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A.P.マイナスの日には…2

(『A.P.マイナスの日には…1』のつづき)

192006.jpg大横川に進入した直後の感。何分最徐航区間だけに、よそでは危うく見えるであろう1.3mも、余裕を持って歩かせるに足る水深といえます。通い慣れていて、底状はあまり凹凸なく、安定しているのが知れていることもありますが、河道ほぼ中央の澪筋から外れれば、杭やコンクリ塊などの沈置物は結構ありますから、注意するに越したことはありません。

というわけで、通るたびに同じような写真で恐縮ながら、以下おなじみの諸々を垂れ流しに及びます。平木橋桁側面の河道断面図(下写真)、年々腐蝕して失われていくさまを、訪ねるごとまるで義務のように観察しているので、今回もくぐりざま一枚。



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192008.jpg私設橋だった旧橋をモディファイしたかたちの、魅力的な人道橋・新田橋も水位相応の表情。塗り替えてまだ間もない、真紅の塗装がきれいですね。

昨年「5月3日の西側河川…2」で、平木橋とともに触れましたが、声が天いやお役所に届いたのか、色褪せていた表面も見違えるような鮮やかさ、文字通り大横川狭窄部の「紅一点」の輝きを、取り戻した感があります。よかったねえ‥‥。

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きれいになったことだしと、新田橋の裏側を見上げて。側面に劣らず鮮やかな仕上がり。

荷重の少ない人道橋、しかも管路のたぐいを一切併設していないとあって、裏側のディテールも単純明快。橋台も護岸の一部を切り欠いたような、簡素なものです。

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これもおなじみ、弁天橋向かいを定繋地としている、曳船か通船か類別不明の魅力的な一隻。そうそう、今まで船名に触れるのを忘れていました、「宍倉建設2号」さんです!

年々くたびれてきてはいるものの、もやいはノリや貝がついていないし、来るたびに甲板上の備品が動いているので、現役で活躍中と推察しています。内部河川の通航に特化した、と見立てたくなるような、全高を徹底的に抑えたそのスタイル、しかも鋼船とくれば、今や希少な存在であることは明らか。末永く元気でいてほしいですね。

(28年5月8日撮影)

(『A.P.マイナスの日には…3』につづく)

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タグ : 大横川江東内部河川曳船橋の裏側

A.P.マイナスの日には…1

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5月8日、快晴ながら風の強い日でしたが、朔の翌日とあって勇躍出港。何がいいって、この日は最低推算潮位でA.P.-0.08m(11:59)という、極めて潮位の低い日。

こんな日はやはり、低い橋のひしめく内部河川詣でをするに限りますわい。狭い堀割から出なければ、風の影響もほとんどありませんからね。強風などまさにどこ吹く風であります。

192002.jpg汐見運河を西航するところから始めると、斜張橋・しおかぜ橋(上写真)の橋脚近く、岸との間にもりもりと浅瀬が盛り上がって、さっそく大干潮時しか見られない剣呑な表情に目を奪われました。

その一つ西の汐枝橋も、普段の平べったい感じとはうらはらに、長く伸びた橋脚がつま先立ったよう。現在時刻11:33、潮位はも少し下がるはず、期待してまいりましょう。

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都市計画運河橋梁と並んで、運河地帯での低さを競う白妙橋も、ご覧のとおり桁下から、平久水門が拝めるほど(この写真と見くらべてみるといいかも)。

こげ茶の塗装が、戦前竣工らしい剛毅朴訥(?)なスタイルによく似合うのですけれど、桁側面のステッカーで貼った橋名、以前も触れたように劣化が著しいので、せっかくの装いが台無しです。更新時には、ぜひペンキ書きしてあげてほしいものですね。

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平久橋下流西岸、シュワシュワと泡立つ水をはける、おなじみの排水鉄管。川跡を利用した公園、古石場川親水公園からの排水です。

これも大干潮時ならではの見もの、フランジで継がれた先は曲がっていて、ちゃんと下流側を向いているのがわかりますね。いつもなら水面下でお目にかかれないものが、こうして観察できる面白さ。低水位はよきかな、佳き哉。

192005.jpg大干潮時とくれば、狭水路の中では軽いジャブといってよい、上記の区間すら結構な面白さ、都内狭水路の雄・大横川においておや(←わかって使っているのか)。

ともあれ、この引きっぷりを奇貨とせずして、何の水路バカかと。黒い湛水線を目の高さに見ながら、デッドスローでそろりと前進。
撮影地点のMapion地図

(28年5月8日撮影)

(『A.P.マイナスの日には…2』につづく)

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タグ : 汐浜運河平久運河平久川大横川江東内部河川

巨大作業船のポンドにて

191056.jpg5月4日午後、千葉県をドライブした帰り道、水っぺりが見たくなってちょっと寄り道をしました。しばらくうろうろして出たのが、袖ヶ浦市は浮戸川なる川を渡る、新田大橋。千葉港の南西端あたりになります。

地元漁船でも繋留しているかしらと、クルマを降りてほてほてと橋を渡ってみたら‥‥おお!
撮影地点のMapion地図


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漁船どころか、各種巨大作業船から台船、土運船やらとお祭り状態(船頭の脳内が)!

何気ない寄り道で、まさかの大当たりを引き当てた気分! 「うひょひょひょ」と嬉しく拝見したのは、いうまでもありませなんだ。

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右手に接岸する、巨大クレーンを搭載した一隻から堪能。紅白のスパッドを高々と上げていることから、グラブ式浚渫船と推察。

クレーンのお尻の幅だけで、左にもやっている青い本船、2隻分はありそうですね。残念ながら船名はわかりませんでしたが、左手前の曳船は、船首に「春日」と書かれていました。

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中央奥に見えた、櫓をそびえさせた船‥‥。これは船名がわかりました。「ポコム2号」、五洋建設の持ち船です。船名で検索したら、「海上施工:専用船 ポコム2号」(CDM研究会)がヒット。「CDM工法とは」によると、セメント系硬化剤を土中に注入攪拌し、軟弱地盤を改良する工法の一つなのだそう。東京湾岸の埋立てには、なくてはならない立役者といったところですね。

右手の青いクレーン船は「ブルーオーシャン」。ご本尊が巨大すぎるせいで、ずいぶん可愛らしく見えますけれど、自艇で近寄ってみたら、見上げるような大きさなのでしょう。

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こちらも天を衝くような巨大な櫓が‥‥杭打船かしら。シャチのイラストをあしらったブリッジ側面には、「KSC-K75」と大書きされ、櫓には「あおみ建設(株)」の看板が。手前には揚錨船も寄り添っていますね。

検索してみたら、「KSC-K75 詳細データ」(海上技術安全研究所)に記事を発見。サンドコンパクション船、すなわち砂でできた杭を土中に押し込んで、「ポコム2号」同様、地盤を安定させる役目をする船だそうです。

いや~、凄いフネブネをいっぺんに3隻も拝めるなんて、やはり寄り道はしておくものですじゃ!

(28年5月4日撮影)

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タグ : 浚渫船サンドコンパクション船揚錨船台船曳船

5月1日の江戸川…9

(『5月1日の江戸川…8』のつづき)

191051.jpg流れ下ってきたひとかたまりの枝葉に惹かれてパチリ。豪雨の後や増水時によくみられる、枯草や枯れ枝のそれではなく、茎も葉も青々としているのが、何やら新鮮で目を奪われました。

穏やかな川面は水質のコンディションもよろしく、ハルに触れるさざ波の感触も下流から変わらず、眠気を誘いそうな柔らかな感じ。舵を預けていたら、本当に眠ってしまいそうな穏やかさです。

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河道がぐっと東に振れたところで、県道295号線上葛飾橋が見えてきました。

この橋、今までと違うのが、バックに高い建物が少なくなるせいか、どこか寂寞とした雰囲気をまとっていること。ここから上流は、次第に可航環境が厳しくなる区間だけに、下流部と中流部を分かつというか、異なる世界への門のようにも感じられ、ディテールの乏しさもあいまって、印象深い橋なのです。

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久しぶりに訪ねたことだし、ぐっと仰いで橋の裏側も。すっかり褪せてしまった塗色に、平成5年、初めて訪ねたときのうだるような暑さを思い出しました。
撮影地点のMapion地図

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ここから先は、浅瀬や砂洲も少なくなく、今までのようにのほほんとはしていられない区間。遠く望む三郷排水機場のあたりには、PWCが集結して盛んに爆音を立てていました。

前回触れたように、三郷船着場あたりまで遡上すれば、中之島付近が浚渫されたかどうかも確かめられたのですが、どういうわけだかピンとくるものがあり、これも久しぶりに「あっ、呼ばれていないな」との天啓(単なる妄想)が‥‥。
というわけで、14:37をもって転回、下航することにしました。

191055.jpg帰路はひとつ、面白い出会いがありました。柳原水門の付近まで下ってきたら、後ろからビィィィンとかん高い音とともに、マルチコプタータイプのドローンが、我が艇の上空を高速航過! 

きっとカメラもついていて、操縦者は我々のことを見ているに違いないと、嬉しくなって手を振ったものです。一旦遠ざかったものの、旋回してきて今度は船首から、頭上スレスレまで高度を下げ、挨拶するように飛び去ってゆきました。

(28年5月1日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 江戸川橋の裏側

5月1日の江戸川…8

(『5月1日の江戸川…7』のつづき)

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松戸船着場。フェンダー付きの岸壁一面、上流側に階段式、下流側にスロープを備えた立派なもの。「江戸川管内緊急用船着場」(PDF)によると、全長30m、河口からの里程19㎞とのこと。

ん? 上流側に人影が‥‥。先ほどと違って防災訓練ではなさそうだし、何かを待っているような雰囲気。もしかして、船が来るのかしら。

191047.jpg松戸市街のビル群を遠望。回転レストランらしい、円盤型の構造物を頂いたビルが目立っているのは、初めて訪ねたときから変わっていません。今も現役なのでしょうか。

帰宅後検索したら、「松戸ビル」(超高層ビルと風景写真のきりぼう)がヒット。昭和49(1974)年竣工、平成15年までホテルニューオータニ松戸が14~20階にテナントとして入っており、本家同様スカイラウンジもあったとのこと。勉強になりました!

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変則3径間という形の面白さ、径間角の石材が渋さを演出しておりと、魅力的な外観の小型水門・赤圦樋門。

水とみどりと歴史の回廊マップ(松戸地区)~水とみどり~」(松戸市HP)によれば、創設は何と文化10(1813)年! 江戸時代からこの地にある、歴史ある樋門だったのですね。ちなみに現樋門は昭和32年の竣工、こちらも60年になんなんとする古豪であります。

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その上流にある樋野口樋管も一枚。坂川の調整を担うという意味では、赤圦樋門と同様なものの、こちらは背後右側に見える樋野口排水機場とセットで、いわば機力排水の放流口と見てよいでしょう。地味な存在ですが、佐藤師匠のFloodgates List 16には、しっかりリストアップされており、さすがとしかいいようがありません。

191050.jpg松戸の屈曲を離れると、流路を県境が横切っており、東京都から埼玉県に入ります。流路中央に出ると、写真のようにところどころ感が跳ね上がる箇所もあるものの、水深はおおむね3m台~4m弱をキープしていて、まずまずの可航環境。

そうそう、可航環境で思い出した! 
だいぶ前になりますが、「緊急船着場と緊急用河川敷道路」(南流山通信)と題した記事を発見。船着場の詳しい情報が載っているのに惹かれて、興味深く拝読していたら、「三郷緊急用船着場までの江戸川の航路となる部分の浚渫(平成22年度までの予定)が進められています」なる下りが! 当然ながら、目を剥いてものすんごく意識したわけであります。

Googleの航空写真で、三郷船着場までの河道を眺めてみたかぎりでは、岸沿いの砂洲や浅瀬こそあまり変わっていないものの、三郷中之島(『江戸川・三郷中之島覚え書き』参照)西側にあった浅瀬が、無くなっているように見えたのです! 佐藤師匠と訪ねたのが平成21年7月、記事の文言を信じれば、その直後に浚渫されたということでしょうか?

他の砂洲や浅瀬がほぼそのままのようであることから、低水敷すべての浚渫はあきらめ、想定された河用船が通れる最低限の澪筋のみ、確保する方針で掘り下げたのかもしれませんね。以上は確認情報ではなく、船頭の妄想ですので、間違っていたらごめんなさい。

(28年5月1日撮影)

(『5月1日の江戸川…9』につづく)

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タグ : 江戸川赤圦樋門樋野口樋管松戸船着場