室に至る管理橋、さみだれ大堰舟通しのそれに勝るとも劣らない、下腹スースー感が‥‥。右端、下流はるかに霞むのは、国道290号線馬下橋。左にはホテルさきはなも見えますね。

堰柱間に渡された管理橋上に、閘室を照らす夜設のライトが見られるくらいの、至ってシンプルなディテール。右の堰柱には銘板らしきものがあったのですが、遠くてうまく撮れませんでした。‥‥イヤしかし、眺めるにつけ、通航するにはいかに厳しい環境か、覚悟を突きつけてくるような視点ではあります。

排水が終わり後扉が開いたら、回転数を思い切り上げて閘室からラビットスタート、左から叩きつける魚道からの激流に負けじと、大きく取舵でカウンターを取りつつリーウェイを抑え込み、それが済んだら正面に立ちはだかる岸めがけて突進、ギリギリまで我慢してから面舵でかわし、ゴロタ石の洲と床固のブロックを避けつつ河道中央へ‥‥。

‥‥と、脳内シュミレーション、イヤ妄想するだけで怖気をふるうものが。通航された方の体験談を、ぜひ伺いたいものです、はい。

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妄想はさておき、閘室のディテールは如何とのぞき込んでみたところ、高欄の外側にあるステンレスのダクトが邪魔をして、真下が見られずこれが精一杯。閘室内は満水で、壁面の様子もわかりませんでしたが、周りのあっさり具合からして、繋船設備は特にないように思えました。

目についたのは、扉体の上端近く、左右に一つづつスリットが切られ、排水させるようになっていること。オーバーフローで扉体を痛めないためか、通航船への配慮かわかりませんが、珍しいやり方ではありますね。

(28年5月28日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…3』につづく)

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タグ : 阿賀野川阿賀野川頭首工阿賀野川頭首工舟通し閘門

阿賀野川頭首工を愛でる…1

(『頭首工の見える宿!』のつづき)

193071.jpgホテルさきはなを勇躍出発、気持ちのよい木立ちの間をしばらく進むと、右手に倉庫らしい建物が。壁には「阿賀野川頭首工資材格納庫」とありました。水防資材を保管しているのですね。

看板の下には 「設計積雪量1.3m」「下記の積雪量を越えるときは雪おろしをしてください」との表示もあり、豪雪地帯であることが感じられます。いわば、屋根の耐荷重表示といったところですね。

左手奥はもう、管理橋の取り付け道路で、ちょうどクルマが出てきたところです。幅が狭いため交互通行で、両橋詰に赤い×と緑の〇が表示される信号が設けられ、交通整理をしていました。

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橋は高度を上げつつ木立の間を抜け、視界が開けるといよいよ、お待ちかねのご本尊が間近に。すでに舟通しの擁壁や堰柱も見え、自然に足も早まろうというもの。

朝の曇天がウソのように、ちぎれ雲がぱらぱらとあるばかりの快晴! 山肌も川面も午後の日差しを浴びて、この日この時の訪問を待っていてくれたかのように輝いています。いや、いいタイミングで訪ねられたものでした!

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勾配を登りきったところで目線を吸い寄せるのが、最初の堰柱に掲げられた銘板。タタミ四畳敷きもあろうかという、大きくて立派なものです。

堰堤全長206.4m、諸々のゲートを含めた全径間が7、昭和41年3月竣工。ちょうど50年目を迎えたことになりますが、この後方々を眺めまわしてみて、竣工半世紀を経たとは思えないほど、美しく保たれていることに感心したものでした。

193074.jpg最初の堰柱の横から、上流側に通路が伸びている建物は、運転室を兼ねた管理棟ですね。恐らく遠隔監視・制御となり、こちらはあまり使われていないのか、手入れにところどころ甘いところがあり、年齢相応といった古び方ではあります。

下の写真でもわかるように、櫓の上に2階建てを乗っけたような構造です。これは後ほど、下に降りたときに見にいってみましょう。

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管理棟に接して設けられている樋門が、左岸取水口。頭首工自体が灌漑施設なのですから当然ですが、ここから用水路に取水しており、対岸にも同様のものがあります。

管理棟の真横、ちょっと岸壁ぽくて惹かれるものがありますね。船での資材荷役とかあったのかなあ、などと妄想しましたが、ビットやアイなど繋船設備のたぐいが見られなかったので、これは単なる護岸と考えてよいでしょう。
撮影地点のMapion地図

(28年5月28日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…2』につづく)

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タグ : 阿賀野川阿賀野川頭首工樋門