阿賀野川頭首工を愛でる…9

(『阿賀野川頭首工を愛でる…8』のつづき)

193111.jpg阿賀野川頭首工を心ゆくまで堪能し、快い疲れを覚えながら宿に帰り一息ついたところで、部屋の外がにわかに騒がしくなりました。聞けば、日中に立津川漕艇場で出会った「ばんえつ物語号」の上りが、間もなく通過するとのこと。

宿泊客の皆さんと、ホテル前の道路に出て待ち構えていると、ボッボコ、ボッボコと腹に響くようなドラフト音とともに、C57がヌッ、といった感じで登場。

日中とは違い、登り勾配のおかげで迫力あるサウンドが楽しめたものの、法面の藪がえらい繁茂ぶりで、列車の姿はよく見えなかったのがちょっと残念ではありました。

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頭首工の周りをうろつきまくったせいで、いうまでもなく汗だくです。温泉で汗を流し、部屋で夕涼みがてら頭首工の姿を眺めるという、何とも優雅かつ贅沢なひととき。

夕陽が堰柱を朱に染め、霞みゆく山並みをバックに、落ちる陽に合わせて刻々と表情を変えてゆく水門と閘門を、いながらにしてほしいままにできる部屋! この宿を選んで本当によかった‥‥。

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193114.jpg陽がすっかり落ちて、宵闇に沈みゆく頭首工の表情。橋上の街灯が点々と灯り始め、川面の白波や扉体などのディテールが、漆黒に溶けてゆくさまを、飽きず眺めていました。

右は手持ちで撮ったのでブレてしまいましたが、街灯だけでなく、巻上機室の一部は、室内の照明をつけてあるのですね。扉体の天端が反射して、赤い塗色がぼうっと浮かび上がって見えます。

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夜半に目が覚めて、やはり頭首工の様子が気になってしまい、そっと布団を抜け出して窓辺へ。今度はブレないように、カメラを窓枠に置いて撮ってみました。

宵の口と違って、ホテルの部屋から漏れる光もなく、黒々と広がる闇の中、頭首工だけが息づいているかのような、真夜中の表情。夜の冷気に霧がかかっているのか、明かりがたんぽぽの綿毛のようにほわっと霞んで、実に幻想的でした。

(28年5月28・29日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…10』につづく)

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阿賀野川頭首工を愛でる…8

(『阿賀野川頭首工を愛でる…7』のつづき)

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「阿賀用水左岸取付橋」の真下、左岸取水口の樋門の堰柱に掲げられていた「阿賀野川頭首工のあらまし」。これで全体の概略はもとより、不明だった各部の寸法も載っていて、フンフンと興味深く拝見。

舟通しの延長33mは、図面上の寸法から見て、閘室有効長と考えていいのかな? いやそれより、目を剥いたのは赤矢印をつけた部分! 舟通し上流側に、1本だけではあるものの、背割堤が長く伸びている! 
もしこれが現実にあったら、通航船の進入は格段にやりやすくなります。ではなぜ、本来ないものが描いてあるのか‥‥。計画だけで、最初からなかったのか、それとも撤去されたのでしょうか?

193107.jpgそこで気になったのが、管理棟前の水面にぽつりと顔を出していたコレ! 位置的にもちょうど、閘室側壁の延長線上で、図面と照らし合わせると、背割堤の先端とほぼ同じのようです。

妄想するに、造ってはみたものの、後に樋門からの取水や土砂吐ゲートの機能を阻害することがわかって、改修時に撤去されたのか、それとも図面上の計画だけで、建設前に同様のことが指摘され、最初から造られなかったのか‥‥。でも後者とすれば、コレが痕跡のように残されたのは、ちょっと腑に落ちませんよね。

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謎を残しつつも、舟通しをものするベストポジションを求めて下流側へ。危なっかしい足取りで法面を駆け下り、護岸上の平場でつんのめるようにして踏みとどまって、やおら顔を上げると‥‥おお!

ここは結構いいかも! 目線がちょっと高いけれど、舟通しそのものの質量を味わうには、十分すぎる距離の近さ。堰柱基部から、手前に伸びる2本の背割堤、丸められた天端の感じが、ちょうど前に伸ばしたネコの足のようで、エジプトのスフィンクスを連想させるものがありますね。

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扉体のディテールをとらえておきたいと、もう少し正面に近い立ち位置を探して、さらに下流側からズームで狙ってみました。

陰っていた陽射しも戻り、白く輝く堰柱を振り立てて、威風堂々の面持ち。この日一番のお気に入りとなりました。

193110.jpg気になっていた扉体もズームでたぐって一枚。先ほど橋の上から見つけた、天端近くに切られた二つのスリットから、水がほとばしっているのが見えました。

前扉(上流側の扉体)にも、同様のスリットが設けられているとすると‥‥これは、閘室内の水位を保ちながら、少しづつ水の入れ替えをし、水質の悪化を防ぐ手立てなのではないでしょうか。

そういえば、「釜口水門を訪ねて…4」で、閘室の中に大量の魚が閉じ込められて、腐臭を放っていたことがありましたっけ。いずこの閘門も通航量は決して多くありませんから、この工夫はまことに的を射たもので、感心させられたものでした。

(28年5月28日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…9』につづく)

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阿賀野川頭首工を愛でる…7

(『阿賀野川頭首工を愛でる…6』のつづき)

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193102.jpg北岸に戻って、少し上流側から見たところ。この角度からの堰柱ずらりも佳し。起伏ゲート頂部の、三角形に突き出したスポイラーやアイなど、ディテールも間近に眺められて、橋の上とはまた違った面白さがあります。

ここで、橋脚の上流側天端の側面に、抜き文字のナンバーが振ってあるのに気づかされました。先に「堰柱のないゲート」などと書いてしまいましたが、ナンバーの振り方からすると、これも堰柱の一つとして、ちゃんと員数に入れられているようですね。

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橋を南に戻り、管理棟へ至る通路上から舟通しを眺めて。こちらは舟通しのそれとは違い、特に立入禁止の表示がなかったので、ちょっと失礼してみたら、ご覧のとおりなかなか結構なビューポイント(船頭的に)。

片側だけ設けられた巻上機室に、どこか軽快な感じを覚えながら、構造は全体的に肉厚で、頼もしさもあるという相反するところに惹かれるものが。抜き文字のナンバーもよく似合っています。

しかし、堰のたぐいに設けられた閘門って、普通は土中に埋め込まれている閘室部分の構造が、いわば丸出しでさらされているわけですよね。独立した一つの施設として視覚できるところに、醍醐味があるのかもしれません。

あと、通航者目線で考えると、下流側とは違い、背割堤もなくいきなりゲートというのが、何とも恐ろしいというか、怖気をふるうというか。せめて片側だけでも背割堤が伸びていると、文字どおり寄る辺があって、眺めている側としても精神的にラクになるんですがねえ。

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193105.jpg気になっていた管理棟も、近寄って見上げてみました。計画高水位の上に建物を上げた意図はわかるものの、改めて見るとやはり強烈です。

あっ、通路の鋼桁に銘板らしきものが。ズームでたぐって撮ってみると、錆で全体の判読は難しいものの、「阿賀用水左岸取付橋」という名前が読めました。なるほど、樋門から取り入れた用水路をまたぐ、橋の扱いだったのですね。とすると、当初は開渠だったのでしょうか。
撮影地点のMapion地図

(28年5月28日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…8』につづく)

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阿賀野川頭首工を愛でる…6

(『阿賀野川頭首工を愛でる…5』のつづき)

193096.jpgゴロタ石の河原は尽きて、その先はご覧のようなブロックずらりとなるわけですが、すぐにこれも基礎が水に浸かって、頭だけ出た状態に。

仕方なく、突き出た頭の上をピョン、ピョン、と文字どおり飛び石づたいに進んでいくことに。持ち物を落としたらと用心して、ウェストポーチにまとめていたのですが、うっかり小物をポケットに入れたままだったのを忘れ、河中に落し物をしてしまったのは痛かった‥‥。

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頭の平たいブロックなら休み休み進めるものの、露頭が角ばった十字型ときては、さすがに飛び石も止めざるを得ません。ここで扉体を正面から。ああ、やっぱり水面近くから眺めるのっていい。

水叩きが一段高くなった分、扉体の天地が縮まっていることがよくわかります。当たり前ですが、あの扉体の後ろに、何千tという水の塊りが堰上げられているんだよなあ‥‥。今扉体が開いたら、逃げる間もなく押し流されてしまうと思うと、やはり背筋が寒くなるものが。

193098.jpgホテルさきはなが、ちょうど真横に見えたので一枚スナップ。頭首工の周りをうろついている間じゅう、視界のどこかに必ず入っている一事をもってしても、水門好きにとってこの宿がいかに好環境下にあるか、わかろうというものです!

宿の前は流路で深掘れしているとあって、コンクリートの法面と鋼矢板でがっちり固められ、水面近くまでは降りられませんが、あそこも良い視点が得られそうです。後で探索してみるとしましょう。

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ここが、舟通しに最も近付いた地点の一枚。すでにタイトルに掲げましたが、目前にし改めて、その迫力に息を呑んだものでした。

轟々と地響きを立てるゲートからの噴流、その白い水しぶきを分けてそそり立つ舟通し! ひときわ高く上がった噴出直後の白波が、ちょうど奔騰するプロペラ後流のようであり、そうなると舟通しの堰柱は檣楼に、右端の背割堤はうねりを切り裂く鋭い艦首のようで、公試運転で最大戦速を出した大巡洋艦もかくやと思わせる、勇ましい姿に見えてきたのです。

閘門の姿を雄大で、力強く頼もしいと感じたことは何度もありましたが、水煙を上げて“疾る”、躍動感あふれる勇壮さを覚えたのは、もちろんこれが初めてです。このシーンを間近にできただけでも、足元の悪い中、ここまで来た甲斐がありました!

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いや~、閘門もところ変われば、全然違った表情が拝めるものだわと、嬉しい驚きを胸にもと来た岸へ。ブロックの頭をふたたびピョン、ピョンと跳んで、扉体や橋を横目で見ながらの移動も楽しいものです。

起伏ゲートの正面に来たので、帰りがけの駄賃にと一枚。じわりとリークした水が足元まで流れてくるのを、ちょっと気味悪げな思いで眺めながら、水に落ちないようひと跳びひと跳び、慎重に移動したのでありました。

(28年5月28日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…7』につづく)

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阿賀野川頭首工を愛でる…5

(『阿賀野川頭首工を愛でる…4』のつづき)

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193092.jpg管理橋を渡り切って、北詰から眺めたところ。いつもの寄り道的な水門鑑賞と違って、時間はたっぷりあるので、河原に降りて舟通しに迫ってみようと、田圃を横切って護岸上へ。いやもう、宿が近いというのはありがたいことであります。

全貌を収めようと下流側に歩くにつれ、水音はくぐもったように遠くなり、視界は次第にゴロタ石と床固で占められて、ちりちりと照り返しがきつくなってきました。

193093.jpg護岸から河原までは高さがあって、仮に飛び降りても非力な船頭では、上がってこられるかどうか不安があります。

下流へ向かって歩きながら降りる場所を探していたら、ちょうど石が盛り上がっているところを発見。一歩一歩、ぐらつく石を確かめながら、おぼつかない足取りで河道中央へ向かって前進開始。


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不安定なゴロタ石に、足首をグキッとやりそうになりながら、どうやら河原の尽きるところまで来ました。ちょうど3径間のローラーゲートを正面にした位置で、扉体の高さが右から順に縮まってゆくのが、目の当たりにできました。まさに階段状で、ド・レ・ミと音階でもつけたくなるくらい。

一息ついてぐるりを見回し、河水の匂いがたちのぼり、足元を洗う水音が耳に心地よい爽快感を味わいながら、舟通しを眺めるのによい角度を探しにかかりました。

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とりあえず、今立っている位置からズームで。やっぱり低い目線から狙った方が、堰柱の高さが強調されて、よりカッコよく見えます。

周囲の状況から、後扉が見えるようなポジションは得難そうではあったので、せめてもっと近いところで堪能してみたいと、瀬の限界線に沿って、上流側へ歩いてみることにしました。

(28年5月28日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…6』につづく)

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